機器の小型・高密度実装化で需要増、IoT時代を支える熱対策関連機器

2019年3月27日

電子機器の普及に伴いそこから発生する熱対策への取り組みが進んでいる。発熱対策を行うことで電子機器の寿命と信頼性、さらにはエネルギーの効率活用にもつながるからだ。

機器の小型化、コンピュータの高集積化・大容量化などで発熱は増加傾向にあり、発熱を抑えるための冷却方法の工夫が進んでいる。

 

信頼性と寿命に大きく影響

電子機器・装置に内蔵されたコンピュータや半導体などから発生する熱が増加傾向であることから、発熱対策が進んでいる。コンピュータの頭脳であるCPUなどの半導体は、年々高速化・高容量化がしており、これに比例してそこからの発熱量も増えている。同時に、電子機器そのものは年々小型化傾向を強めていることで、機器内部の実装密度が高くなって冷却の環境は悪化しているといえる。地球温暖化やエネルギー問題を助長することが懸念されている。

電子機器・装置に使用されている半導体やコンデンサーなどの電子部品は熱に対して非常に弱く、部品寿命や信頼性に影響を与える。したがって電子機器・装置の寿命を延ばすには、適切な温度管理を行うことが大きなポイントとなってくる。

特に、FA機器や産業機器は、温度管理が十分に行われず、温度の上昇・下降が激しく、水やほこりの飛び交う過酷な使用環境も多い。しかも、24時間連続稼働といった停止が許されない用途も多く、どんな環境でも安定して動くことが求められる。

 

熱対策は、電子機器本体の冷却と、その電子機器が収納された制御盤やラックなどを冷却の2つの面から必要になる。

PLCやFAコンピュータ、インバータ、UPS(無停電電源装置)などの電子機器は、本体に冷却ファンを内蔵して、本体内の電子部品やデータを冷却し保護している。厳しい周囲環境での使用を前提にしていることから、使用周囲温度も40℃前後、製品によっては50℃前後の使用にも耐えられるような設計になっている。しかも、長期間使用されることが多いことから、熱に強い電子部品の採用と、最適な冷却とメンテナンスしやすい構造を採用して、信頼性を高める設計にしている。

しかし、これらの電子機器が単体でむき出しの状態で使用することもあるが、ほとんどが装置や制御盤などに組み込まれての使用になる。密閉された装置や制御盤、ラック内の温度は室内に比べると大きな差があり、これに機器から発生する熱も加わり温度がさらに上昇、内部温度が50℃超えることが起こり得る。

 

データセンターでは、サーバーやスイッチングハブなどの通信機器からの排熱が多いことから、収納ラック・キャビネット内は非常に高温になる。データセンターでは室内を冷却しながら、さらに収納ラック・キャビネット内も冷却している。

高速なコンピューターシステムが稼働している大規模な研究所などでは、室内やラック内の温度をプラスマイナス0.2℃の範囲で制御していると言われ、それだけ熱が研究結果の信頼性に影響を与えている。

データセンターは部屋全体の冷却と収納機器の冷却が必要なことから、外気や地下の活用、涼しい地域への設置などエコに配慮した対応が進んでいる。中でも床下空調活用が進んでいるが、床下のスペースがある程度限られることや、ラックの前から吸って後ろから排気するという基本的な方法は変わっていない。従って、データセンターの熱対策は、ラック、空調、電源、サーバーなど総合的に設計する必要がある。

 

データセンターの部屋を小さくし、空調費と設置スペースの削減するために、サーバーや電源の小型化と、必要に応じて組み合わせ使用できるモジュール式も提案されている。冷却方法も空冷式、水冷式などを発熱量に応じて使い分け、局所的な冷却、稼働率に応じた冷却などで効果的な熱対策を行っている。

一般的に、データセンターなどでのラックに内蔵するサーバーなどの消費電力が2kW以下は自然空冷でも大きな問題はないが、2~3kWではファンなどを使った強制空冷が、また10kW以下ではクーラーなどが必要となってくる。

最近は10kWを超えるサーバーを使うことも多くなっており、水冷式の冷却が増えている。水冷式は配管が伴うものの、冷却効率が高く、消費電力も抑えられる。冷却装置を長期間使用すると交換が必要になるが、モジュール式構造にすることで交換作業を容易にする設計になりつつある。

熱対策が進むデータセンター

 

同時に冷却対策の一環として、ラック表面の開口率を高め、換気性を良くする動きも目立つ。従来40~50%ぐらいの開口率のラックが多かったが、開口率が80%を超えるラックも増えている。開口する穴の形状も、丸から六角形にすることで、丸穴よりたくさんの穴を空けることができ、開口率が高まるという工夫も見られる。開口率を高めることはラックの強度とも関係してくるため、これを両立させるのも技術的な見どころだ。

