令和の販売員心得 黒川想介 (30)女性が活躍する感情の領域 新市場に攻め入る有効手段

颯爽と街を歩く若い女性たちは、大きめのバッグを肩にかけているのが目立つ。昭和の若い女性たちが颯爽と街を歩く時には、小さなハンドバッグを手に持ったり肩にかけたりしていた。その小さなハンドバッグの中には、周囲にみっともない姿をさらさないように身だしなみを整えるものとして、化粧道具や小物が入っていた。

現代の若い女性たちが持つ大きめのバッグの中には、身だしなみを整えるというよりは、オシャレを楽しんだり個性をアピールしたりするものとして、化粧道具や装身具他が入っているようだ。

男性の持ち歩くバッグも変わってきている。昨今は手に持つカバンより背負うバッグの方が多くなった。オタクという言葉が流行したバブル時代に、オタク族は大きなバッグを背負って街を歩く姿で登場した。それ以来、少しずつ背負うバッグ姿が増えて、現在では背負うバッグ姿が当たり前になっている。

機器部品の販売員も背負うバッグ姿が増えている。中身はノートパソコン等の電子機器やサンプル、資料などである。デジタル時代になって、機器部品営業も紙のカタログを持って売り込みに行くのではなく、いよいよ格好良くパソコン等を使って売り込み活動をするのかなと思ったものだ。

しかしノートパソコン等を持ち歩く理由はほかにあった。主たる理由は、顧客や関係者からのメールを受け、その内容を外出途中で処理することであったり、急ぎの報告書の作成を外出先で作ることや、ネット検索で調べることであった。

女性は、持ち歩くカバンの中身や身だしなみを整えるという守りの姿勢から、オシャレを楽しみ、個性をアピールするという攻めの道具に転じた。販売員はデジタル時代にふさわしく、背負いバッグに電子機器を入れ持ち歩いているが、仕事の効率を上げる道具として使用しているだけで、まだ攻めの道具として使用していない。

令和には女性の積極性が機器部品営業にも反映して、女性の販売員がますます増えていくことになるだろう。それにデジタル機器を使用した商品紹介やアプリケーション紹介が、女性の感性版としてできるかもしれない。

それでも新規見込み客やFA市場からにじみ出てくる新市場に攻め入る時には、当初からデジタル機器を使用することは困難だ。なぜなら、①デジタル機器を攻めの道具として使うには、相手のことがよく分かっていなければならない ②よく知らない見込み客やにじみ出しの新市場へのアプローチは、まず相手との感情的な距離を詰めることから始めなければならない。どちらかと言えば論理的なデジタル機器にはそぐわない感情の領域である。その点でも女性販売員の方が上手かもしれない。

前回は新規見込み客へより接近していく第二段階のアプローチに関して述べた。最終段階では対応の仕方が分かれる。

①まだ反応が悪く少し嫌がられている感じの場合、(a) 持って行く販促物を吟味して、これまでとは異質のものを持参、(b) 身なり、礼儀、話し方をチェック、(c) サプライズを考える。例えば自社の社長と同行、またはメーカーの担当者の上役と同行。

②嫌がられてはいないがまだ様子を見られているなら、これまでと同じやり方を維持する。その上で相手をよく観察する。特に相手はどのようなことに関心があるかを知ろうとすること。そのためには、販促物の紹介の仕方を機能や特徴の説明ではなく、相手の仕事に絡む話題と結びつけるようにする。

③親近感を持ってもらったら、商談を引き出す営業行為に移ってもいいが、さらに相手がどのような人物かを知ろうとすること。例えば人生哲学やどんな目標や夢を持っているかなどである。そのような質問ができるようになれば販売員自身のさらなる成長になる。

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