- コラム・論説
- 2022年9月6日
令和の販売員心得 黒川想介 (150)工場全体に絡んだ情報は 新規受注ルートの第一歩
営業間で聞かれなくなった慣用句に「営業は断られた時から始まる」と言うのがある。営業職は相手が必要と思っていないものを売らなければならないし、全くの新規客を訪問しなければならない。こういう局面では最初からすんなりと行くのは稀であることを言い表した慣用句である。
「根性」をテーマにしたスポコン漫画やアニメが流行した昭和期には、根性で栄冠は勝ち取れるものと言う風潮があった。したがって「営業で一度断られても、性根を据えて何度でも訪問を試みれば何とかなる」と先輩は教えた。いまさら根性論で指導する人はいないだろうが、「営業は断られた時から始まる」と言うのは何も間違ってはいない。ルート営業からスタートしているFA販売員は「断られないようにするすればいい」と反応する。彼らは必要なものを売ってきた経験を土台にしているから、自分たちが勧める商品や商品のアプリケーションは重要だから見込み客も商品やアプリケーションを喜ぶだろうと思ってしまう。このような考え方は彼らの成功してきた経験に基づくものである。
昭和の終盤から平成を通してのFA営業は、「断られてから始まる営業」をしなくても良かった。営業が大変な職種であると言われる根拠は、常に新しい受注ルート開拓に挑戦しなくてはならないところにある。平成期のFA営業は、新しい受注ルートへの挑戦をしなくても売り上げはあったし、必要な顧客からのアクセスがあり、それにより新規受注ルートは少しずつ増えていった。だから「断られてから営業は始まる」と言う経験は不足している。それでも、何度か断られた経験を持つ販売員はいる。その販売員に断られたらどうすればいいかと聞いてみると、彼らは総じて「何回か会って関係を作り、課題や困り事を探す」などと答えるだろう。しかし実際には、相手が興味を示してくれる商品がない限り継続して訪問している様子は見えない。
令和も7年が経過し、8年目に入ったが、FA販売店営業には売り上げの成長が見える営業戦略に変えるべきだ。売り上げが景気に大きく左右されずに成長するには受注ルート数を増やすことである。
平成期に少し増えた新規の受注ルートは、当初から制御商品を必要としていた。しかし令和期で売り上げを成長させるには、当初から制御商品が明確に見えてなくても、最終的に何らかの制御が絡んでいるマーケットへの進出が重要になる。
営業がそのような行動をする場合には、断られそうな相手を訪問することになる。そのためには販売員が行っているように対人関係をこなさなくてはならない。普段やっている対人関係づくりとビジネス上の対人関係作りはそれほど変わらないが、入り口は違う。ビジネス上の対人関係づくりの入り口は、必要か興味に絡む情報が介在することである。平成期には、この情報は新商品情報であったが、令和期の新規ルート作りには制御部品や機器のようなコンポーネンツやデバイスの商品情報では対人関係作りとしての入り口にはならない。そういう客層なのだ。
平成期には、工場の機械や設備の制御を見て営業してきたが、令和期の営業は、工場全体を見るところから始める必要がある。したがって新規受注ルートの対人関係づくりの入り口になる情報も、工場全体に絡んだ情報の準備をしなければならない。
工場にはそれぞれいろいろな思惑や課題がある。それぞれの優先度には違いはあるが、差し当たり人手不足による困惑と業務効率や生産性向上に関する情報は、どの工場でも必要か興味の対象になる。そうした場合でも、新規受注ルート作りのための第一歩と言うことをよく理解しておかないと、省力化向けのロボット等の商品紹介から入ってしまい、結果的に二度三度の訪問はできなくなってしまうのだ。
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