令和の販売員心得 黒川想介 (88)

営業が好きで営業職につく新人もいれば好きというわけではないが営業に配属になった新人もいる。営業職についた時点で営業が好きだと言う新人は生徒・学生時代に自分の方から声をかけて友人を作ってきた人がわりに多い。一方好きというわけではないと言う新人は声をかけられて友人を作ってきたようだ。まだ営業の実際がよくわからないこの時点で営業が好きだと言うのは営業という仕事を人とのかかわりが強い仕事だと理解しているからである。その理解は間違ってはいない。好きだと言った新人は営業に慣れるのが早いし社内の覚えもめでたい。積極的に好きだと言わない新人は営業に慣れるまで前者より時間はかかるから社内の評価ではあまり良くはない。しかし生徒・学生時間にどういう形であれ友人関係をつくってきたのなら必ず営業には慣れ、一人前の販売員にはなれるのだ。だから新人のこの時点で営業が好き、あまり好きではないというのは営業に向いているか、そうではないかということではなく営業に慣れるのが早いか遅いかのことである。彼等が組織の一員としいてルーチン業務に明け暮れるようになった時点で営業は好きか、と問いかけてみる。最初の配属時点で営業が好きだといった新人全てが営業を好きだとは言わない。営業はあまり好きではないと言った新人の中に営業は好きだと答える人は少なからずいる。何事も興味があるからまず始める。そして好きになるにはチャレンジが必要になる。小さなチャレンジから始めて、それを乗り越えて好きになっていく。チャレンジをしないといつしかやめてしまう。営業もまた然りである。営業は確かに人に絡む仕事だが会社を背負って顧客との利害を調整し、困難を乗り越える厳しくむずかしい仕事である。営業は仕事だから、とにかく始める。親しい顧客ができる頃にはこの仕事に慣れて楽になる。顧客との付き合い方に慣れて、顧客の言い分通りに動き、いわゆる御用聞き的な営業を繰り返すようになれば人とのかかわりが好きでもいつしか営業の仕事が惰性になる。やはり好きになるには厳しさにチャレンジをして乗り越え成果を味わうことが必要なのだ。好きになればむずかしい局面に立っても克服できるという自ら効力感が高くなり、やがて好きが高じておもしろくなる。何かチャレンジすることを探し、ワクワクするようになれば超一級の販売員である。超一級の販売員とは言わないまでも営業がおもしろいと言う販売員はいい人脈を持ち情報が豊富で情報の使い方が上手である。いい人脈を持てば売上のチャンスは広がる。だから販売員はチャレンジして人脈をふやさなければならない。それらのチャレンジ活動を続けている過程で気づいたことがある。それは情報である。顧客は営業に情報を期待しているから面会してくれることに気づく。商品の紹介は大事な情報提供活動である。しかし紹介の折に商品の特徴・機能等の良い点を力説すれば顧客側から見れば情報の提供ではなく、自分を狙って撃ってくる弾丸になる。避けたくなる弾丸でなく顧客が受け止めてくれる情報とするには気になって質問したくなるようなストーリー仕立てが必要になる。一例をあげれば、顧客は先端技術だけを模索しているわけではない。何事も基礎があるように製造にも整理整頓という基本がある。その一つが工具、仕掛け品、部材、破在等々の管理である。これらの管理に絡めたIOTの話等をしながら関係する商品情報を発信すれば商品紹介は弾丸でなく情報になる。少し頭をひねるくらいのチャレンジであるが、そのようなストーリーを仕立てるには多くの顧客から学び続ける必要がある。

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