「省電力」に挑む―内外電機山梨工場に見る 電力削減実積を顧客に提唱

3月11日午後2時46分、東日本大震災発生。山梨県南アルプス市にある内外電機山梨工場でも「長い時間ゆっくり揺れたので、相当に大きな地震で怖ささえ感じた」(徳山貴洋工場長)。事実、震度5弱であった。

山梨工場は、3階建て延べ床面積8743平方メートルの鉄骨構造で1999年5月完工した。工場からは日本人なら誰でもあこがれる富士山と南アルプス、八ヶ岳を眺望できる。

建設に際しては、95年に発生の阪神淡路大震災でその揺れと恐怖感、被災の悲惨さを身近に見た丹羽一郎社長の意思が反映されている。

建物の耐震性は関東大震災を参考にマグニチュード7・9、震度7に耐え、耐風強度も風速50メートルと頑丈にできている。

生産設備に対してもロボット化や耐震対策に取り組んだ結果、大震災の際に「工場内を巡回し、完成品や生産中のキュービクル、配電盤などの倒壊はなく、安全な従事者を見て胸を撫で下ろした」(徳山工場長)。

安心したのもつかの間、思わぬ事態に直面した。

福島原発事故で今夏の電力供給が不足し、東京電力管内では停電する可能性があるという。そして、7月1日、政府が電気事業法27条に基づき電力使用制限令を発動した。

東北電力、東京電力管内の契約電力500KW以上の大口電力需要家に15%の節電を義務付け、違反には百万円以下の罰金が科せられる。山梨工場はその対象になる。これまで以上の節電努力が強いられたわけである。

内外電機は07年4月に環境宣言し「08年度から廃棄物量の削減、電気使用量の削減に取り組んで成果を挙げてきた」(丹羽一郎社長)。今年度も廃棄物量で前年度実績以下、電気使用量で前年度比8%削減を目指している。

節電に従来から取り組んできただけに、東京電力管内の山梨工場にとり、15%削減はかなり高い数値である。

山梨工場では“節電"を飛び越えて“省電力"の考え方で実行しなければ不可能な数値であった。従業員175人による省電力への挑戦が始まった。
(次回は10月19日掲載)

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