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落雷による被害増加 対策や機器で新たな市場形成 情報化社会の進展背景に

情報化社会が進展するなかで、落雷による被害も増えている。同時に、その被害を未然に防ぐための対策や機器も増加して、新たな市場を形成している。PV(太陽光発電)システムや風力発電システムなど、落雷が起こりやすい設備が増えていることもあり、関連市場の裾野も広がりを見せている。

“夏は落雷の季節と言われるが、気象庁の雷監視システムによる夏(6~8月)と冬(12~2月)の雷の地域的な特徴を見ると、雷は夏.冬を問わず発生している。夏は、関東や中部、近畿地方を中心とした広い範囲で多数の検知がみられ、年間の総検知数の大部分を占めるが、冬も日本海沿岸での検知数が多くなっている。

落雷の被害も、2005~11年の7年間に気象庁に報告のあった被害数は932件で、このうち約30%(282件)が8月に集中している。また、発生地域の特徴を見ると、太平洋側で約60%、日本海側約40%と、太平洋側での発生が多い。月別に見ると、4~10月は太平洋側で多く、11~3月は日本海側で多くなっており、雷監視システムによる検知数とほぼ一致する。

ここ50年間で見ると、雷の発生件数は近年増えている。東京地方を例にとると年間の雷発生日数は、50年代では平均9.1日だったのに対し、60年代は10.1日、70年代が9.3日、80年代が10.5日と大きな変化は見られなかったが、90年代は12.5日、10年~14年の4年間平均では17.8日と、突出して増えていることがわかる。

日本国内の落雷による被害額は、物損などの一次被害や休業損失などの二次被害までを含めると年間2000億円に達すると言われている。

雷自体の発生件数が増えていること以上に、PVシステムや風力発電など新エネルギーの普及による設備数の増加や、携帯電話基地局に代表される屋外設置の設備増加、情報化の進展に伴う(電圧異常などの影響を受けやすい)電子機器の普及によるところが大きい。

近年増加している雷被害の多くは、近隣の落雷が建造物に侵入して機器を破壊することによるもの。中でも自動火災報知設備や電話、ブレーカ、防犯警報装置といった、電源線と信号線が接続された電気.電子機器の被害が増えている。

■直撃・誘導・逆流雷に大別
落雷の被害を防ぐには、雷撃の種類に応じた対策が重要になる。雷撃の種類は大きく「直撃雷」「誘導雷」「逆流雷」の三つに分けられる。

直撃雷は一般的な落雷で、雷放電による電流の大部分が人体や建築物.樹木などを通過して、人命を奪ったり、機械設備の破壊、火災の発生など被害を及ぼす。

誘導雷が、電源線.通信線やアンテナなど雷電流からの電磁誘導によって発生する高電圧で、機器などを破壊する。

逆流雷は、建造物への雷撃時に接地抵抗が十分な低さでないことによって、電源を供給している電源線や通信線などに雷電流の一部が逆電流となって流れるもので、山頂負荷が供給配電線で被害が多くなる。

直撃雷には、避雷針などで構成する「外部雷保護システム」が必要で、誘導雷には磁気を遮断して対象物を保護するサージ防護デバイス(SPD)を、逆流雷には雷撃場所の接地抵抗値を低減する耐雷トランスやSPDの設置が有効となる。

落雷時の電圧は、200万~10億V、電流は1000A~50万Aにも達し、大電流自体が被害を与えるのはもちろんのこと、大電流により発生する強烈な電磁や蓄積された電荷により、電気.機械.通信設備や装置などが損傷、さらに大電流に伴う二次的な被害が加わる。特に通信に依存する現代社会では、通信設備のダウンは、機器の損傷とは比べ物にならない程の被害をもたらす。そのため、通信設備に対してもより一層の雷害対策が求められている。

こうした落雷によって生じる火災や建物の破壊、人身被害を防ぐために、高さ20メートルを超える建築物には雷を受ける受雷部の設置が法的に義務付けられている。
雷保護システムは、直撃雷から建物や人を保護するために受雷部と引き下げ導線、接地システムからなる「外部雷保護システム」と、等電位ボンディングや安全離隔距離の確保を含む「内部雷保護システム」とで構成される。これによって、落雷を受けても雷撃電流を安全に大地に逃がすことにつながる。

