- コラム・論説
- 2014年2月5日
令和の販売員心得 黒川想介 (154)時代で変移する「工場事情」ルート開拓の機会を逃すな
前回、平成期のFA営業の総括をしたが、改めて箇条書きに記してみると、①売り上げ市場主義、②顧客満足営業が始まり流行したが、まちまちの実態、③営業戦略・戦法の単純化、④上策に課題解決ソリューションを置く、⑤受注ルートの固定化 以上の5点を詳しく考察した。
平成期の営業を総括して成果点や反省点がわかったからといっても、令和期のFAマーケットがどのように変わっていくのかの展望がなければ行動は起こせない。それに令和期を展望したからといっても、展望通りにすぐに実現するわけではない。過去の歴史を見ても、1つの時代には前期・中期・後期に分けられるほどの違いが見えるのだ。
例えば、徳川政権であった江戸時代を見ると、前期は戦国時代の色が濃く残り、「武」が尊ばれた。中期は武が鳴りを潜め、儒教の色が濃くなって、「学」が重んじられて文化の華が咲いた。後期は、技術、経済、文化の各方面で明治と言う新しい時代に移れるほどの資産が形成されていた。
FA営業のマーケットは製造業と表裏一体であるから、製造業の技術や資本の蓄積、社会の趨勢によって、令和期も前期から始まって、中期、後期へと展開していく。
昭和の後期の製造業は、自動制御の機械生産が当たり前になっていた。その時点でFA営業の次の展望は、工場のそれぞれの生産設備の制御装置やセンサーや駆動装置は、上位のパソコンやサーバーからの指令で作動し、 生産を飛躍させるというものだった。平成後期には生産設備へフィールドネットワークが当たり前になり、2010年半ばの平成27年にFA営業で盛んに語られていたのはドイツ発のインダストリー4.0であった。ドイツ発の第4次産業革命に触発されて、「製造工場にIT技術を浸透させないと生産体系が遅れる」といったような勢いで語られた。
しかし新しく令和期に入って、一気にドイツ発のインダストリー4.0が実現したかというとそういう訳ではない。令和期の製造工場も前期、中期、後期と各工場の事情に合わせて進んでいる。コロナ騒動が明けて本格的に令和期が始まると、令和期の製造業の展望が現実に語られるようになった。その内容を大雑把に要約すると、①IT技術は上位のネットワーク監視制御だけでなく、工場内の各分野のデジタル化を促進する、②労働力不足が迫ってくるため、省力化・省人化・ロボット需要が高まる、③CFP(カーボフットプリント)が影響し、徹底的な省エネが進む、④社会の成熟度が進み、あらゆる製品の多様化が進むため、国内工場は超多様化生産体制を構築する必要があるといったものだ。
令和期の製造業の現実が語られている時、FA営業はどのような行動すればいいのか。製造業では生産技術力や資本力、社会からの要請の強さを見て、やらなければならない優先度が決まるし、どこまでやるかが決まる。いずれにしても令和で成長させるために製造工場にとって新しい挑戦になる。そこはFA営業が新しい受注ルートを作るには絶好の機会なのだ。
マーケット事情が大きく変わる時、売り上げの多い強い商品を持って売り込んでも新規ルート開拓には何の役にも立たない。これは制御マーケットの黎明期に証明されている。工場が自動制御に少し興味を持ち始めた昭和期に、既に売り上げが大きかったモーター等の動力類や 配線器具等の資材による新規開拓は難しかった。それに対し、まだ使っていなかった制御機器には聞く耳を持ってくれていたから、伝え方や人柄で新たな客へ攻め込んで行けた。平成期を無難に乗り切ってきたFA販売店営業が、令和期にどのように立ち向かうかは、平成営業の総括をどのようにまとめたかにもよる。ただ確かな事は、令和期の工場事情は大きく変わる。だから販売店営業はこの機会を逃さず、一気に新規受注ルートを増やすことである。