価格交渉促進月間フォローアップ調査 中小企業の価格交渉・価格転嫁の最前線 大手企業の6割が交渉に応じる 価格上昇分の5割弱の価格転嫁に成功

中小企業庁は、2022年9月の「価格交渉促進月間」における主要取引先との価格交渉・価格転嫁の状況についての後追い調査を行い、その結果を公表した。直近6カ月間では回答者の中小企業の6割が大手の取引先と話し合いをすることができ、価格上昇分の5割弱を価格転嫁で吸収できたとし、交渉・転嫁しやすい環境づくりは一歩ずつ前に進んでいる状況だ。

中小企業庁は、中小企業が適切に価格交渉・価格転嫁をしやすい環境を作るために毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定し、啓蒙や価格転嫁等の要請を実施している。月間終了後にはその状況のフォローアップ調査を行なっており、今回は2022年9月の後追い調査の結果が公表された。
価格交渉の状況は、話し合いに応じてもらえたと回答した割合は58.4%に上り、交渉する土壌はできつつある。しかし、発注量の減少や取引中止を恐れて協議を申し入れられない、応じてもらえなかったという企業も12%以上あり、一定数残っている。
価格転嫁の状況は、上昇したコストのうち価格転嫁できた割合は、7〜9割が18%と最も多く、17%で10割と3割以下が並び、4〜6割が11%となった。価格転嫁率では46.9%となり、価格上昇分の5割弱は価格転嫁でカバーできたという結果になった。逆に、まったく価格転嫁できていない割合も2割存在した。
業種別の状況(全27業種)では、価格交渉に相対的に応じている上位3業種は石油・石炭、鉱工業、卸売となり、応じていない下位3業種はトラック運送や放送コンテンツ、廃棄物処理など。製造業関連は比較的応じている部類に入り、機械製造(5位)、食品製造(6位)、化学(9位)、電気・情報通信機器(10位)となった。自動車・自動車部品は17位と応じない部類に入った。
価格転嫁に相対的に応じているのは、石油・石炭、機械製造、製薬となり、応じていない下位3業種はトラック運送、通信、放送コンテンツ。電気・情報通信機器は6位、化学は7位、食品製造は10位。自動車・自動車部品は20位で、転嫁率も43%と全体を下回った。

交渉・転嫁に応じた/応じなかった大手企業は?

また調査では、10社以上の受注側の中小企業から主要取引先として挙げられた発注側の大手企業について、価格交渉と価格転嫁の回答状況をそれぞれ点数化してア〜エのランクに整理したものをリスト化されて公表されている。
このうち交渉・転嫁ともに高評価(ア・ア)だったのが、住友化学、東洋紡、日本製鉄、村田製作所、王子製紙、旭化成、グローリー。一方で日本郵便と不二越は最低ランクの(エ)がつけられた。
このほかFA関連では、(ア・イ)の高評価が三菱電機、パナソニック、安川電機、東芝インフラシステムズ、村田機械、明電舎。(イ・イ)が日立製作所、富士電機、アズビル、SMC、ダイフクは(ウ・ウ)となった。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/follow-up/index.html

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