また、雷保護設備への雷撃に対する保護角は、建築物の規模、高さ、周辺の地形、建築物.樹木などの有無、雷電流の大きさなどの要因で変わる。高い建築物に受電部を設置する際の雷保護方法には、「保護角による方法」と「メッシュ法」があり、単独、および組み合わせで対応している。

雷害対策機器メーカーでは、様々な落雷被害を想定し、系統安全、外部雷保護、内部雷保護など、それぞれの個所で雷害対策機器・システムを用意している。

系統安全では、安全な電気の流れを制御.監視、さらに機器を点検する役目を果たす各種の機械がある。具体的には、直流回路の地絡を検出し、極性の判別を高精度.高感度に行う直流地絡継電器や、プラグイン式の分離型直流地絡電流継電器、多回路型同継電器、回路ごとの絶縁抵抗値を計測し、同値が低下すると警報で知らせる直流回線別絶縁監視装置、直流漏電警報付き配線用ブレーカ、往復の負荷電流のわずかな差電流を検出する貫通型直流地絡変流器、作業者の安全用に交直両用検電器などの製品がある。

■SPDの需要が拡大
07年に建築設備設計基準が大幅に改定され、SPDの分電盤などへの取り付け基準が大幅に緩和された。これにより、SPDの需要が拡大し、製品単価の下落もあり雷害対策機器の普及につながっている。

さらに、建築設計基準改定に伴い、避雷器の電源用SPDにおける最大連続使用電圧量が、従来の200Vクラス対応から500Vクラス対応までに拡大された。従来250V対応機器を2台使用していたケースでは、500V対応機器1台で対応できるようになり、使用者側のコストダウンにもつながっている。

最近のSPDの製品傾向は、雷サージのカウント機能と、SPDの寿命を予知する機能を一体化した電源用SPDなどが開発され、小型化も進んでいる。従来、現場での判断が難しいとされていたSPDの寿命判定機能を設けることで、効率の良いメンテナンスが可能となり、安全性と保守性双方の向上が図れる製品として注目されている。同時に、SPDの設置場所から遠方の監視システムに故障状態を送信する故障監視機能も充実してきている。

電源用では、PVシステムや風力発電システムなどの直流(DC)機器での短絡対応として、安全側に働くフェールセーフ機能による遮断技術が求められている。

クラスⅡSPDの動作状況を把握し、SPDの接地線に流れたサージ電流レベルや日時などのデータを記憶できる装置がある。SPDは、雷サージなど過渡的な過電圧を制限し、サージ電流を分流する機能を持つ。この製品は、雷サージ侵入の有無を把握する従来のサージカウンタとは異なり、SPDに直接接続することで詳細な劣化日時を記録.表示することができる。

電池駆動で停電時も使用でき、雷被害要因の特定や事故原因の調査、新たな雷サージ対策、SPDや設備のメンテナンスの効率化など、SPD動作の見える化を実現している。また、SPDの劣化接点端子を接続することで、同端子が動作した時刻も記録するほか、SPDの動作頻度や状況も把握でき、太陽光発電システムや風力発電システム用、水処理施設用、データ監視、遠隔監視など、幅広い用途に採用されている。

■周辺ソリューション充実
落雷対策が各方面で進む中で、周辺のソリューションも充実しつつある。

そのひとつが「落雷情報配信サービス」だ。気象情報を基に、落雷位置を検出してその情報を配信し、落雷被害を未然に防ぐ。さらには、実際に落雷があったかどうかを調査し、「落雷証明書」を発行することもできる。また、落雷による被害レベルなどを事前にWEB上で診断できる「雷リスク診断サービス」といった提案も始まろうとしている。

そのほか、雷害対策機器関連メーカーでは、自社で試験設備を備えてあらゆるシーンを想定した開発を進めている。電気関連試験だけでなく、塩害などの自然現象も対象にしている。

雷害の研究や対策機器の普及、規格の整備に向けて関連団体も活発な活動を行っている。

雷による被害が増えるにつれ、雷対策への理解も深まってきている。情報化社化の発展でますます関連機器の増加が進み、その被害拡大のリスクが高まってくる。企業の危機管理対策の一環として、雷対策関連機器の市場はさらに広がりそうだ。

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