【2018年年頭所感】電子情報技術産業協会 会長 長榮周作「事業環境整備で競争に勝つ」

年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は当協会にとって新たな一歩を踏み出した年でした。それは会員制度に関する定款を変更し、IT・エレクトロニクス業界のメーカーに限らず、IoTに、密接に関係する企業に会員の門戸を拡げたことです。当協会は、高度な情報利活用によって新たな価値を生み出し、社会全体の最適化がもたらされる、世界に先駆けた超スマート社会の実現「Society 5.0」の推進を事業指針として掲げており、さまざまな産業との共創を推進することは重要なテーマです。成長分野へのシフトをより鮮明にすることを目的として、「先端交通システム部会」「ヘルスケアインダストリ部会」「スマートホーム部会」の3つの部会を新たに設置したのも昨年でした。早期の社会実装に向けた取り組みを、関連業界と協力して進めています。

ビッグデータ、人工知能(AI)、ネットワークなどの技術の進展により、あらゆるモノがインターネットでつながるIoT(Internet of Things)の時代が本格的に到来しました。当協会が昨年12月に発表した調査において、CPS(Cyber Physical System)/IoTの市場規模は、2016年に世界で194.0兆円、日本で11.1兆円、30年には世界で404.4兆円、日本で19.7兆円と約2倍の成長となることが予想されています。また、Society 5.0の実現を牽引する電子情報産業における世界生産額は、17年は前年比6%増の2兆7401億ドル、18年は前年比4%増の2兆8366億ドルとプラス成長を見通しており、今後も着実に成長していく見通しです。

このような中、当協会は、Society 5.0の実現に向けたCPS/IoT市場のさらなる拡大と事業環境整備に、より重点的に取り組んでまいります。

CEATEC JAPANの変革はまさにその象徴です。家電見本市の枠を超えた、「日本の成長戦略や未来を世界に向けて発信するSociety 5.0の展示会」として開催したCEATEC JAPAN 2017は、出展者数667社/団体(うち新規出展者数327社/団体)、登録来場者数15万2066人(前年比6886人増、同4.7%増)を記録し、1日あたりの登録来場者数平均は08年以来9年ぶりに3万8000人を超え、幅広い業種・産業が集う総合展示会に生まれ変わりました。

18年はより幅広い業種・業界の参画を促し、「つながる社会、共創する未来」の具現化と実現に向けたさらなる変革を加速してまいります。「CEATEC JAPAN 2018」は、18年10月16日(火)から19日(金)の4日間、幕張メッセにて開催予定です。

また、激しい国際競争の中にある当業界においては、新たなイノベーションや付加価値を生み出し、国際社会でリーダーシップを取っていくための事業環境整備が極めて重要です。税制については、Society 5.0の実現に向けてAI、IoT関連システム等の社会実装を図るべく、当協会が要望してきた「情報連携投資等の促進にかかる税制の創設」が18年度与党税制改正大綱に盛り込まれました。政府や関係者の皆様には深く感謝申し上げます。今後、当該税制をもとにデータの先進的な利活用を通じて、モノづくりはもとより、物流、サービス、建設、農業、保安などあらゆる分野・産業の付加価値生産性の向上に対しIT・エレクトロニクス産業がつなぎ役・支え役として貢献してまいります。

一方、CPS/IoT社会の実現に欠かせないデータ利活用とサイバーセキュリティについては、個人情報保護と安全なデータ利活用の両立を図るとともに、国際的に整合性のあるルール整備が不可欠です。昨年、TPP11本合意(大筋合意)や日EU EPA交渉の妥結など経済連携推進が大きく前進したことは大変喜ばしい成果であり、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。当協会は引き続き米国や欧州など世界の産業界や政府と積極的に連携し、日本企業の国際競争力向上に資する事業環境整備に取り組んでまいります。

20年の東京オリンピック・パラリンピックは、我が国発の新しいイノベーションを世界に発信する、またとない機会になることは言うまでもありません。この大舞台を前に、当業界は産業と産業のつなぎ役として、新たなビジネス創出を促すことで、SDGsをはじめとする社会課題を解決し、世界に先駆けた超スマート社会の実現とともに、日本経済のさらなる活性化に貢献していきたいと考えております。政府をはじめ関係各所と密に連携しながら、会員の皆様とともに、積極的に事業を推進してまいります。

2018年がわが国の新たな飛躍の年になることを心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

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