データセンターほど厳密な室内の温度管理がされていない工場には、作業に伴う粉塵やオイルミストの飛散、製造物から発生する輻射熱などがある。

機械・装置の制御盤の熱対策には一般的に、換気扇、熱交換器、クーラーなどが使われている。

制御盤の設置される周辺環境にもよるが、熱交換器や換気扇は、使用機器周辺の温度の影響を受けることや、ファン、フィルタの目詰まりなどで性能低下や内部への塵などの浸入が懸念される。

 

用途ごとに使い分け

最近の電子機器は発熱量の増大が著しく、部品の寿命を確保するためにも冷却性能が高く、密閉性に優れるクーラーの採用が増えている。工作機械などの制御盤はほとんどクーラーになっている。

一般的に電子機器を収納した制御盤やラックなどの熱対策は、発生する熱と使用機器の周囲環境によっていろいろな方法が使い分けされている。

最も一般的なのは、自然放熱・換気である。筐体の表面から放熱させる自然放熱は、筐体内部に塵や湿気が入らないことで密閉性を確保でき、騒音もない。排熱の少ない用途で使用される。

筐体上部に換気口(ルーバー)を付け、温められた空気をそこから排出する自然換気は簡単で騒音もない。

 

こうした自然な排熱方法に対して、強制的に熱を外に排出する方法が最近は増えている。換気扇を使った強制換気は、筐体の換気口から強制的に放出する方法で、自然換気に比べ、放熱量ははるかに多い。換気扇の羽の形状も斜めにすることで、空気の流れをより広く均一に拡散するようにして、ホットスポットの発生を防止する工夫も行われている。

換気扇の代わりに熱交換器を利用した強制放熱として、電子冷却素子とアルミフィンを採用した高性能ペルチェユニットを組み込んだ電子冷却式のクーラーは、電子冷却素子の吸熱側に取り付けられた冷却フィンがキャビネット内側に、発熱側に取り付けられた放熱フィンがキャビネット外側にそれぞれ設けられている。キャビネット内の暖かい空気を内部ファンで冷却フィンに送風し、冷却を行い、低温空気としてキャビネット内に戻す。キャビネット内の熱は放熱フィンから外部ファンによりキャビネット外に放出され、キャビネットの密閉状態を損なわずに冷却でき、内蔵の機器、電子装置などを熱、ほこりの障害から守っている。

設計を工夫することで、消費電力を従来機種に比べて大幅に減らし、エネルギー効率を表すCOP(成績係数=冷却能力/消費電力)が高いタイプが登場している。

 

また、大容量の電子クーラーは、コストもかかるが、冷却能力が高く需要が伸びている。クーラーは暖房能力もあるため、そのまま寒冷地でも使用できる。屋 外用なので防塵・防水・耐風性能なども 高い。今後は屋外の大型スクリーン・広告塔などの映像システム、太陽光発電システムなどの制御機器キャビネットの需要が見込まれている。

さらに、大型プレスマシンや工作機械の制御盤、大型データセンターのサーバールームなど、熱の発生量が多いところで採用が増えつつあるのが、水冷熱交換方式である。筐体内の温かい空気をファンで水が循環している冷却部に送風し、そこで冷やして低温空気として筐体内に戻すもの。冷却水の配管が必要になるが、冷却能力が非常に高く、高温の排熱環境でも使える。放熱による周囲への影響やフィルタの保守もなく、密閉性も確保できる。

クーラーを稼働させるための消費電力を低減するための改良が進み、ファン、コンプレッサ、熱交換器などの最適な配置と、エアフロー吹き出しの工夫などで効率的な冷却を行い、冷やしすぎないようなエコモードによるインテリジェントな運転機能でエネルギーコスト削減を実現している。さらに、メンテナンスコストを減らすために、凝縮器に汚れや水が付着するのを防止する技術も採用されている。

制御盤内からの発熱対策が求められている

 

5G・ビッグデータでニーズ

IoTへの取り組みが各方面で進む中で、5Gやビッグデータなどと関連した需要創出が見込まれている。屋内外のこれらのインフラを支える機器周辺には熱熱対策機器が一体で使用される。

熱対策は、機器の機能を最大限引き出し、無駄なエネルギーの消費を防ぐ効果も生み出して、電子機器の長寿命化などで、トータルコストを下げることにもなる。

地球環境にも配慮した最適な熱対策が高い生産性と確かな品質、信頼性の高い情報化社会を築くことにもつながる。