配電盤・制御盤配線の省力化・合理化手法~端子台接続方式の国際トレンドを探る~

2013年4月24日

◆欧州式接続方式採用のメリット◆

今まで端子台のトレンド、規格について述べたが、IEC規格に準拠した欧州式端子台、とくにスプリング式端子台を実際に採用する際のメリットは、省スペース、省工数、国際規格整合などが挙げられる。

国内の一般的な丸圧着端子台と、欧州式スプリング端子台の作業時間を比較すると、スプリング式の場合、電線の先端加工をせず、裸線での接続が可能であり、また、電線接続時にネジを緩めたり、締め付ける作業をする必要がないため作業時間が10%から25%程度削減できる。先端加工をせずに電線接続をする場合が多い業界としては、鉄道、船舶などが挙げられるが、国内で使用される電線の素線は、海外よりも細線が多く、先端加工をしないと「ばらけ」たり「ひげ」が出たりするケースがあるため、フェルール(棒端子)を使用して先端加工をする場合が多い。また、丸圧着端子台でも、従来のネジを緩めて接続するタイプだけでなく、あらかじめネジ部が開放されている製品も発売されている。そうすると、単純に「作業時間が短くなる」とは言い難い。
◆ネジの増し締め不要◆

ここで注目したいのは、施工後のメンテナンスである。ネジ式は産業界の長い経験上「ネジはゆるむ」ということから、今まで端子台は製品輸送後、あるいは設置後の定期的な「増し締め」をすることが常識になっている。ネジの緩みを確認するため、ネジ締め後にマジックなどでマークを付ける日本式の作業も、工数を増やす要因である。

一方でスプリング式の場合、電線をバネ構造で挟み付けているので、基本的にゆるみはない。この機能を検証するため、通常端子台メーカーでは振動試験、衝撃試験などを行って製品評価をしている。つまり、施工時の時間的短縮は丸圧着端子台とさほど変わらなくても、以後のメンテナンスが不要になる点は、大きなメリットと言える。

一方で、近年スプリング式の中でのトレンドになっている「プッシュイン式」の場合、フェルールで先端加工をしていれば、電線を差し込むだけで接続ができるため、メンテナンスフリーの省工数に加え、施工時の省工数、時間短縮も実現できる製品と言える。「スプリングはゆるまない」という特徴から、とくに振動するアプリケーションでの採用が多く見受けられる。
◆省スペースで盤小型化に貢献◆

次に省スペースだが、例えば一般的な20Aクラスの丸圧着端子台と、欧州式スプリング端子台を比べると、端子台幅は約50%小さくなる。また、スプリング式は端子台の上面から配線するタイプがほとんどなので、丸圧着端子台ではどうしても必要な、端子台とケーブルダクト間の配線スペースも削減できる。

端子台の幅方向、配線方向が削減されることにより、ボックスや制御盤を今までより小型にでき、その点でもコスト削減につながる。また、端子台の小型化によって生じたスペースを使い、そこにPCやPLCなど高機能の製品を入れ、同じスペースでも製品の機能アップを図ることもできる。

国内配電制御システムメーカーは、現在海外メーカーとのし烈な競争にさらされている。製品の小型化と、高機能化という、相反した要求を満たすことができることは、大きなメリットになる。また、省スペース化はユーザーからの要望でもある。例えば工作機械を例に挙げると、大きな機械はそれだけでスペースが必要なので「地代」もそれだけかかる。ところが、できるだけ大きなワーク(製品)を加工するには、できるだけ大きなワークスペースが必要になる。

全体のスペースをできるだけ少なくし、ワークスペースを最大限に確保するには、制御盤といった実際の加工に直接関係しない部分の限りない省スペース化が求められている。

東京や大阪などの土地代が高い地域で仕事をされている方には、この機械装置の設置面積はそのまま収益、競争力につながる重要な意味がある。

以上のようなメリットを得ることができるため、国内でのスプリング式の採用拡大が続いている。
(つづく)

【筆者=フエニックス・コンタクト株式会社
マーケティング部
飯島一憲氏】