新興国、食品関連が牽引中国は2次電池設備投資が活発市場動向

温度調節器(計)は、温度・湿度・圧力など各種センサから取り込んだ測定値を必要とする設定値と比較し、その差を修正する信号をリレーやアクチュエータなどへ出力し、対象物の温度や湿度を調節する制御機器・システム。

電子方式が主流に

電子機器が高密度化し小型化が進むことから、成型機などで微妙な調整が重要になっているが、特に半導体やFPDなどでは、歩留まり率に関係してくることから高精度な温度調整が必要である。食品分野では、味覚や品質管理上から温度調整を頻繁に行っており、消費者の嗜好と食品の安全に応える取り組みが強化されており、温度調節器の果たす役割が大きくなっている。

現在の温度調節器(計)は、半導体技術を利用した電子方式が主流になっている。電子化により温度精度が格段に向上し、より緻密なものづくりが可能になっており、価格も半導体の採用で求めやすくなり、市場拡大につながっている。

市場規模は、2011年で汎用電子温度調節器(計)で約200億円、それにボード・ユニットタイプやPLCなどの組み込みモジュールタイプなどを合わせると300億円から350億円と推定される。10年から約10%増加したものと思われる。リーマンショックでの落ち込みはあったものの、それ以降は順調に市場回復が続いている。昨年は東日本大震災による影響も懸念されたが、半導体業界など順調に市場が回復し大きな影響は受けなかった。

先の見通し立てにくい

今年に入ってからは、半導体業界の設備投資の動きが鈍っているが、成型機分野や包装機分野などは好調な動きを示している。特に包装機関連は、食品業界や医薬品業界をメーンとする装置ベンダー向けが好調に推移している。

海外では、中国の成長率は一時に比べると鈍化しているものの、まだ拡大基調で、加えてインド、韓国、台湾などの新興国では、半導体、包装、食品分野などを中心に伸長している。

新規市場である再生可能エネルギー分野では、国内の太陽光パネル向けは落ち着き気味であるが、中国などでは2次電池関連への設備投資が活発で新たな市場を形成しつつある。中国経済は全般的に落ち着いているが、中国政府は経済のテコ入れ策を検討しており、今後の動向が注目される。一方、国内市場は夏以降の震災復興需要などに期待する声が多いが、長引く円高傾向や、ギリシャやスペインなど欧州経済の先行き不安感なども影響し、先の見通しが立てにくい状況になっている。

国内市場の最近の動きでは、市場が大きい成型機、FPD、半導体分野などで盤内化が進んでいる。中でも温調機能をPLCで実現するケースが増えており、特に成型機、精密空調、包装機などの分野で採用が拡大している。

コストダウンが進む

盤内化が進む背景として、装置のコストダウンなどが挙げられるが、装置ベンダー間の価格競争激化に伴い、コストダウンはさらに進んでいる。例えばタッチパネルを採用する場合、温調器1個ずつにタッチパネルによる表示は不要である。加えて、FPD、太陽電池、半導体など温調点数が多い製造現場では、制御コンポの設置スペースが小さくなるとともに、設置の自由度が必要になっている。こうしたことで、制御点数が多いアプリケーション(6点以上)では、さらなるインパネ化が加速するものと見られる。

装置のコストダウンとともに、設定ミスを低減する狙いから温調機能をPLCで実現するケースが増えている。ある装置で多くの場所を温度制御する場合、一つずつ設定していては、ミスも発生しコストもかかる。温度制御をPLCに統合することで、多点での制御状態が一目で確認でき、設定も簡単になる。ハードウェアとソフトウェア両面でPLCのコストダウンを図ることが可能となり、温調機能の信頼性と機能のアップ、部分最適から全体最適へという設計自由度のアップも図られる。

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