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主要製造業の課題と対策 ものづくり白書2012年版② 高付加価値鋼材の供給が必要 ○化学産業

【現状】

化学産業は、プラスチック、化粧品、洗剤、写真用フィルム、タイヤなどのゴム製品など、広範な分野にわたって素材や最終製品を供給するとともに、電池材料や医薬用部材など、エネルギー環境問題対策や安全安心社会の実現にも貢献する産業である。

2009年における我が国化学産業の出荷額は約37兆円(全製造業の約13・9%)、従業員は約88・3万人(同約11・4%)、付加価値額は約14兆円(同約17・1%)の規模となっており、付加価値額は1位となっている。

日本の化学産業の出荷額は、米国、中国に次ぐ第3位の規模を誇っているが、個々の企業業績を比較すると、欧米企業が上位を占めており、我が国企業の規模は大きくない。近年は従来のような、欧米の大手企業との競争だけでなく、保有する資源を活用して成長を続ける中東や、大消費地を国内に持つ中国との競争も激化している。

グローバル市場における競争が激化する中、今後、海外の巨大な化学企業との競争に勝ち抜いていくためには、海外展開や石油精製産業等との異業種間での連携、同業種間での事業再編などを通じて集約化・規模の拡大を進めていくことが重要である。また、今般の東日本大震災では、特定の工場の停止の影響が想定し難いほどの広範囲に及ぶに至り、化学産業が果たしてきた役割の重要性が改めて認識されることとなった。

【我が国化学産業の強みと弱み】

(1)強み

自動車、電子機器などの重要なユーザー産業の高い要求に対応し、素材を幅広く提供してきたことにより、高品質な製品を生産する技術力が蓄積しており、液晶ディスプレイ用材料、半導体用材料などの高機能材料における世界市場で高いシェアを占めるに至っている。さらに、今後高い成長が期待されるリチウムイオン電池などの分野についても、これまでの技術力を基礎として、高機能材料を提供しており、中長期的にも世界市場での成長が期待される。

(2)弱み

石油化学汎用品においては、生産設備が相対的に小規模であること、原材料調達コストが高いことなどにより、国際競争力は高いとは言えない。特に、差別化余地の乏しいポリ袋などの汎用品については、安価な天然ガスを利用できる中東地域に生産拠点を持つ企業や、大規模に事業展開する欧米・中国の化学企業などと比較して、劣位にあると考えられる。

【世界市場の展望】

世界の化学産業の間では、中東・中国拠点を中心に生産能力の拡大が続けられており、競争は更に厳しくなることが予想されている。このような中で、競争力・収益性強化を模索した買収などの動きも活発になっている。

経済産業省で公表している「世界の石油化学製品の今後の需給動向について」によれば、2014年までの世界全体におけるエチレン系誘導品の生産能力が3・7%の増加に対して、需要はそれを上回る勢いの3・9%増加の見通しとなっている。

【我が国化学産業

の展望と課題】

(1)今後の競争力強化に向けた対応

(ア)部素材のサプライチェーンの競争力強化

今回の震災の発生により、サプライチェーンの寸断による製品の供給不足が懸念され、各国の最終製品メーカーが、日本への発注を周辺のアジア諸国にシフトする動きが見られることとなった。

このような状況の中で、日本企業が従来確保していた世界シェアを維持し、更なる躍進を図るためには、圧倒的競争力を占める分野、または将来こうした市場になることが予想される分野について、官民を挙げて重点化に取り組む必要がある。

(イ)電力制約への対応など急務となっている国内環境の改善

円高、原料高等の課題に加え、今般の震災により、電力制約の問題も新たな課題として深刻な影響をもたらすこととなった。ビジネス環境の課題については、企業としての対応には限界があり、国として国内のビジネス環境整備を進める必要がある。

(ウ)被災地を研究開発拠点として復興し、社会構造の改革を

今般の震災により生じた電力制約等の国内の研究環境への影響は大きいものの、本来国内を拠点として展開されるべき研究開発部門が、引き続き積極的に国内に展開され、我が国が次代を担う技術革新を生み出す研究拠点となり続けることは重要である。化学産業においても、資源制約への対応など、直面する喫緊の課題は多いが、様々な化学分野の研究開発の成果を実用化に結び付けるための実証事業などについて、今般の震災の教訓を活かし、更に積極的に取り組むことが必要である。

(2)グローバル戦略

我が国の化学企業は、成長が著しいアジア市場をターゲットとして、得意分野の汎用製造拠点を海外に立地し、世界のボリュームゾーンの獲得を志向している。また、そこで得た収益をもとに国内投資を展開し、高付加価値品の競争力強化に取り組んでいる。政府においても、アジア市場を取り込み、企業の投資等のビジネス展開を強力に支援すべく、バイ、マルチによる多元的な政策対話を実施し、政府間及び官民のネットワークの強化を図っている。

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