基礎から学ぶ中国工場管理〜実例で学ぶ管理のポイント〜 (41)

2020年4月15日

生産委託先・外注先の品質改善指導⑤

問題点を把握し対応決める

 

(4)問題点を把握する

外注先の改善指導はやみくもに進めてもうまくいかないので、問題点をきちんと把握したうえで対応の順番と方法を決めていきます。

問題点の把握に関して、ここでは5Mを切り口として中国工場で多く発生する問題を示します。

5Mは、
・MAN(人)
・MACHINE(設備・機械)
・MATERIAL(材料・部品)
・METHOD(方法・仕組み)
・MEASUREMENT(測定・検査・品質管理)
のことです。

 

①MAN・人に関する問題

・スキル不足
そもそも教育がされていない。教育された作業者(スキルを持った作業者)はいるが、スキルのない作業者に作業をやらせていた。

・技術力がない(会社の技術力)
技術的な支援を行いますが、本来は外注を選定するときに確認しておくべき項目です。

・作業者の意識
作業者の意識レベルが低いと、どんなによい仕組みや手順書があっても宝の持ち腐れになってしまいます。まずは、作業者を管理している管理者クラスの意識を高めるようにしていきます。具体的には、こちら側が求める品質に対する認識を一致するように啓蒙していきます。管理者の意識が変れば、それを作業者に落し込むことが期待できます。

 

②MACHINE・設備・機械に関する問題

・使いこなす技術が不足(ない)

・オペレーターの育成ができていない

・求める精度を出せる設備を持っていない
この場合は、生産委託を辞めるという判断も選択肢のひとつとなります。

・予防保全ができない(メンテナンスをしない)

中国工場では、どこでも設備のメンテナンスに対する意識は高くありません。故障が起きれば対処しますが、故障の未然防止という考え方は苦手です。メンテナンスに起因した不良の発生を防ぎます。また、実施するメリットを理解させて実施する仕組みを作ります。

 

③MATERIAL・部品・材料に関する問題

・購入部材の品質がよくない

・受入検査が機能せず、不良品が投入されている
原因はなにか?→基準、検査技能・技術、納期に絡む特採判断など

・仕入先への指導ができていない

生産委託先に仕入先を指導する能力がない場合もあります。

 

④METHOD・方法/仕組みに関する問題

・作業指導書、設備条件表の有無と内容
作業指導書は、工程の作業の基本ですから、これが準備されていないということはないと思います。多く見かける問題は、作業指導書の内容と実際の作業が合っていないとか、何年も見直しがされていないなどです。

・ルールを守らない
原因の可能性として、存在を知らない、守れないルールであった、守るつもりがないなどが考えられます。

・教育の仕組みがない、機能していない
作業に必要なスキルや意識を高めるためには、定期的な教育が必要です。この教育の仕組みがないと、作業者のレベル、しいては工場のレベルが高くなることはありません。教育の仕組み作りを促します。

・工場管理
工場の基本管理(5S、識別管理、不良品の処置、製品の扱い)は、不良の流出を止める短期的視点での取り組みとなります。

 

⑤MEASUREMENT・測定(検査)/品質管理に関する問題

・検査の有効化は短期的視点で実施します
・測定機器の校正
・改善のサイクルを回す

長期的視点で大事なことは、自社で改善のサイクルを回せるようにすることです。データの記録、活用などPDCAを回す仕組みとなるようにしていきます。

 

※中国要因に注意!

工場において問題点とその要因は、個々のケースを見れば無数にあります。その中で特に注意すべきは、中国要因です。日本の工場では起こりえない、中国だから起きる問題と要因への対処です。特に日本人は、日本で見てきた問題への対処は経験があるので対応できますが、中国要因を見逃してしまうことがあり、本当の対策を打つことができなくなるので注意が必要です。

これら中国工場で起こり得る問題点に対して、優先順位をつけて一つずつ改善を進めます。こうした改善への取り組みは、お互いにとってメリットですので、外注とこの意識を共有したいものです。

 

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◆根本 隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。