IoT(モノのインターネット)やM2M、インダストリー4・0などといった言葉で、製造現場でも外部との情報ネットワークが繋がる時代が日常化してきた。市場の状況や生産の進捗、開発の現況などがリアルタイムで分かるという利点がある半面、外部への情報漏洩の危険性が指摘され、セキュリティーリスクの心配が浮上している。ICT(情報制御技術)抜きで、ものづくりができづらくなっている時代だけに、悩ましい問題だ▼こうした課題解決の切り札ともいえる技術を三菱電機と立命館大学が開発した。LSIの製造段階で生じる個体差を利用し、機器の秘匿と認証を行うセキュリティー技術で、指紋のようにLSI個々に存在する固有のIDを利用したもの。全部の指紋が異なるように、大量のLSIでも全部が異なるIDを持つことになるため、そのLSIを持つ機器でしか使用できず、機器の安全性確保に繋がる▼従来から、LSI製造段階で生じるこうした個体差をなくすための研究が進められてきた。今回の対策はこの個体差を逆手に取った発想から生まれている。コンピューター全盛の時代に、セキュリティー対策には暗号技術など色々方法がとられているが、矛と盾の関係が継続しているのが現状である。意外な所にセキュリティー技術が存在していた。盾の切り札となることを期待したい。