【FAセンサ特集】市場の堅調拡大続く 半導体、工作機械、ロボットけん引

人手不足、人件費高騰、高精度生産が拍車

FAセンサの市場が堅調な拡大を続けている。半導体製造、工作機械、ロボットなどをはじめとした製造業のあらゆる分野が牽引役になっているほか、非製造業でも需要が増えている。IoTに代表される新たな流れのなかでFAセンサは「つなぐ」ための中核製品としての役割をますます高めている。少子高齢化、人手不足、人件費高騰が顕著に進む中で、FAセンサはこれらの課題解決につながる大きな切り札的な存在としての地位を強めている。

 

日本電気制御機器工業会(NECA)の2016年度(16年4月~17年3月)の検出用スイッチ出荷額は1087億円で、15年度比105.0%となっている。17年度も前年度下期からの好調を維持し、上期(4~9月)は603億円と同116.3%の2桁伸長となっている。このペースが継続すると今期は1200億円を突破し、2桁の大幅な伸びが見込めることから、検出用スイッチの出荷額としては過去最高となる。

FAセンサでも接触型に比べ非接触型の伸びが著しくいずれも2桁の伸びで、特に輸出では140%近い伸びのセンサもある。また、国内では安全関連のセンサが大きく伸長している。人手不足を補うためのロボット導入が進んでいることも大きな要因となっているものと推測できる。

FAセンサを取り巻く市場は、ロボットをはじめ、半導体製造関連、工作機械、自動車関連、インフラ関連で旺盛な需要となっている。FAセンサの大きな市場である半導体・FPD製造装置は、17年度は前年度比121.9%の2兆4996億円となる見通しで、18年度も108.3%の2兆7072億円が見込まれており、2兆円市場が継続する。半導体・FPD製造装置は、FAセンサでファイバセンサなど、比較的付加価値が高いセンサが多く使用される。

また、ウエハ用マッピングセンサ、真空対応センサなど特殊なセンサも数多く採用されるため、センサメーカーにおいては重要な市場である。ⅠoTに絡んだ情報化投資や自動車の自動運転などをはじめとして半導体の需要は急増している。スマホの有機EL画面や、高画質テレビなどの伸長で液晶などのFPDの需要も旺盛な需要が継続している。

もうひとつの大きな市場である工作機械の出荷も依然好調を維持しており、17年の出荷額が前年比131.6%の1兆6455億円と過去最高になっており、18年も1兆7000億円と2年連続の過去最高更新を見込んでいる。ボールねじやスライドといった部品の納期が長期化の様相を呈してきていることから、受注に比例した出荷ができるかが懸念されている。

ロボットも人手不足や人件費の上昇、製品の高精度化などから需要が急拡大している。日本ロボット工業会の見通しでは、17年の生産額は前年比128%の9000億円台乗せとなっており、18年はさらに上乗せされて1兆円を突破し、1兆1000億円も見込めるという大きな期待感が出ている。ロボットの稼働域周辺を柵などで囲まず、人といっしょの環境で稼働する協働ロボットの開発が普及を後押しする一因として挙げられるが、結果的にFAセンサの使用個数が増えることにつながっている。

ロボットはある意味でFAセンサの塊ともいえ、センサの使用個数が増えることはあっても減ることがないことから、今後の普及にともない、さらにセンサ市場拡大を牽引するものと見られる。

市場規模が、半導体・FPD製造装置や工作機械などに比べると大きくはないものの、FAセンサの安定した市場となっているのが、食品・医薬品・化粧品の3品業界である。

製造ラインにおける各種認識・識別、不良品検知などの用途で、重要性を増しており、「安全」「安心」といったキーワードに即している。製品トレーサビリティ用途に加え、このところは人手不足などに対応して、ロボットの活用に向けた投資も積極的に行われていることから、今後もさらに期待市場として注目されそうだ。

 

