工場以外にも用途拡大 産業(FA)用コンピュータ・コントローラ システムソリューション提案がポイント

産業(FA)用コンピュータ・コントローラの用途が広がっている。工場などの生産現場から、公共設備、ビルシステム、医療分野など工場以外の用途にも拡大しているためで、今後は海外市場の開拓も見込まれ、期待が高まっている。CPUなどの半導体技術も日ごとに進歩し機能アップも継続しており使いやすさが増しているが、今後は機能だけでなく、周辺機器と調和したシステムソリューション提案も大きなポイントとなってきており、加えてサービス体制や長期間安定して供給できるサポート体制も重要となっており、各メーカーはグローバルな市場をにらみながら、構築を進めている。
振動や温度変化の激しい環境下でも安定して稼働する産業(FA)用コンピュータ・コントローラは、汎用のパソコンとは異なる耐久性を持つことから、工場などの生産現場だけでなく、上下水道やダムなどの監視制御用途、交通管制システム、ビル制御システム、医療機器など多岐の分野にわたって市場を広げている。そのほとんどの用途が長期間稼働を停止することができないところで利用されているのが大きな特徴だ。

医療用システムなどの用途では、使用開始前に稼働の評価試験を行っておく必要があり、汎用パソコンのように販売期間が短いと、買い替えのたびにこの評価試験が求められ、導入時の煩雑さが増すことになる。交通システムでは、汎用パソコンでは難しい24時間連続稼働や、長期間の運用に伴う製品供給、長期間の保守などが必要だ。
過酷な使用環境下で威力

高温多湿で粉塵、振動が多い場所など、汎用パソコンでは耐えられない過酷な使用環境下で威力を発揮するのも産業(FA)用コンピュータ・コントローラの大きな強みである。例えば、産業(FA)用コンピュータ・コントローラに内蔵されている電子部品が使用周囲温度によって寿命が左右されることによる温度対策は大きなポイントのひとつで、長期間過酷な使用に耐えられる部品選定に加え、最適な温度対策が必要になる。吸排熱を最適に行える筐体設計と部品の配置で、温度上昇をなるべく抑える工夫、メンテナンス時などに寿命の来たハードディスク、冷却ファン、リチウム電池などの交換を容易に行える設計構造などで、産業(FA)用コンピュータ・コントローラが機器などに組み込まれて使用されていても、本体を全部取り出さなくても、前面から交換作業ができるように設計しておくことも重要だ。
ファンレス設計も増える

また最近、冷却ファンを持たないファンレス設計の産業(FA)用コンピュータ・コントローラも増えている。冷却ファンを持たないため、ファンの定期交換が不要になり、ファン回転による騒音や塵埃の吸引・飛散などが防げることになる。

冷却ファンを使用しないで済むように、空気が流れやすいようなケース設計や、ヒートシンクやペルチェ素子といった無音の排熱装置を利用したりしている。電子回路の省電力設計によって発熱量自体を抑えることでファンレスを実現する方法もある。
保守対応10年のメーカーも

産業(FA)用コンピュータ・コントローラは、こうした長期間の使用に耐えられる設計によって、汎用パソコンとの差異化を図っているが、販売するメーカーの長期間サポートできる取り組み体制も大きなポイントと言える。一般的な汎用パソコンの製品供給期間が3カ月~1年程度であるのに対し、産業(FA)用コンピュータ・コントローラは、同3~5年、保守期間も汎用パソコンが3~5年であるが、産業(FA)用コンピュータ・コントローラは製造終了後7年間と長い。メーカーによってはオプションでさらに3年の計10年間の保守対応を行っている所もある。こうした長期間安定した供給ができることで、産業(FA)用コンピュータ・コントローラのユーザーは、継続的な装置への組み込みや、段階的なシステム増設などの用途で、安心して採用することが可能になる。

産業(FA)用コンピュータ・コントローラを効果的に使用することは、従来は別々であった工程を一体で処理したり、並行で処理したりすることができ、処理時間の短縮やスループットの向上が図られている。

例えば、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置などでは、より複雑なプロセスを短時間で高速処理することが求められており、1つの装置に複数の制御コントローラと産業(FA)用コンピュータを使用しているケースが多い。このような場合、最先端のCPUや、メモリー2GBクラス以上のハイスペックな製品が要求されるとともに、インターフェイスについても増設コストを少しでも抑えるため、たくさんのシリアルやUSB、拡張スロットを内蔵することが求められる。

拡張スロットは、画像処理ボードやモーションコントロールボード、各種フィールドバスボード、GP/IB通信ボード、AD変換ボードなど、用途に応じたボードを使用し、シリアルやUSBには、各種ホストコントローラやUPS、計測装置などの周辺装置を接続することが多い。

最近発売の産業(FA)用コンピュータ・コントローラは、第3世代インテルCore
i7プロセッサの採用で処理能力が4倍に向上した製品や、USB3・0、PCI―Express3・0などの最新高速外部インターフェイス、高速オンボードグラフィック機能の搭載で、CPUの高速処理性能と併せて大量のデータの高速処理を可能にするなど、機能と使いやすさが一段と向上している。

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