【市場見通し】主要機械産業、19年度は全体的に苦戦続くが 20年度に回復の兆しも

2020年1月8日

 

〈半導体製造装置・FPD製造装置〉
18年度に過去最高を記録、19年度停滞も20年度から回復

半導体は「産業の米」と言われ、あらゆる機器の電子化にともなってその出荷数は年々拡大傾向。半導体市況はPCやスマートフォン需要が中心で波が激しいと言われてきたが、近年になって構造が変化しつつある。IT化とビッグデータでサーバーやSSDなどデータセンター需要が増え、さらに今後は社会のデジタル化によって5GやIoT、自動運転やAIといった新たな領域での半導体需要が生まれてきて、重層的で継続的な市場拡大が見込まれている。

日本半導体製造装置協会の統計では、日本製半導体製造装置・FPD製造装置の販売高は年々増加。09年度のリーマンショック時に9415億円だったものから18年度には過去最高の2兆7843億円に達している。

19年度は厳しい状況が続き、半導体製造装置がメモリ投資の減速効果による11%減、FPD製造装置は有機ELが投資の谷間に入ることで1.2%減を見込み、全体で2兆5302億円と予測している。しかし以降は復調し、20年度は半導体投資が復活して2兆7485億円。21年度はさらに加速して2兆9280億円になると予測されている。

 

〈工作機械〉
1兆2500億円前後を予想。20年度はEVや5G投資に期待

工作機械は「マザーマシン」とも言われ、日本では金属を削って希望の形状に仕上げる機械のことを指す。日本製の工作機械のシェアは中国、ドイツに次ぐ世界3位で2割ほどを占めると言われている。日本製は高精度な加工が求められる分野に強く、主に金型や金型部品の製造などに使われている。

日本工作機械工業会の統計によると、日本製工作機械の受注額は年々増加傾向。02年の6758億円だったものが、18年には約2.6倍の1兆8157億円まで拡大。09年のリーマン・ショックで4118億円まで激減した時期があったが、そこから持ち直してきている。

しかしながら19年は米中貿易摩擦や自動車関連、スマートフォン関連の落ち込みによってリーマンショック並に厳しい状況が続いている。11月末時点で前年比33%減の1兆1398億円にとどまり、最終的には1兆2500億円前後に落ち着くと見られている。20年以降については、電気自動車や5G関連の投資を受けて反転が期待される。

 

〈鍛圧機械〉
国内堅調も海外需要が伸び悩み3350億円着地の予想

鍛圧機械は、工具で切削する機械以外の、金属加工・成形機械のことを言い、プレス機械や板金機械、鍛造・転造機を含む機械の総称。日本は中国、ドイツに次ぐ第3位に位置している。

日本鍛圧機械工業会の統計では、06年度に1万2548台、3935億円の受注をピークに、リーマンショックの09年度に4648台、1416億円まで激減。そこから18年度に8261台、3897億円まで戻してきたが、19年度は4月から11月までで4549台、2142億円にとどまっている。

国内は堅調だが、自動車のEV化に伴う生産設備の更新需要、人手不足に対応した自動化、更にIoTを駆使した自動化・効率化による戦略的設備投資の裾野の広がりが続くと予想。

海外は米中の貿易摩擦の長期化、EUの政治・経済の混乱による経済情勢不透明感による設備投資の様子見が続き、インドやASEANが堅調だが、全体を補完するまでいかず、最終的に3350億円を見込んでいる。


 

〈食品機械〉
国内需要が堅調もひと段落。輸出拡大がカギに

日本食品機械工業会の統計によると、18年の食品業界は商品ラインアップ拡充や省力化、生産性向上ニーズに対して設備需要が継続し、18年は好調だった17年の状態を維持し、1%増の5816億円だった。輸出は輸出額は13.7%増の453億円で、輸出比率は7.7%にとどまっている。

機種別では、コンビニ向けを中心に惣菜製造に関わる設備需要が活発だったその他食品機械が2505億円、輸出堅調だった製パン・製菓機械が1422億円、新製品投入や人気商品の安定供給向けの設備投資が旺盛だった乳製品加工機械が660億円となった。以下は、肉類加工機械が267億円、飲料加工機械が244億円、水産加工機械が170億円、醸造用機械が168億円、精米麦機械が146億円、製粉機械が130億円、製めん機械が102億円と続いた。

19年は、製パン・製菓機械、精米麦機械、醸造用機械、乳製品加工機械、肉類加工機械、水産加工機械の6機種において10月までの統計で6%減の664億7900万円で推移している。

 

〈プラスチック加工機械〉
内需・外需ともに厳しい状況が続く

プラスチック加工機械は射出成形機、押出成形機、ブロー成形機を指し、日本産業機械工業会の調べによると、18年度は、その他製造業と外需の減少により、前年度比91.5%の2511億円となり、6年ぶりに前年度を下回った。内需は自動車、電気機械が堅調に推移したが、プラスチック製品製造業が含まれるその他製造業が落ち込み。外需はアジア向けが苦戦し、特に中国のスマートフォン関連設備の受注減少が響いた。

19年度も厳しい状況は続くと見ており、2486億円の予想。上期は化学、窯業土石、自動車、その他製造業の減少で前年比4.6%減の1118億円で推移している。

 

