儲かるメーカー改善の急所101項【急所22】改善の優先順位 優先順位は、安全第一、品質第二、リードタイムとコストは三の次。

以前に「安全第一」を掲げている工場で、安全帯を装着しないで高所作業をしている作業者がいたり、ヘルメット着用職場であるにもかかわらず、事務所の女性はヘルメットをかぶらないで現場に行っている、といった状況を見たことがあります。

また先日は「品質月間」と書かれた大きな看板のある工場の前を通りました。工場の中が見えるのでちょっと覗いてみると、ちょうど出荷のタイミングであったようで、数人の人がトラックに梱包済みの箱を積み込んでいるところでした。外から見ると「品質月間」という文字と作業が並んで見えるので興味を持ち、ちょっと立ち止まって積み込み作業を見てみました。品質月間だから注意深くゆっくり運ぶかな…と予想していましたが、作業は何とも乱暴で、ちょっと一言注意したくなるようなひどいモノでした。

いかがでしょうか、読者の皆さんにはこのようなご経験はありませんか? 実はほとんどの方が、このようなちょっと危ない光景を見ておられるのではないかと思います。

安全と品質は経営の大前提です。安全は事故につながって自分の一生の問題になることがあります。品質は不良が流出して会社経営にかかわる大問題になることがあります。ですから冒頭のようなスローガンが掲げられるのです。しかし普通に無視されてしまっている環境があるのも事実です。

人身事故も起きる一秒前までは安全です。しかし起きてしまってからでは遅く取り返しがつきません。また品質が下がれば、どれだけ速く作ってコストダウンに成功しても、不良が増えて返品が増えてしまえば、信用が下がって儲けはなくなります。

安全も品質も犠牲にしないで、両方とも今のレベルを維持、あるいは更に良くした上でリードタイム短縮やコストダウンを行うのですから簡単ではありませんが、ここで逃げてはダメです。この難しいタスクを達成したら、ライバルはそう簡単には追いつけません。頑張りましょう!

日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所 所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
■詳細・入会はこちら https://www.kaizenproject.jp/

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