- コラム・論説
- 2026年1月28日
令和の販売員心得 黒川想介 (160)課題を顧客視点で見つける「令和版手探り営業」が大切
時代には変わり目がある。と言っても、ある程度の年数が経ってからそれが見えるのである。
今では隆々としているFA営業も、草創期以来、変化を遂げてきた。草創期にはどこに需要が発生するかを手探りで見つける営業であった。工場設備、業務機器、家電、インフラ設備等から需要を見つけ、売り込みや新たな商品を増やす営業が主だった。
成長期には、ラインナップが充実した商品から新しい需要を見つける営業になった。成長期の真っ只中のバブル経済下で流行した営業は、「CST手法」と呼ばれるコンサルティングセールストークであった。
CST手法とは、第一段階で現場の課題を見つけるアプローチおよびリサーチを行い、第二段階で課題解決策を提案する。第三段階で顧客に合意を促すという話法である。これをFA営業が採用し、CSTのロールプレイによる営業教育が盛んに行われた。
現状から課題を見つけるというお題目になっているが、実際は制御商品ありきであった。その商品をもとにして、現場にあるだろうという課題を想定して脚本を作り、その脚本に沿って販売員と顧客がロールプレイする。そして、そのロールプレイで見ている販売員に、プレイヤーの脚本内容や動作、話し方などの良い点・悪い点を指摘させるという形で教育が行われた。
かくのごとくCST手法は、顧客がまだ知らない制御商品の使用例を想定して、暗に指摘する営業であるから、FAマーケットの成長期に制御商品をそれぞれの現場に広げていくには有効な営業手法であった。
平成期に入って製造現場が自動機械設備で満たされるようになると、脚本に登場する制御商品の使用例は、すでに実施されているか、またはすでに知られている事例が多くなり、CST手法は下火になった。
FAマーケットが隆々と拡大して成熟期に入ると、課題解決営業やソリューション営業が目立つようになった。販売員が顧客と一緒になって課題を解決するという狙いであった。一部の販売店営業は、システム案件の相談ができるSE的な販売員を育成したが、大半の販売員は技術者ではないから、商品知識をふんだんに活用する営業であった。難しくなっていく商品の選択やこんなことができる商品はないかなどの問いに答える商品探しなどの営業になっていった。
令和期に入ると、これらの営業を一歩進めて、「顧客の立場に立って」とか「顧客視点で課題解決を見つける」といった課題を解決する営業になっていった。
しかし、顧客の視点で課題を見つけると言っても、CST手法以来の商品を通して見る営業では、現場情報を正確に把握する営業力は身についていない。FA商品の目を通さないで生産性を上げるには、工場内でどんな合理化の努力をしているのかに気づく営業力が必要だ。それこそが顧客の視点で課題を見る営業であり、FA営業がやってきた機械設備ありきの視点ではなく、工場内の合理化を対象にしたオートメーションマーケット視点なのだ。
そこには現在のFA需要を作っている顧客層以外にもオートメーション需要を作る顧客層や作ろうとしている顧客層が増えていくだろう。だからまずはFA商品から製造現場を見ることをやめて、工場では効率化や品質向上のため、どんな作業やどんな工程でやっているのかを知ろうとしなければならない。知ろうとすることによってそこには今までとは違う合理化するというオートメーションマーケットが見えてくる。
後年になって分かることだが、令和前期はFAマーケットの変わり目なのだ。課題を顧客の視点で見つけるには、昭和の草創期にやっていた手探り営業を参考にして、「令和版の手探り営業」を作ることが大切だ。それには前回述べたように商人偏差値を上げるための日々の営業活動を疎かにしないことである。
-
アドバンテック、台湾本社でワールドパートナーカンファレンス開催 エッジコンピューティングとAIのトータルソリューション企業へ本腰 エッジAIの新プラットフォーム「WEDA」発表
-
岡野電線【産業オープンネット展 展示・デモ内容】