操作用スイッチ市場、堅調に拡大 省配線・省工数化、DC機器用高電流対応が進展 不安要素少なく安定した伸びを維持

操作用スイッチの市場は、輸出が大きく伸長し、国内は横ばいで推移しており、全体としては堅調な拡大を続けている。この先も大きな不安要素は少なく、しばらく安定した伸びが維持されそうだ。製品傾向も、小型・薄型化は一服しているが、省配線化や省工数化、DC機器用高電流対応などが志向され、さらにデザイン性なども重視されている。機器のインターフェイスを担う重要機器として、今後も新製品開発が続くものと思われる。

機器・装置の電源の入り切りや制御方法の変更を行う操作用スイッチは、電気の使用が伴うすべての機器に搭載され、重要な役割を果たしている。

産業用や業務民生機器用を中心に使用されるスイッチの出荷統計をまとめている日本電気制御機器工業会(NECA)によると、操作用スイッチの2013年度(13年4月~14年3月)出荷額は、前年度比106・2%の382億円となっている。国内が同101・8%の280億円、輸出が同120・4%の102億円で、輸出が非常に高い伸びになっている。為替が円安に振れたことも輸出額が大きく増える要因となっている。

14年度上期(14年4月~9月)の出荷額は前年同期比105・4%の約200億円。国内は99・1%の139億円と微減となっているが、輸出が122・9%の61億円と大きく増加している。円安効果もあり、海外市場での採用が増えているようだ。

操作用スイッチの統計は、NECA以外でも、電子情報技術産業協会(JEITA)が、家電など民生機器用や車載用などの統計をまとめている。これらの生産を加えると操作用スイッチとしての市場はさらに大きくなる。

■国内はインフラ投資継続
操作用スイッチ市場が好調な背景には、国内市場でインフラ整備に伴う投資が大きな影響を与えている。20年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた鉄道、道路、上下水道、各種施設の建設やリニューアル投資は今後継続していくことが見込まれている。

ビルの新築やリニューアル投資は東京だけでなく主要大都市で継続しており、加えて東北地区の復興需要も増加が期待されている。こうした投資は、受配電機器向けのスイッチに加え、これらの操作用にも大きな波及効果としてつながっている。

また自動車、スマートフォンなどの生産拡大で工作機械や半導体製造装置、部品実装機の生産が増加、比例して操作用スイッチの需要が伸びている。

エネルギー関連の需要も大きな追い風となっている。ソーラーや風力発電周辺のパワーコンディショナー、スマートメーター、電源・蓄電関連、充電スタンドといった用途は、従来なかった新しい市場だけに期待も大きい。

そのほか、ロボット関連、医療機器、セキュリティ機器なども着実に拡大を見せている。

■用途によって使い分け
操作用スイッチは、押しボタン、照光式押しボタン、セレクタ、カム、トグル、ロッカー、フット、多方向、デジタル・DIP、シートキーボード、タクティルのほか、イネーブルやセーフティなど安全関連で、多種多様なスイッチが使用用途によって使い分けされている。

こうした中で、小型・薄型・短胴化傾向はほぼ一巡し、現在は安全性、信頼性、保護構造、デザイン性などをポイントに開発が進んでいる。

中でもデザインと保護構造の進展は著しい。機能を果たせば良いとされていた操作用スイッチであるが、最近は搭載機器とのマッチングを重視する傾向が強まってきている。スイッチ筐体をメタル調の素材にすることで、樹脂素材と一見異なるような風合いにして、機器全体の高級感を演出しようとしている。筐体だけでなく、表面も操作部分も鏡のような状態にすることで、機器が稼働していない時のデザイン、稼働している時のデザインといったように、使用している周囲環境に配慮した製品も発売されている。

■薄型タイプが浸透
押しボタンスイッチでは、操作部分の高さを抑えた薄型タイプが浸透している。薄いことによるデザイン性の良さだけでなく、凸凹の少ない操作パネル面は、食品機械や半導体製造装置においてゴミや埃の付着を防ぐとともに、パネル面の突起部分を抑えることで誤操作などの危険性を低くする目的もある。

