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【特集】サーボモータ市場 好調維持 フル生産、ライン増設 半導体・FDPがけん引

サーボモータの市場は一時の過熱状態からは少し落ち着きを見せてはいるものの、依然活況が継続している。半導体製造装置やロボット、工作機械、自動車などの主要関連市場が安定した伸長を見せており、サーボモータ各社はフル生産に加え、生産能力拡大へライン増設に動いているところが多い。製品的には高分解による高速・高精度制御や、簡単な調整作業、安全対策などを中心に取り組まれ、また用途ごとの専用機種を開発して、サーボモータの使いやすさを高める動きも目立っている。

 

急増するロボット需要

日本電機工業会(JEMA)がまとめている産業用汎用電気機器の出荷統計でのサーボモータ/サーボアンプの状況は、2017年度(17年4月~18年3月)が、サーボモータ1174億円で前年度比124.5%、サーボアンプが2010億円で同140.5%と大幅な増加をみせた。16年秋以降の好調な出荷が1年半以上経過した現在も続いている。

JEMAでは18年度の出荷予想として、サーボモータ1251億円(同106.6%)、サーボアンプ2142億円(同106.6%)としており、合わせると約3400億円となり、前年度に比べ約1200億円の大幅な増加になる。

このため、サーボモータ各社は増産に取り組んでいるところが多いが、一部では部品・材料の手配が追いつかない状況もみられる。

現在のサーボモータ市場の好調を支えている一番の要因は好調の半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置の受注増だ。スマホやタブレットPCなどの生産拡大、車の自動運転制御に絡んだカーナビゲーションシステム、ドライブレコーダーなどでセンサやカメラなどが旺盛な需要となっていることが大きい。スマホやタブレットPCは半導体やFPDの塊ともいえる存在であり、車もまた半導体をはじめとした電子機器が大きな影響力を持つ存在になっている。

日本半導体製造装置協会(SEAJ)の出荷統計では、2017年度は前年度比121.9%の2兆4996億円で、18年度も108.3%の2兆7072億円が見込まれており、2兆円市場が継続する。スマホの1台当たりの半導体の搭載数が増加し、画面の有機EL採用も進んでいる。IoTに伴う情報化で半導体を使用する、情報端末、カメラ、自動車の自動運転、ビッグデータ処理に伴うデータセンター需要などで、半導体需要の山谷に期間が従来に比べ長くなり、スーパーシリコンサイクルに入ってきていることから、この高原状況が続くとする声が強まっている。

ロボットの需要も急増している。国内では深刻な人手不足、海外ではアジアの新興国を中心とした人件費の上昇から生産の自動化投資が急速に増えている。中国では人件費の上昇に加え、工場ワーカーの不足も加わり、自動化は待った無しの状況といわれ、ロボットなどの自動化機械に置き換えが進んでいる。

国内でも人手不足に加え、自動機やロボットでないと人では作れないものも増えており、自動化投資が取り組まれている。

最近は食品工場や薬品開発・製造でのロボット活用の取り組みが意欲的に進められており、先行き需要への期待が高い。ロボットは産業用に加え、非製造業でもホテルでのサービスや外食産業の人手補完用、警備や清掃などといった幅広い用途で試行しながら普及が進んでいる。

日本ロボット工業会(JARA)の生産統計によると、17年の生産額は前年比125%の8956億円となっており、18年はさらに上乗せされて1兆円を突破し、1兆1000億円も見込めるという大きな予想が出ている。

海外ではアジアの新興国を中心とした人件費の上昇から生産自動化への投資が急速に増えている。中国では人件費の上昇に加え、工場ワーカーの不足も加わり、自動化は待った無しの状況といわれ、ロボットなどの自動化機械に置き換えが進んでいる。

 

工作機械、過去最高へ

もうひとつの大きな市場である工作機械は、日本工作機械工業会(JMTBA)の17年の出荷額が前年比131.6%の1兆6455億円と過去最高になっており、18年も1兆7000億円と2年連続の過去最高更新を見込んでいる。部品不足で計画通りの生産が進まないという不安要素もかかえている。

サーボモータの需要はこうした主要産業用途に加え、駅ホームの安全ドア開閉や自動改札機、乗り物シミュレーターなどのアミューズメント関連、回転ずしのベルトコンベヤー制御などでも採用が進んでおり、新たな市場を形成している。

サーボモータ各社は、使いやすさに重点を置いた製品開発を進めている。複雑な制御調整が簡単にできるオートチューニング機能、機械の振動を抑えながら短時間で位置決めを行う制振制御技術、作業の安全を確保するセーフティ制御技術、さらに効率的な生産を進めるネットワーク化対応などが開発のポイントとなっている。

