機械安全対策機器 さらに市場拡大 ロボット活用、各方面に広がる

2014年7月30日

製造業の労働災害が依然、高い水準で発生している。熟練作業者の減少、消費税増税前の増産体制などが背景にあるとみられる。法律面からも安全対策への整備が進んでおり、安全関連機器の出荷は増加している。ロボットの活用が各方面で広がっていることから、安全対策機器の市場はさらに拡大が期待されている。

国内における製造業の労働災害死傷者数(死亡・休業4日以上)は、厚生労働省の統計(確定)によると、2013年(1~12月)は2万7077人であった。12年は2万8291人であったから、1214人(4・3%)減少した。全産業での13年の労働災害死傷者は11万8157人(前年比1419人減、1・2%減)で、製造業の死傷者は全体の22・9%を占め、商業(32・7%)に次いで2番目に多い。

製造業の死傷事故の発生状況は、機械への「はさまれ・巻き込まれ」が7626人と最も多く、続いて「転倒」が4755人、「切れ・こすれ」が2972人。

労働の安全対策は、国や企業が長年継続して取り組んでいるものの、依然として発生を防げていない。種々の安全対策が進み、モラル、法律、対応機器などが整備されている中で、熟練技術者の減少やパート・アルバイトなどの増加、さらに機械・装置の老朽化などが、発生の要因になっていることが多い。

■熟練技術者不足が原因に
製造業では最近、素材産業加工工場の爆発事故が増えている。危険物の製造といった火災の発生しやすい環境のため、爆発事故などの対策は取られているが、発生は防げていない。その背景には熟練技術者の不足がある。そうした人たちが定年になった後の育成が進んでいない上に、外注への依存が高まっていることで、社内の設備保全が疎かになってきている。海外との競争もあり、国内での新規投資や補修投資を抑える傾向が、こうした事故の誘発要因になっていると言える。

安全対策機器の市場規模は、日本電気制御機器工業会(NECA)の出荷統計によると、13年度は前年度比9・9%増の271億円と、3年連続で過去最高額を更新している。国内が2・7%増の193億円となって4年連続で伸長し、海外も33・0%増の78億円となり、いずれも過去最高となっている。

NECAでは14年度の全体出荷額を4・5%増の6700億円と過去最高を予測しており、安全制御機器もこれに比例して伸長するものと期待されている。

■自動車駐車設備で対策強化
安全対策機器を取り巻く環境として、最近のトピックスは自動車駐車設備の安全対策の強化だ。駐車場や駐車設備での死亡事故が増加しているためで、国土交通省がこのほどまとめた「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」で、製造者、設置者、管理者がそれぞれ守るべき事項を示し、事故の発生防止を図ろうとしている。

また、13年12月には安衛則のロボット使用時の柵囲いについての解釈が見直され、従来80W超の産業用ロボット使用時については柵囲いが義務付けられていたが、80Wであるかどうかに関係なく、リスクアセスメントを行って安全確保が確認できていれば柵囲いは不要ということになった。使用者にとっては安全対策が軽減できることになるが、一部には事故対策に懸念が生じるという声もある。

ロボット規制では、生活支援ロボットの国際規格が今年2月に発効し、日本からの提案が採用された。生活支援ロボットについても、安全対策の不明確さが普及のネックの一つと言われていたことから、今後の普及に向けて弾みがつくことが期待されている。

13年10月からは、食品加工用機械の規定を追加した改正「労働安全衛生規則」(安衛則)で食品加工用機械による作業事故を防ぐために、機械の危険な部分への覆いの設置や、食品の原材料取り出し時の運転停止、用具の使用などが義務付けられた。

食品加工用機械による12年の死傷災害は、2000件近く発生しており、ほかの産業機械による災害数の2~3倍と特に多い状況になっており、改正安衛則の施行により機械安全対策機器の新たな市場拡大につながるものとして期待されている。

安全対策機器は多岐にわたるが、主なものとして安全リレー、安全リレーユニット、セフティドアスイッチ、セフティリミットスイッチ、非常停止用スイッチ、ソレノイド付き安全スイッチ、エリアセンサー/ラインセンサー、フットスイッチ、マットスイッチ、テープスイッチ、ロープスイッチ、プログラマブル安全コントローラ、安全プラグ、安全確認型回転停止センサ、非通電電流センサなどがある。これら各種安全対策機器を用途に合わせて、機械本体や機械周辺に装備して安全を確保する。

メカニカル機構の安全機器が多かった中で、最近は電子技術を応用した安全機器が増加している。PLCやサーボモータ、インバータなども安全対策を内蔵した製品が増加してきており、制御用と安全用が分かれていたフィールドネットワークでも、混在した形で構築できるようになってきており、ユーザーの負担を軽減している。

■NECAがWGを発足
NECAや日本認証(JC)などが中心となって展開している「セーフティアセッサ認定制度」はアジアを中心に海外でも取得者が増加しており、今年4月からは新たに、「機械譲渡における危険性等の通知作成者の要件」を満足する内容を追加した。これによって、セーフティアセッサはこの要件を証明する日本初の資格になる。

NECAでは安全関連事業のさらなる展開として「制御盤設計安全分野」の資格化に向けたワーキンググループを発足させ検討を進めている。

国際的に安全への取り組みが進む中で、安全対策関連メーカー各社は、市場の広がりを次のステップアップにつなげようとしている。販売手法も安全機器のラインアップアピールから、アプリケーション提案によるコンサルティングに重点を移そうとしている。

防爆安全機器を含め、安全対策機器は新たな普及期に移つりつつある。