ものづくりのブレイクスルーで未来を拓け!(5)〜生産技術がダントツ化している会社は競争力がある(後編)〜

技術力の強さ「新三種の神器」

高いレベルでコンカレント・エンジニアリングを行うには、3つのポイントがあると考える。

ポイント1:製品面・生産面の目標を高く
1つは製品面・生産面の目標を高くすることである。
たとえばコスト低減の目標が高い場合(50%減など)、開発・設計・生産技術部門が協力せざるを得なくなる。中途半端な目標では各部門の活動で目標を達成できてしまい、協力もしないという構造になってしまう。

ポイント2:製品や設計面の知識を上げる

2つ目は、生産技術部門が製品や設計面の知識を上げることである。
たとえば、開発・設計部門から図面が出された際に「つくりにくい」だけでは生産設計上の改善とならず「評論家」である。正しくは、「つくりにくいので、造形・寸法・公差を●●●にしたい、その場合でも製品性能には▲▲▲という理由で影響がない」と言えることである。
要は設計のことも考慮したうえで提案することが組織としての生産性も生むのである。また、これを作図の手戻りがないよう構想段階で摺り合わせることも重要である。組織全体としては、設計部門が作図して、生産技術の意見を聞いて図面修正となると工程全体で見ると手戻りが発生して効率を落とすことになる。

ポイント3:関連部門で人材交流

3つ目のポイントは、人材交流である。
結局のところコンカレント・エンジニアリングは関連部門のコミュニケーションと知識が高まらないと、うまくいかない側面がある。しがたがって、開発・設計部門と生産技術部門で人事ローテーションを行うことで、相互の知識が向上して人間関係もでき、コンカレント・エンジニアリングがうまく回る会社が多い。
関連して、意外に部門の座席レイアウトも大切で、開発・設計部門と生産技術部門が同じフロアにいる会社はうまくいっていることが多い。物理的に部門が近くなることで、心の壁もなくなっていくと理解できる。さらに開発・設計部門と生産技術部門の部門長同士の仲が良いと、うまくいくことが多いことも付け加えておく。
今回は、生産技術力の強さとして「新三種の神器」を取り上げた。その中でも古くて新しい課題であり、大きな事業成果を得る「コンカレント・エンジニアリング」について述べた。ぜひ、ご自分の会社のコンカレント・エンジニアリングのレベルを再確認していだきたい。「できているつもり」ではなく「トコトンできている」ことが重要である。

石田 秀夫 生産エンジニアリング革新センターセンター長 シニア・コンサルタント
大手自動車メーカーの生産技術部門の実務を経て、JMACに入社。ものづくり領域(開発・設計〜生産技術〜生産)のシームレスな改革・改善活動のコンサルティングに長年従事。生産技術リードでものづくりを変え、それを企業の段違いな競争力にするコンサルティングを推進中である。近年は日本版インダストリー4.0や生産戦略/生産技術戦略、ものづくりグランドデザインを主要テーマにしている。

 

◆日本能率協会コンサルティング 石田 秀夫

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