自社は「良い会社」だろうか? 採用できる中小製造業になるために

先日、岐阜県美濃加茂市の制御盤メーカーのフジイさんにお邪魔した。同社は1997年の創業で、もともとケーブル加工からスタートし、制御盤の製造に事業を広げ、昨今の旺盛な盤需要を受けて事業は順調の様子。従業員数は現在47人で、平均年齢は39歳と若く、女性も多く在籍。入社予定の人がいて、さらに来春には新卒が入社する予定とのこと。それもあってか工場やオフィスは綺麗で清潔感があり、社内の雰囲気も明るく、若々しい感じがした。

岐阜県美濃加茂市は小さな地方都市であり、ましてや仕事が制御盤の製造となると、経験者はレアで、職務内容を見て関心を持つ人も少なく、採用環境としては厳しい。そうした逆風のなかで、定期的に若い人が採用できているというのは、とても素晴らしいことだ。なぜ彼らは採用ができているのか、一番に思いつくのは「一目で良い会社だと分かる」ことだ。大企業までとはいかないが、就労規則や福利厚生が充実し、例えば、社員への誕生日プレゼントや、ちょっと良い工具など各人が欲しいものを申請なしで買える制度、仕事中にリラックスするためのお菓子を買うための手当など、さまざまな制度や手当が存在し、社員もそれを受け入れて楽しめる社内の文化ができている。会社として必須のことをやりつつ、さらに身の丈にあった、社員のためにできる限りのことをやろうという姿勢は好感が持てる。また採用のために高校や専門学校を訪問したり、定期的に地域の清掃活動を行ったりもしている。会社のモットーは「まごころ込めて」だという。仕事やお客様に対してはもちろん、社員に対しても、地域や社会に対してもその文化が滲み出ている。こうした姿勢が、社員や求職者に伝わっていくのだろう

翻って、中小製造業は活動や雰囲気づくりができているだろうか。オフィスや工場は古く、暗く、薄汚く、社内の雰囲気もどんよりしていないだろうか。社内の制度も前時代的になっていないだろうか。いまや製造業は職業として不人気だ。そのなかで採用できる企業になるには、第2創業のような感覚で、新しい文化や価値観を作り出すレベルで変えていく必要がある。積み上げてきた歴史や文化に手をつけるのは勇気がいり、プライドが許さないかもしれない。しかしやらなければいけないのだ。当社も同様で、変わっていかなければならない。一緒に頑張っていこう。

https://fujii-e.co.jp

TOP