儲かるメーカー 改善の急所 101項 (7)

2020年9月30日

■急所7
合理的なモノの造り方
   ↓
一回つかんだら離さない

 

今回は合理的なモノの造り方についてお話ししたいと思います。

モノを造るにあたっての合理的とは、「モノを造るための動作以外は行わない」こと、すなわち動作のすべてがモノを造ることに有効に使われることを言います。当たり前ですよね。

しかし私たちの周りには、これまでそれを当たり前としてやってきたけれど、よく考えると必ずしも合理的とは言えないモノの造り方が結構あるのです。

モノを造るということは付加価値が付くということです。例えば「モノを運ぶ」という動作は、運ぶことによってそのモノの位置が変わるだけなのであって、おいしくなったり完成に近づいたりということではありません。すなわち運搬があることは合理的ではないということになります。これは先回までの「動作経済の4原則」でご説明したとおりです。

 

多くの方が合理的と思っているのですが、実は合理的でないモノの造り方の代表的な例として「分担作業」があります。私も小さいころ、何かするときはそこにいる人数分に作業を分けることを普通にしていました。皆さんはいかがでしょうか、子供たちで手分けをして仕事をしませんでしたか? その方がすぐに仕事が始められてテキパキとして見えるのでこれが正しいと思い込んでいたのです。

しかし、手分けをすればするほど取り置きや持ち替えや調整は増えるでしょう。あるいは早く終わってしまって前の人が終わるのを待つ時間もたくさん生まれるでしょう。手分けをすると一人分の一回の仕事量が減るので練習しないですぐできるといったメリットはあるかもしれませんが、実はロスが多いものです。

ではどうすればいいか? ですが手分けをしないで全員が一人で「一回つかんだら離さない」で最後まで造るのです。3人の人がいたら、仕事を3工程に分けるのではなく、3人全員が同じ仕事を、すなわち全員が最初から最後まで一人で造るようにするのが正解です。もちろん動作経済の4原則を織り込んでみんなが一番いい作業条件で行うことは前提です。

現場に行って作業を見てみましょう。もし一人でできることをわざわざ分割して運搬や手待ちを増やしていることがあったらすぐにカイゼンしてください。運搬や手待ちが減り、管理が不要になりリードタイムが短くなります。

 

日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

 

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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