オートチューニングでは、ワンタッチで機械の共振制御などにも対応できるよう、各社が独自の機能を搭載している。制振制御技術ではアーム先端の振動に加え、装置本体の残留振動も抑制できる低周波抑制アルゴリズムを搭載し、さらなる高精度調整を可能にしている。

高速化では、速度周波数応答2.5kHz、22ビットロータリーエンコーダの標準搭載で、400万パルス/revを超える高分解能製品もラインアップされ、位置決め整定時間を大幅に短縮し、高精度な位置決めや微細加工を可能にしている。整定時間を短縮することは、業務の効率化につながり、機械・システムの生産性が向上する。

また、サーボモータの制御に関しては、指令応答特性を高めるフィードフォワード機能(FF機能)と、外乱抑制特性を高めるフィードバック制御(FB制御)があるが、FF制御とFB制御を完全に分離して制御を行うことができる、2自由度制御方式を搭載したサーボモータも使われている。

両制御を完全に分離することで、より高速・高精度なモータ制御が実現する。例えば電子部品実装機では、部品搭載ヘッドの振動を抑えた高速実装タクトの実現や、金属加工機では、摩擦や粘性の影響を少なくし、切断面を滑らかにするといった高精度な加工が実現できる。

さらに、1台のアンプで最大3台(3軸)のサーボモータができる機種も評価が高まっている。

最近注目されているのは、アンプの診断機能を使ったサーボモータの予知診断機能である。サーボモータの稼働時間などを計測して、故障などを予知することで稼働停止などに伴うトラブルを未然に防止することにつながる。

 

ネット対応 自由度拡大

ネットワーク対応では、EtherNet技術をベースに、通信速度150Mbps全2重の高速独自ネットワークを駆使し、リアルタイム通信性能や、自由度の拡大が図られている。

EtherCAT、MECHATROLINK、SSCNET、SercosなどEtherNetでサーボモータとのネットワークが可能な製品も増加して、一層使いやすさが増している。

セーフティ化対応も著しい。サーボモータに関連する規格として、ISO13849-1、IEC61508シリーズ、IEC62061、IEC60204-1、IEC61800-5-2などがあるが、このうちIEC60204-1は、機械の電気装置に関する要求事項を定めた規格で、停止の制御機能について定義されている。

可変速ドライブシステムの機能安全規格であるIEC61800-5-2への対応も行われている。安全規格への対応は特に、自動車製造関連の用途で求められることが多く、サーボモータ各社のほとんどが対応を行っている。

このほか、厳しい環境下でも使用できるよう保護構造IP65などを標準採用したタイプや、IP67対応品も増えているが、食品機械などでの高温水洗浄などにも対応できるIP69Kといった製品も発売されている。

低剛性への対応もポイントで、特に高速応答の必要なマシンボンダーや、低剛性メカニックを低振動で高速駆動したい取り出しロボット、多関節ロボットなどで重要視されている。

小型・軽量化の例では、サーボドライブが必要とするトルクを直接供給するようにすれば、機構が単純になってコンパクト化が可能となる。故障の発生や外的トラブルの要因も減らせ、低コストや省資源というメリットにもつながる。

機器の小型化では、リニアサーボモータの動向も注目されている。回転型サーボモータとボールねじとの組み合わせに比べ、推力が大きく、短ストローク。移動で加減速の繰り返しなどに強みを発揮できる。特に、小型で速い動きが求められている機械などに最適である。

高トルクで低発熱という点からDD(ダイレクト・ドライブ)モータも採用が増えつつある。軸振れ・面振れの少ない高精度な制御ができる。

業界初のGaNpパワー半導体を採用したアンプ内蔵サーボモータも発売されている。低トルクリップル・低騒音に加え、制御盤サイズの小型化と省配線が実現できることから評価が高まっている。

また、バッテリレス絶対値エンコーダ搭載のサーボモータも注目されている。回転量データを自己発電で保持することで、バッテリユニットが不要になるなど、配線の取り回しも楽になる。

そのほか、2軸サーボパックとコントローラ機能を一体化することで、制御盤の小型化と省配線に対応した製品や、サーボパックに用途ごとに最適な機能を内蔵することで、ユーザーがサーボモータを簡単にすぐ使用開始できる取り組みも進んでいる。

IoTと連携したものづくりが志向される中で、装置・システムでのサーボモータの果たす役割はますます高まっている。今後のサーボモータはこうしたネットワークをはじめとした最適ソリューションによる使い方の優劣が大きなポイントなってきそうだ。

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