〈物流システム機器〉
人手不足で急拡大。18年度過去最高額から19年度も好調持続

物流システム機器は、自動倉庫や台車、仕分け機、コンベア、棚、パレタイザなど物流倉庫や製造業における組立ライン、各種施設で使われる機器を指す。

日本ロジスティクスシステム協会と日本物流システム機器協会がまとめた「物流システム機器生産出荷統計」によると、18年度の総売上金額は前年比26%増、過去最高額の5858億円。設備投資意欲は継続的に高まっており、需要に対応すべくメーカー各社が供給能力を高め、大型案件の着工が増えたと分析している。

機器別では、自動倉庫は1390億円と21%の増加。台車系は17年度の801億円から1298億円と急増。コンベヤ系は17年度に減少したが、18年度は回復して1268億円。仕分け・ピッキング装置は402億円。パレタイザ・デパレタイザは安定的な水準を維持し、174億円と増加。垂直搬送機は164億円となっている。

19年度も、企業の設備投資意欲は高く、労働力不足の対応として省力化・自動化の動きは加速すると予測。18年度の受注金額は6360億円と大幅に伸びていることから、19年度の売上金額も増加傾向にあると見込んでいる。

また日本産業機械工業会の統計(運搬機械)では、前年度比1.6%増の4837億円と予測。内需は機械式駐車場や製造業の物流機器の需要が好調なことと、港湾・高炉等のクレーン需要が堅調に推移。外需は中国のスマートフォン関連の投資落ち込みが続くが、ASEANの物流関連機器需要、港湾設備の自動化・省力化、老朽化対策等の需要を見込んでいる。

 

〈化学機械〉
18年度は北米向け輸出で飛躍も。19年度は苦戦中

化学機械は、ろ過機、分離機、熱交換器、混合機、反応用機器、蒸発装置、化学工業用炉、塔槽機器、乾燥機器、製紙機器等を指す。

日本産業機械工業会の統計によると、18年度の受注高は化学、石油・石炭、外需の増加により、前年度比37%増の1兆6445億円で、2年連続で前年度を上回った。特に北米向けの増加によって輸出が1801億円から3688億円と倍増した。19年度上期は、化学、その他非製造業、外需が減少し、26%減の5336億円。年度上期としては3年ぶりに前年同期を下回っている。

 

〈包装機械〉
19年度も堅調。世界の包装資材需要の高まり背景に拡大期待

包装機械は、製袋充てん機、容器成形充てん機、上包機(収縮包装機・ストレッチ包装機を含む)、びん詰機械(洗びん機・殺菌機等を含む)、その他の個装・内装機械、バンド掛け機、ケース詰機、その他の外装・荷造機械などが含まれる。このほか計量・計数機、ラベル貼り機なども入る。

経済産業省の生産動態統計によると、18年の包装機械は2189億円。19年は1月から10月までで18年の84%となる1857億円に達しており、前年超えが期待される。世界の包装資材の市場規模は15年の92兆円から20年には110兆円まで拡大する見込みで、需要は多く開拓余地はたくさんあるとされている。

 

〈繊維機械〉
化学繊維機械は好調 前年同期比1.5倍

繊維機械は、化学繊維機械と紡績機械、準備機械、織機、編組機械、染色仕上機械、その他繊維機械で構成される。うち生産金額が多いのが機織と化学繊維機械で、化学繊維機械では日本のTMTマシナリー社が世界シェア40%を持ち、ドイツのバーマーグ(BARMAG)社と2強を形成している。

18年1-12月の総生産金額は2332億円(前年比0.8%減)で、19年1-10月までの累計では1454億円で、前年比74%で推移している。化学繊維機械が前年同期比50%増、紡績機械も4.2%増と前年を上回っているが、編組機械が65.2%減と大きく落ち込んでいる。

 

〈AGV・無人搬送車〉
18年AGVシステム納入件数・納入台数ともに過去最高

産業車両協会の発表によると、18年1-12月分無人搬送車システム納入実績について、18年のシステム納入件数は1029システムとなり、前年比34%増と大幅に上回った。納入台数も3382台で前年比42%増と急増した。いずれも調査開始以来、過去最高。

納入業種別割合は、「自動車・同付属品製造業」向けが56%と最も多く、次いで「一般機械器具製造業」向けが8%、「化学・医薬品製造業」が4%と続いた。非製造業は「卸・小売業」「運輸・倉庫業」向けがともに2%だった。

国内向け/海外向けの割合は、国内向けが76%、海外向けが23%で、1システム当たりの台数では、国内向けは2.5台、海外向けは5.9台と、海外向けで増加した。

 

〈分析機器〉
ラボ用、医用検査機器ともに輸出好調

分析機器は、ラボ用、医用検査機器・システム、環境用、プロセス用・現場用、バイオ関連、食品関連などで構成される。生産高は年々増加傾向にあり、18年度の総生産高は5891億円(17年度比3.8%増)に達した。うち輸出高は4000億円を超え、輸出比率は67%に達している。

金額として最も大きいのがラボ用分析機器で、前年比3.5%増の2743億円。医用検査機器・システムは2449億円(6.0%増)となっている。

 

〈光学機械〉
光分析機器、カメラ交換用レンズ等で6300億円超

光学機械は、カメラ、光学・精密測定機、光分析機器、測量機器、カメラ用交換レンズで構成される。

18年の総販売金額は6322億円。うち最も多いのが光分析機器で2439億円、次いでカメラ用交換レンズ1940億円、カメラ931億円、光学・精密測定機809億円と続いている。