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エネルギー管理の必要性とスマート電力量モニタ 重要な経営資源として統合管理 「見える化」による電力削減策必要

■はじめに

東日本大震災を機に、日本のエネルギーを取り巻く状況は大きく変化した。工場やビル、店舗、交通機関・施設をはじめ、家庭までのあらゆるところで節電と省エネ対策に取り組んでいる。

オムロンでは、企業向け電気料金の値上げの発表を受け、各企業がどのような対応を考えているかを対象151社で調査したところ、6割の企業が省エネ推進の必要性を訴えており、さらにその中の8割が運用改善による短期的な省エネ対策を求めていた。ただ、既に省エネは進め続けているとの認識をもつ企業も多く、今後の対策を模索している現状も同時に見えてきたという。

■電力管理の必要性

急激に変化した電力事情は、企業の経営に大きな影響を及ぼしており、これから各方面で影響が予想される。値上げを示唆する電力会社管内から生産を移管することを考えている企業や、自家発電に切り替える計画を進めるなど、買電量を減らすための対策を取る動きが出てきている。また、海外へ工場移転を検討し始めている企業もある。あらゆる企業にとって電力の高効率の使用や、確実な使用量の削減が避けては通れない課題になっていることの現れと捉えられる。

こうしたエネルギーを取り巻く環境の変化を受けて、エネルギーの浪費は利益の損失であるということを再認識し、エネルギーがヒト・モノ・カネに続く重要な経営資源として統合管理していくことが求められている。

エネルギーの浪費に対して早期の改善成果を実現するために、解決すべきリスクマネジメントのクリティカルパスを短縮し、現場データから見える課題(例えば、原単位の悪化)を共有する仕掛け、つまり「見える化」が必要になる。(図1)

しかし現在、事業所における電力管理は、電力会社からの請求金額によるものが主であり、受電盤でのデマンドメータの記録や、設備の稼働状況の把握、生産設備の原単位管理など、実際の改善策につながる「見える化」は進んでいないのが実情。

そこで、「見える化」による電力(エネルギー)の新しい削減策が必要になる。それは電力(エネルギー)原単位の低減、CO〓排出量の削減、連続稼働のための電力(エネルギー)の安定供給の3つの課題を連鎖させた電力(エネルギー)の新しい管理方法で、電力(エネルギー)の正しい計測がなくてはならない。(図2)
■スマート電力量モニタ

エネルギー管理システムのための第一段階として、製造現場での消費電力量の測定を主目的としたスマート電力量モニタが使用されている。

オムロン最新のスマート電力量モニタKMシリーズ(KM50―E)では、エネルギー仕分け機能など3つの機能を内蔵している。

(1)エネルギー仕分け機能

省エネ改善余地を把握するために便利な3―STATE機能は、積算電力量を稼働状態ごとに、3種類(停止電力/待機電力/稼働電力)に仕分けできる。設備・装置の稼働状態をエネルギーで測ることで、電力の削減ポイントと稼働状態のムラを見ること、つまり削減すべき電力量が明確となる。

(2)プラスαの計測

電力計測に加えプラスαとして、パルス計測・換算機能がある。

これにより、設備単位の省エネに大きく貢献できるデータが、電力量に併せ同時に得ることができる。例えば、流量パルスなどを入力し、電力計測と同時に流量計測が1台ででき、効率(=流量/電力)を簡単に知ることができ、経年劣化や異常検出のための指標を得ることが可能。

さらに、パルスカウントやON時間の計測もでき、設備の稼働台数や稼働時間を計測し、電力量で除算することで設備の原単位の測定も簡便となる。

これにより、単にどの設備がどのくらい電力を消費しているのかだけでなく、どの製品を製造する際に、消費電力量が多いのかまで把握することが可能。(図3、図4)

(3)インバータの1次側電力計測対応

モータのインバータ制限化による電流波形の歪みにも、計測精度FSフラス2%の高精度計測を実現している。省エネ改善で、生産設備や空調設備、コンプレッサなどの付帯設備において、動力モータのインバータ化は一般的な取り組みである。これまでインバータ負荷電力の正しい計測はできず、省エネ取り組みを正しく検証・評価する点で課題となっていた。
■アプリケーション事例

スマート電力量モニタ(KM50―E)を用いた電力の見える化の成果に結びついた具体例を紹介する。

(1)エネルギー仕分け機能を生かした事例

工場の省エネを目的とした、エネルギー仕分け機能による見える化手法の一例を示す。

図5はオムロンのスイッチ工場における典型的な生産ライン構成における各設備とその消費電力量で、計測は図6に示すように各設備に電力量センサを設置し、消費電力を1秒単位でサンプリングしている。消費電力の分類は、生産停止中・待機中・稼働中の3つの状態とした。測定結果から使用した電力量のうち、44%もの電力が直接生産に寄与しない生産停止中または待機中に発生したものであり、削減できる可能性があることが示された。これまで生産現場側では、稼働中の消費電力の削減は非常に難しく、高効率設備への改造あるいは更新が必要と考えていたが、新たに消費電力を細分化し分類し直すことで、削減可能な部分と削減不可能な部分を数値に表すことができた。

(2)プラスαの計測

プラスαの計測による見える化手法を用い、コンプレッサの予知保全に応用した事例を示す。さまざまな産業・用途で使用され、国内の多くの工場で全消費電力の20%から25%を占めているといわれているコンプレッサにおいて、吐出圧力を下げることが省エネに貢献することは広く知られている。

一方、使用状態や劣化の度合いによって生じる効率(=流量/電力)の差が、無駄な電力を消費し続ける原因となっているという認識は未だ希薄である。効率の違いは、同じ動きをする2台以上のコンプレッサを同時に電力と流量についてモニタリングすることで、簡単に見つけることができる。

オムロンでは、効率のバラツキについてモニタリングをしたことがきっかけで、定期メンテナンスの時期を待つことなく、内部フィルタの交換を行い、結果として定格75kWのコンプレッサによる消費電力量が6・5%、年間では約63万円(1kWh当たり12円として換算)の削減になった。

スマート電力量センサによるモニタリングは、無駄な電力を明確に示すことができるだけでなく、フィルタの目詰まりや軸の摩耗など効率が悪化していく様子、効率のよいメンテナンスのタイミングを見つけるための指標としても使うという、新たな価値を提供できることが示された。
■おわりに

オムロンでは、エネルギー管理のための機器を提供し、正しい計測、そしてPDCAを回す仕組作りから省エネ成果の刈り取りまでを実現する取り組みで、次の5つを提言している。

(1)【エネルギー管理は、コスト競争力を高めるためだけでなく、CSRの向上やBCPの策定にも重要な意味を与える】活動全体を見通すエネルギー管理シナリオの共有が必要である。

(2)【省エネの実現はエネルギーの削減が目的ではない】最少IN・最大OUTを目指した、工場の動力・動力補機の取り組みが必要である。

(3)【正しい見える化は節穴では意味がない】分電盤レベルで正しいメッシュ、見るべきデータを計測することが必要である。

(4)【電力の見える化は省エネだけが目的ではない】継続的な活動のために、生産性と連動した見える化を実現することが必要である。

(5)【エネルギーマネジメントは誰が担うと最も効率的か】まずはモデルラインを設定し、現場メンバーと省エネ活動に取り組むことが必要。そして成果を全員で評価・共有し、全社に拡大することが必要である。

【資料提供=オムロン株式会社環境事業推進本部】

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