表示灯とスイッチが一体化した照光式スイッチは、スペース性の良さから操作用スイッチの中で最も使用されているが、ここで使用されるLEDの高輝度化も著しい。LEDは高輝度、長寿命、低消費電力が大きな特徴であるが、特に低消費電力は大きな魅力で、装置全体でスイッチを多数使用する場合、メリットが大きい。高輝度LEDの開発で視認性が向上し、また、少ないLEDチップ数でも輝度を確保できることに伴い、スイッチの薄型化や小型化をさらに進める効果につながっている。

光源はLEDだけでなく、液晶や有機ELなどの採用も増えてきている。ここでは光源というよりは、文字や数字、キャラクターなどのメッセージを表現することに利用している。一つのスイッチの表面に表示されるメッセージなどが操作するたびに内容が変わることで、限られたスペースの中で、多機能な伝達が可能になる。

タクティルスイッチは、プリント基板に直付けし、シートキーボードスイッチやパネルスイッチなどと組み合わせて使用することが多く、特に携帯電話の多機能化に伴い、需要が拡大している。低背化、インチピッチを採用した端子が特徴で、丸洗い可能な密閉構造や照光タイプなどもあり、確実な操作感が得られる。

DIPスイッチやデジタルスイッチは、OA・情報・通信機器などで数多く使用されている。中でもDIPスイッチは、一般的に一度設定するとその後はあまり操作しないことから、接触信頼性の確保が求められる。ナイフエッジ構造などにより、フラックスなどの浸入による接触不良の解消を図るとともに、プリント基板実装後の洗浄もシールテープなしで可能である。

■アークの発生対策重要
ロッカースイッチは、電源のON・OFFなどによく使われる最も一般的なスイッチ。比較的大電流の入り切りを行うため、操作時の突入電流による接点やハウジング対策が重要となっている。機器の小型化が進む中で、シーソースイッチの小型化も進んでいる。同時に屋外や環境の悪いところでの使用に対応して、防塵・防水対策を施した製品も増えている。

ソーラー発電や充電スタンドなどの普及に伴い、DC(直流)機器が普及している。シーソースイッチもこうした用途での使用が多いが、DC12Vや24Vといった低電圧ではさほど操作上問題にならないが、DC400Vや600V、さらには1000Vといった高圧なDC機器のスイッチの開閉で、大きなアークの発生など接点への負荷が大きくスイッチの構造に高度な技術が求められる。材質や回路設計など、各社が工夫を凝らした開発に取り組んでいる。

トグルスイッチは、IP67相当の保護構造を実現しており、水のかかる用途でも高い信頼性で使用できる。

操作レバーを全面照光式にした製品もあり、暗い場所でもON・OFFが操作レバーの位置で確認できる。一部のトグルスイッチやスライドスイッチでは、スナップアクション方式を採用。クイックな動作で出力の安定を図り、接触信頼性を高めると同時に長寿命化を実現。

多方向スイッチは、1本のレバーで多くの開閉が可能で、細かな操作を行う用途に最適である。

カムスイッチは、多くの回路とノッチが得られるため、複雑な開閉などに対応できる。用途によって操作開閉頻度に大きな差があるため、接触信頼性の確保が最優先で求められている。

フットスイッチは防浸・防水性能が向上して、水中での使用や、医療分野、食品分野でも安心して使用できる。安全操作の面でも、3ポジションタイプのほか、安全ロックレバーを搭載したタイプや、ペダルの高さを低くしたタイプなどが出てきている。同時にワイヤレスタイプのフットスイッチも注目されている。Bluetoothなどを使用し、スイッチの配線をなくしており、医療現場などたくさんの機器が使用されている中で、ケーブルがあることによるトラブルを防げる。

■「地産地消」の動き強まる
操作用スイッチは成熟市場と言われながらも、技術革新を進めており、使いやすさが向上している。市場がグローバル化していることもあり、為替の動向に関係なく「地産地消」の動きは今後も強まることが予想される。

各国・地域のローカルニーズに合わせた開発が進んでいき、さらに多様なスイッチが登場しそうだ。

NTTデータGSL

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