■進化する非接触式センサ

FAセンサの中でも市場の大きい光電センサは、LEDや半導体レーザを光源にした非接触センサとして、主にワーク(製品・部品)の有無確認のために用いられている。検出方式は透過型、回帰反射型、拡散反射型などがあり、年々性能が向上している。長距離検出には透過型が最適である。回帰反射型は、透過型で必要だった投光部と受光部の配線が不要で、その代わりにセンサの対向側に反射板を配置し、配線工数や設置工数を半減できる。特に反射型の性能向上、コストダウンが最近顕著で、従来苦手であったワークの色変化や傾きに強いタイプや、水や油などの環境に強いタイプなども存在感を増してきている。そのほか、超小型ヘッドで取り付けスペースが小さいアンプ分離型、非FA分野で多く使われる、AC電源で使用でき取り扱いが容易な電源内蔵型、取り付け場所を選ばず微小物体も検出できる光ファイバー式などがある。

特に光ファイバー式は、先端のファイバー部のラインアップが多彩で、取り付けや用途に合わせて選定がしやすくニーズが高く、数百種もラインアップをそろえているところもあり、あらゆる用途に用いられる。アンプ部も数値管理できるタイプが主流になってきており、パワーや精度、コストといった基本性能もさることながら、制御機器との通信機能、他センサとの互換性など各社さまざまな機能で差別化を図っている。

半導体や液晶製造装置では、微小物体検出用として、高精度、ローコスト、取り扱いやすいことから光電センサの需要が多く、大きな市場を形成している。最近は、小型化と長距離検出、高い保護特性など進化し、検出距離50メートル、保護特性IP69Kなどの製品も伸長している。特に耐環境性が高い製品は、従来接触式センサが用いられてきた工作機械などの分野でも採用が進み、装置設計の自由度を高めることに貢献している。

食品機械などの光沢検出、包装機械などでのマーク検出の分野では、従来色判別用光電センサが主力であったが、画像センサのローコスト化により、求められる速度や、検出内容により使い分けられるケースが増えている。カメラ、照明、カラーモニタを一体化したローエンドセンサの導入も増加傾向である。同センサは、色面積や印字有無判別、シール有無判別、シール異種混入判別、文字認識などが容易に行える。3品業界では、このようにユーザーのニーズに合わせた用途限定センサや提案解決型センサなど専用センサの需要が高まっており、余分な機能を省くことでローコスト化が図られている。

光電センサは、オートチューニング機能など使いやすさを追求した機能が一般化している。また、多点制御や差動検出など入光量をアナログ的に制御できるアナログ出力の光ファイバー式光電スイッチもある。最近では通信機能も備え、PLCと通信して、設定値を集中管理できるタイプも普及してきている。自動感度補正機能も各社搭載しており、ファイバー先端に汚れによる光量低減が生じても自動的に感度を補正するだけでなく、先端部の清掃を行った後も自動で元の感度に復帰するもので、再ティーチングの必要がない。また、光源に用いられているLEDの経年劣化による光量低下にも追従するタイプもある。

さまざまな対象物のインライン形状計測を実現した2次元形状計測センサは、帯状に広げたレーザ光を対象物に照射し、その反射光をCCDで撮像し、断面形状を計測する非接触型センサで、撮像情報から形状のプロファイルを生成し、対象物の断面形状(2次元形状)から、高さ・段差・幅・位置・交点・傾きなどの寸法形状を瞬時に計測。従来は数百万円していたが、数十万円で導入できるようになってきており、複数センサを使用していた用途を1台のセンサでカバーするなど導入によるコストダウンも見込まれる。

近接センサは、耐環境性に優れて、高温・多湿、水中などで使用できるという、他のセンサにはない大きな特徴がある。直径が3ミリの超小型タイプや、オールメタルタイプなどラインアップも増え、金属体、非金属体の混流ラインでも使用できる。検出距離は、数ミリ~数十ミリが一般的だが、最近は長距離タイプも発売されている。

 

