儲かるメーカー 改善の急所 101項 (9)

2020年10月28日

■急所9
繰り返し作業のポイント
   ↓
合わせるな、当てろ

 

工場の仕事にはその間隔や量に違いはありますが、繰り返しの仕事が多いと思います。少品種大量生産の場合は同じモノを大きなロットサイズで繰り返し作ります。

多品種少量生産であっても、段取り替えを繰り返しながら、ひと月に一回は同じモノを作るということがありますね。もっと間隔があくのは、例えば毎年お歳暮やお中元がある食品会社のお仕事です。年に一回ですから相当に久しぶりのお仕事ですが、これだって繰り返しですね。

このように仕事の中に繰り返しはとても多いのですが、せっかく繰り返すと分かっているのに、以前に経験したその仕事のやり方が残っておらず、あたかも初めての仕事のようにモタモタと再開していることをしばしば見かけます。

 

そのひとつの例が、位置合わせです。例えば狭い駐車場にバックで入る場合、もしそこに車止めが無かったらどうでしょう? よほどに車両間隔のある人でなければ、うしろの壁や車にぶつけないようにゆっくりと何度も確認しながら車を止めることになりますね。

しかしもしそこに車止めがあったら安心です。車止めに当たるまでゆっくり下がって行って、コツンとタイヤが当たるまで下がれば毎回同じ位置に正確に止めることができます。慎重にゆっくりと後ろを見ながら止めるやり方よりずっと正確に同じ位置に止まります。

すなわち、同じことを繰り返す場合で位置合わせの場合は、合わせないで当てることができるようにすれば完璧に元の位置に合わせられるということになります。

 

工場では頻繁に段取り替えが行われていますが、職人技で金型やパーツを正しい位置に「合わせている」ことが多いようです。車止めのようにちょうどいいところが即座にわかる「当てる」仕組みにすれば合わせる時間は不要になるので誰もが正確にできるようになり、段取り替えの時間が飛躍的に短縮されることになります。

繰り返すことが分かっている仕事は、次回の生産時に瞬間で前回の状態に戻せるような工夫ができたらいいですね。

私は食品業界のお歳暮・お中元の場合は、今回の仕事のレイアウトの写真、仕事配分の内容のメモ、起きた問題点とその解決法、そして途中で思いついたけど時間切れで実現できなかったカイゼンのメモ、など記した「思い出アルバム」を作って、次回の時に必ずみんなで見て、最初から前回の最後の頃の一番調子が上がった状態からロケットスタートできるようにお願いしています。

 

日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

 

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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