令和の販売員心得 黒川想介 (80)

企業の目的は顧客を創造することであると定義しているのはかの有名なドラフカーである。企業がマーケットの創造という目的を持って活動する時に最も重要な機能はマーケティングとイノベーションだと言う。わかりやすく言うならば顧客が無意識にもっている欲求を知る事とそれまでになかった物やサービスを創出することである。販売店は商品を作っているわけではないので扱い商品を作るメーカーの影響を強く受けてマーケットの成長と共に歩んできた。昭和期は商品がマーケット需要をふやしたので商品のPR活動によって売上を上げた。平成期はマーケットシェア争いの中で競合商品切り替え活動により売上を上げようとした。令和年間は昭和や平成とは違った社会になる。社会が大きな変化をする時にも販売店はメーカーの影響を受けるのは至極当然なことだが扱いメーカーの戦略や戦術に全て乗っかかるだけでなく販売店自体のマーケティングは絶対に必要になる。販売店はメーカーのようなマーケティングスタッフを潤沢に持っているわけではない。しかし顧客を持っていて、顧客と接触する最前線で活動している。だから顧客を知るには最適な位置を占めている。顧客内部には(イ)見逃しているマーケットはないか、(ロ)見えてなかったマーケットはないか、(ハ)商品が一、二か所しか売れてないニッチのマーケットを見直して見る価値はないかと思い返して見ることはできるはずだ。そこで顧客中心の第二世代マーケティング2.0を参考にして令和年間に持続的に売上を伸ばしていけばいい。マーケティング2.0では(一)マーケットセグメンテーション、(二)ターゲッティング、(三)ポジショニングの三階段の作業で顧客の望む最適な製品開発をして顧客を創造することである。販売店の場合はマーケティング2.0参考にして国悪内部の新たなマーケットを見つけることだ。まず(一)のセグメントをする時には販売している商品を念頭に置かないで顧客の内部を俯瞰し、どのようなマーケットがあるかを洗い出す。例えば①生産技術、②製造設備保全、③製造及び製造を管理する部所、④品質検査技術、⑤製造の設備とは違うコンプレッサー、電気ボイラー等の工場設備技術、⑥情報システム、⑦FA技術とIT技術を一体化した生産革新グループ、⑧研究開発技術、⑨開発設計技術などを一ツ一ツのマーケットとして見る。

そして次に数年先を見通してどのマーケットに進出するかを決める。これがターゲティングである。

販売店の場合はポジショニングを考えなくてもいいがセグメンテーションとターゲッティングは通り一遍の思いつきではなく令和年間には売上の一ツの柱に成長させるという思いで取組まなくてはならない。このような戦略事項はそう簡単に決められることではない。そうは言っても従来からやってきたように顧客に言われたり、メーカーに言われてきた事をやって、ゆるやかに変化対応しても持続的に成長ができないと思えばやらざるを得ないだろう。何事も未知への挑戦をする時は覚悟と確信を持たねばならない。そのためには多くの情報が要る、平成からやってきたのは売上予算達成のための情報活動であった。しかしマーケティング2.0でやる情報活動は即売上になる情報でなく、顧客内顧客をふやしていくことを目的とする情報活動である。だから顧客の内外の実態を詳しく知る活動なのだ。ホームページに載っているような全体を知るとか、どの部門に何が売れるとか程度の情報ではない。情報取集するにしても基本動作がある。それを地道に実行して情報収集力を上げなければできない事なのだ。

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