■悪徳システムインテグレーター(SI)が増加する日本!! 国や顧客は厳しい目で対応するべき!<下>
「コラボ」「比較」で危機回避を

もうひとつの理由

悪徳のSIが増加するもうひとつの理由があります。それは、ほとんどのシステムインテグレーターは機械的・電気的(つまりハード全般)に詳しいのですがソフトに関しては非常に弱いという実態があります。

先日もこのような事がありました。弊社に中規模の某SIから電話があり「顧客から『ティーチングをもう少し楽にできないか? 工数がかかってロボット化した意味がない』と相談を受けているので、うわさに聞く富士ロボットさんに電話しました」と言われました。

電話をくれた方は、そのSIの中心的な立場のようでしたが、まず驚いたのがロボットプログラムの基本の話をしても、ほとんど理解をしていただけませんでした。ロボットプログラムに精通をしていなければ、ロボットや周辺機器を顧客に納品できても、肝心の『どう効率的に使うか』を顧客に提案できません。また、「3DCADの知識もほとんどない」との事でしたので、顧客から「せっかく製品の3DCAD化をしたのだから、これをロボットのプログラム作成にいかせないか?」と聞かれても答えられなかったそうです。

ちなみに、このSIのホームページを拝見すると、『効率化を実現できるロボットシステムを提案』と記載されていますが、私に言わせれば『ハードの提案はしますが、ソフトは提案できません』が正解だと思います。ただ、このSIは弊社に電話をしただけ、他のSIと比べれば顧客の事を考えていると思います。

このように、プログラムやティーチングソフトに疎い事でお客さまに対して効率的な提案ができない事が、顧客を困らせてしまうもうひとつの大きな理由です。

変わろうとしないSIの実態

問題なのは、弊社に電話をくれるようなSIはほんの一握りで、変わろうとさえしないSIがほとんどだという事です。

実は先日、知り合いの商社の紹介で、山口県の某SIに弊社のティーチングソフトのプレゼンに行ってきました。そこで、非常に残念な現実を見ることになりました。そのSIはさまざまな用途、つまりハンドリングだけでなく、顧客にいろいろな加工のロボットシステムの販売とメンテネンスをしている会社です。お伺いしてお話を伺うと間違いなくこのSIの多くの顧客が弊社のソフトで効率化を実現できると判断し、このSIに喜んでいただけるようプレゼンを行いました。

しかし、ソフトの説明をまだほとんどしていないにもかかわらず、そのSIの専務の方が渋い表情で「うちの顧客には、そんなの必要ない」「ソフトなんかなくても、われわれが顧客にティーチングのサポートができる」と言ってきました。私は、弊社ソフトで多くの顧客が生産効率アップしている証拠の資料も見せ、「このように証拠もあります。御社は顧客の効率アップを望まれないという事でしょうか? それに、ソフトの説明をまだほとんどしていないのに、このソフトの何がわかるのですか?」と申し上げましたが、その専務は顔を引きつらせて「とにかく、うちの顧客には必要ない」と言っておりました。その専務の言い分があまりにもおかしいので、そばに座っていたそのSIの技術部長さんが、専務には聞こえないように「必要とされている顧客は居ると思います」と私にボソッと言われていました。

つまり、高額のティーチングマンの派遣やその育成教育の「うまみ」を手放したくない。顧客の効率アップよりも、自社のもうけ第一というわけです。顧客からすると、これは高額のランニングコストとなり効率ダウンとなります。

お客さまのことを第一に考えないSIは、もし海外ならすぐに問題視されると思いますが、残念ながら日本ではすぐにはそうはなりません。実は、お金の余っている自動車関連の会社がこのようなSIを甘やかしお金をじゃぶじゃぶと流しているがゆえに、変わらない現実もあります。実際このSIに「お客さまはどのような業種ですか」とお聞きしたら「自動車関連の会社がほとんどです」と言われていました。

どうしたら質の良いSIが育つか

SI自身が変わろうとしない以上、それを待っていると顧客はいつまでも生産効率アップができませんし、良いSIも育ちません。

よって、国や顧客がSIを厳しい目でチェックする必要があります。ただ、海外から見るとこれは有名な話ですが、日本のものづくりの関係者のほとんどは、ハードは強いのですがソフトが弱いので、厳しくチェックしたくてもその能力があまりありません。

国もSIの増加だけでなく評価にも力を入れていますが、日本中の現場を見ている私に言わせれば、というより顧客の方々のご意見ですが、名のみあって実がない、というのが現状です。

ではどうするかというと、例えば、国であればソフトに詳しい会社とコラボして評価する。また顧客であれば、知り合いの商社が紹介してくれたSIだけでなく他のSIと比べる、またソフトに詳しい会社にコンサルタントを依頼する、などでリスクヘッジをすることです。他社と比べられるようになったSIはソフトによる差別化に力を入れるようになり、それが良いSIを育てる事になると思います。

実は最近、いくつかのSIから「富士ロボットさんとコラボして、差別化をしたい。顧客に喜んでほしい」との連絡を頂けるようになったことは有り難いことです。しかし、全体から見たら、ほんの一部に過ぎません。

弊社のようなロボットのソフト面でSIをチェックできる会社が、良いSIの増加の役に立てれば幸いです。

◆山下夏樹(やましたなつき)
富士ロボット株式会社(http://www.fuji-robot.com/)代表取締役。1973年生まれ。産業用ロボットコンサルタント。サーボモータ6つを使って1からロボットを作成した経歴を持つ。自社のオフラインティーチングソフトでさまざまな現場で産業用ロボットのティーチング工数を10分の1にするなど、生産効率UPを実現してきた。さまざまな現場での問題解決の方法を知る、産業用ロボットの導入のプロ。コンサルタントは「とりあえず無償相談から」の窓口を設けている。

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