■「IO-Link」も注目

安全対策用センサもマットスイッチ、ライトカーテンなど、接触式、非接触式など多様で用途に応じ使い分けされている。中でもセーフティレーザスキャナは、ソフトウエアで危険領域を限定でき、ロボットが使用されている工程や、無人搬送車などにも搭載されている。セーフティライトカーテンも、設計や取り付け・調整などの手間を省く改良がされ使いやすさが増している。光を用いた同期をすることで、省配線を実現、複数のセンサを使用しても干渉しない工夫がされているタイプもある。従来は誤作動による原因追求に工数がかかっていたが、LED表示や通信により、状況を知らせる機能も各社強化しており、導入後の工数も削減できる。

レベルセンサは、液面や粉体面が設定レベルになった時に信号を出力するセンサ。一般的なタンクや容器内の内容物のレベルを検出する用途が多いが、河川や湖沼の水位・水量測定、下水や排水の液面測定などにも利用されている。最近では、災害防止の観点から設備を強化する取り組みが行われており、無線通信機能を持たせて遠隔地のデータを伝送できるタイプや、光ファイバーを用いた通信を採用し、強いノイズ環境でも使用できる製品も現れている。さらに、自動車や二輪車などのエンジン周りや、外食産業の厨房にも採用されており、新規市場への浸透が進んでいる。レベルセンサに温度センサを内蔵し一体化することで、スペースの削減とトータルコストの低減も図られている。

超音波センサは、比較的長距離・広範囲の検出ができるのが特徴であるが、近距離での特性も向上している。また、超音波センサを複数同時使用時の音波のクロストーク対策として、自動同期機能を内蔵した製品も発売され、信頼性も高まっている。

ロボットの用途開拓が進むなかで、測域(レンジ)センサのアプリケーションも拡大している。測域センサは、周囲の障害物などの状況を把握する。レーザ光線で対象物までの距離を測定し、270度の視野に対して自分を中心に平面地図のような測域情報を得ることができる。長距離で高感度の検出が可能なため、最近では立体駐車場や、トンネル前での車両の高さ検出など、屋外や交通分野、さらに安全分野を中心に用途が拡大している。この領域では、画像データと組み合わせて精度を向上させる取り組みもなされており、活用の場が広がっている。

MEMS技術を応用したセンサは、フローセンサ、加速度センサ、非接触温度センサなどが挙げられる。フローセンサは、外乱による影響が少なくなり、高速応答を実現している。高感度のMEMS非接触温度センサは、広い空間でも人のセンシングが可能で照明環境に強く、静止している人もセンシングする。店舗や駅構内など、人の混雑状況をリアルタイムにセンシングすることで空調制御などのほか、防犯対策用としても需要が伸びている。加速度センサは、ロボット制御などでも活用されており、小型化、高精度化が年々進んでいる。MEMSセンサでは、モーターなどの音や振動エネルギーの異常振動を察知し、予知保全に応用できるMEMSセンサシステムもある。

センサの周辺を支える機器も充実してきている。コネクタ、配線システムなどは接続性やインテリジェント化が進んでおり、センサの機能をさらに引き出す役割を果たしている。そのひとつとして注目されているのが、センサデータの活用領域を広げるIO-Linkだ。

ⅠO-Linkは拡張性に優れた通信で、いままで利用できなかったセンサ内部の情報をユーザーがアクセスでき、しかもリアルタイムでクラウドベースでも利用できることで、最適制御、予知保全などへ大きく利用領域が広がる。センサをさらにインテリジェント化したものとしての活用につながることから今後利用が大きく増えそうだ。

センサのON-OFF情報だけでなく、状態管理、緊急判断といった場面でのAIと連携した活用も進むことが予想され、センサがものづくりを大きく左右するキーパーツとして重要性を増しそうだ。IoTの新しい流れの中で、センシング情報の果たす役割は大きいだけに、市場は今後も着実に伸びるものと思われる。

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