タイ現地企業との取引・合弁を模索する企業の急増 日本との業務提携促進

2014年10月22日

【バンコク週報特約】タイに進出する日本の中小企業(SME)の動きが加速するなか、タイ現地企業との取引・合弁を模索する企業も急増している。タイの中小企業にとり日本企業は良きパートナーとなりうるのか。タイ下請け産業振興協会(タイ・サブコントラクティング・プロモーション・アソシエーション)のソムキアット・チューパックチャルン会長に話を聞いた。

“タイ下請け産業振興協会は、(1)メタル加工・金属プレス・コーティング・ダイカストなど金属産業(2)プラスチックやゴムなど素材産業(3)電気電子産業(4)ロジスティクス・パッケージングなど製造業関連産業の4分野の中小企業支援を目的に設立。会員企業は今年9月末時点で383社となる。

分野別企業比率は、(1)6割(2)2割(3)(4)1割。昨年行った2012年の会員企業業績調査では、総売上が約1000億バーツ、従業員は約1万8000人だった。

前身は、1999年立ち上げのタイ下請け産業クラブ。03年にタイ投資委員会(BOI)などの助言で協会に格上げされた。

現在、会員企業のグループ化を進めることでSME全体のレベル引き上げを図るとともに、15年末発足のASEAN経済共同体(AEC)を視野に入れ、グローバル化も推進している。

(1)政府機関とのコラボ事業(2)会員企業と内外企業の合弁支援(3)展示会・見本市の開催支援が業務の3本柱となる。特に、(3)は市場拡大のために必要不可欠であり、下請け産業展示会「サブコン」、金属加工・工作機械展示会「メタレックス」、モノづくり産業展示会「マニュファクチュアリング・エキスポ」などでは運営者として長年その発展に貢献してきた。
海外展開を支援

さらに、タイ中小企業の海外展開も支援する。日本市場は特に重視しており、昨年は100社を超えるタイの有力企業の日本市場視察をコーディネート。機械要素技術展「M―TECH東京・大阪」、異業種交流展示会「メッセ・ナゴヤ」などを訪れている。

「タイSMEにとり最新テクノロジーの知識は絶対に必要。今後も研修の場を提供していく」と力を込めるソムキアット会長。

「タイSMEが所有する工作機械は日本企業のそれと比べ遜色はない。日本と同レベルの部品を製造することも可能であるが、そのための技術とノウハウが不足している」(ソムキアット会長)という。

タイのSMEを成長させるためには、最新テクノロジーを積極的に導入したうえで、タイに適合させるなどのイノベーションが必要という。前述した日本での展示会視察もその一手段であるが、やはり視察は一過性。技術移転を受けるためには、スパンの長い事業提携が必要となる。
地方自治体と連携

そのため、タイ下請け産業振興協会は、日本の地方自治体との経済提携に意欲を示す。13年12月に山梨県、14年1月に鳥取県と経済提携に関するMOUを締結。鳥取県とは現在、「お互いプロジェクト」の展開を模索中だ。コスト高がネックの日本と、ノウハウの蓄積が遅れているタイが協働していく道を探っており、WINWINの関係構築を目指す。

また、山梨県は見本市参加を通じてタイ市場への食い込みを狙う。協会では同県企業の出展をアレンジしており、今年5月に開催された「サブコン・タイランド2014」では過去最高となる9社が出展した。また現在、技術者・職員の人的交流も計画中という。

さらに、今年11月には長野県諏訪市で産業関連NPOとの経済連携に関するMOU締結式を予定している。タイへの進出を検討している同県のSME部品産業を、協会として全面的に支援していく考えだ。

このほかにも、島根県とはM―TECH東京・大阪でコラボ活動を行っているほか、新たに3県・区が同協会との提携に意欲を示しているという。

ソムキアット会長は「タイのSMEの8割が日本との提携を希望している」と言い切る。ただ、同会長は私見と前置きした上で、「量より質が大切」と強調する。広く浅い提携より、狭く深い連携を望む。将来的には日本の地方自治体・企業とタイでクラスターを形成するなど親密な関係を築きたいという。

なお、AECへの準備であるが、会員企業の7割はすでにコスト計算に入っているが、残り3割はどう対応すべきかが、まだよく分かっていないとのこと。”