産業用ロボットを巡る 光と影 (3)

システムインテグレーター(SI)の役割 ロボットSIは実績を見て発注を

産業用ロボットに対する関心が高まり、「現場に導入するためにどうすればいいのか分からない」「新事業として自社でロボットの取り扱いを始めたいが、どんな技術や知識が必要なのか」という声を聞きます。これらに共通するのが、現場や作業内容に応じた適切なシステムを組み上げる「ロボットSI(システムインテグレーター)」であり、世界的に不足していると言われる職種です。ロボットSIとは、ロボット導入において一体どんな役割を担い、どういったステップを経て現場へ導入していくのかを解説します。

1・システムインテグレーターとは

産業用ロボットは、本体と周辺機器さえ購入すれば、作業を行ってくれるわけではありません。例えば、ロボットに溶接をさせたい場合、産業用ロボットと溶接機を電気的・機械的に設置するだけでなく、溶接がうまくいくように「条件出し」というセッティングする必要があります。また、ロボットの教示(ティーチング)も必要になります。これらを行ってくれるのがロボットSIです。

2・優れた提案力を持つロボットSI「ROSECC」

大手自動車メーカーなどにウォータージェットのロボットシステムの納品実績のある株式会社ROSECC(名古屋市名東区、堀志磨生代表取締役)の協力のもと、どのように産業用ロボットを導入されるか、その流れ「ヒアリング」→「エンジニアリング」→「設計」→「設置&セッティング」→「検証」の順にご説明いたします。

①ヒアリング
ヒアリングは、お客様から「製品をどのように加工したいか」「スペースは小さくまとめたいか」「1製品あたり何分何秒で作業したいか」「人件費をどれだけ削減したいか」などを聞くことです。

②エンジニアリング
エンジニアリングは、ヒアリングからハード(ウォータージェットやロボット)の選定、次にロボット台数、台数が決まるとレイアウトを決めていきます。
この「エンジニアリング」がSIのノウハウの見せどころで、ROSECCでは、「機能」はもちろんのこと、「コストを抑えて良いものを提案」してもらえます。

③設計
設計は、レイアウトからCADソフトなどを使用してロボット・ウォータージェット・製品・治具などの位置関係を具現化し、干渉などの問題が起こらないか、効率が良いかを検証します。

④設置&セッティング
設置&セッティングは、ロボットなどを配置し、ウォータージェットのマッハ数などをセッティングします。

⑤検証
検証は、実際にロボットに作業をさせてテストを行い、ユーザが望む加工ができていることをチェックします。

3・ウォータージェットはどういう場面で必要か?

製品をカットしたい場合、超音波カッター、炭酸ガスレーザ、ファイバーレーザなどが使われるケースがありますが、大手自動車メーカーは車の天井材やフロアカーペットではウォータージェットを使用します。その理由は3つあります。

1つ目の「サイクルタイムが速いこと」です。超音波カッターの2~2.5倍の速度でカットできます。

2つ目は「精度が高いこと」です。天井材の許容誤差はプラスマイナス0.5ミリ、フロアカーペットはプラスマイナス0.1ミリですが、これを実現できます。

3つ目は「熱が入らないこと」です。例えば、熱が入ると天井材のウレタンが溶けてしまうので、熱による製品の変形などを避けることができます。

4・さまざまなティーチングソフトを試したROSECC

第1回の記事で、産業用ロボットにはティーチングが必要である旨を記載しましたが、ROSECCもロボットメーカーが販売している安価なソフトから、高機能で数千万円するソフトまで、いろいろなティーチングソフトを試しました。その結果、現在は弊社ソフトを活用しています。理由は、現場向き機能が有りながら、簡単で使いやすく、リーズナブルでサポートが良いとのお声を頂いています。

5・悪質なSIに気を付けましょう!

産業用ロボットを初めて導入される企業は、付き合いのある商社やメーカーにいくつかSIを紹介してもらうと思います。

しかし、SIによっては、エンジニアリングと設計、検証が中途半端、もしくは行ってくれない場合があります。そうなると、製品の大きさや形状によってはロボットが届かなかったり、ロボットの姿勢によってはケーブルやホースが切れそうになったり、加工後の製品が不良品だらけになったりなどの問題が起きます。全国の工場を回っていると、「ロボットが工場に設置された段階で、テストもせずに検収してしまい、ロボットを動かしてみたら加工がうまくいかなかった。今はほとんど稼働していない」とのお声を聞くことがよくあります。

SIを選択される際は、決してコストだけでなく、そのSIがどこまでやってくれるか、実績があるかをよく調べてから発注することが重要です。

ホームページ上に「産業用ロボットならまかせてください」のような記述があっても、本当に実績があるかは分かりません。十分な注意をしていただきたいです。弊社に問い合わせていただければ、良いSIの紹介だけでなくロボットにまつわる、さまざまなことの相談に乗らせていただきます。

◆山下夏樹(やましたなつき)
富士ロボット株式会社(http://www.fuji-robot.com/)代表取締役。産業用ロボットコンサルタント。サーボモータ6つを使って1からロボットを作成した経歴を持つ。自社のオフラインティーチングソフトでさまざまな現場で産業用ロボットのティーチング工数を10分の1にするなど、生産効率UPを実現してきた。さまざまな現場での問題解決の方法を知る、産業用ロボットの導入のプロ。コンサルタントは「とりあえず無償相談から」の窓口を設けている。

オートメーション新聞は、1976年の発行開始以来、45年超にわたって製造業界で働く人々を応援してきたものづくり業界専門メディアです。工場や製造現場、生産設備におけるFAや自動化、ロボットや制御技術・製品のトピックスを中心に、IoTやスマートファクトリー、製造業DX等に関する情報を発信しています。新聞とPDF電子版は月3回の発行、WEBとTwitterは随時更新しています。

購読料は、法人企業向けは年間3万円(税抜)、個人向けは年間6000円(税抜)。個人プランの場合、月額500円で定期的に業界の情報を手に入れることができます。ぜひご検討ください。

オートメーション新聞/ものづくり.jp Twitterでは、最新ニュースのほか、展示会レポートや日々の取材こぼれ話などをお届けしています
>FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

オートメーション新聞は、45年以上の歴史を持つ製造業・ものづくり業界の専門メディアです。製造業DXやデジタル化、FA・自動化、スマートファクトリーに向けた動きなど、製造業各社と市場の動きをお伝えします。年間購読は、個人向けプラン6000円、法人向けプラン3万円から(いずれも税抜)

CTR IMG