拡大基調続く照光式スイッチ市場 工作機械や半導体製造装置、食品機械など産業機械向けで安定需要 グローバル競争の激化でメーカー再編の動きも 短胴・薄型化が大きく進展光源の高輝度・多様化も顕著

照光式スイッチを含めた操作用スイッチ市場は、各分野での旺盛な需要に支えられ増加基調を持続している。特に照光式スイッチは、工作機械や半導体製造装置、食品機械など各種産業機械向け用途を中心に伸びが安定している。製品的には薄型化、光源の高輝度化・多様化などが進んでいる。ただ、グローバル競争の激化や、他の機器との置き換えなど取り巻く環境は変化し始めており、スイッチメーカーの再編などスイッチ市場は新たな段階に入りつつあるとも言えそうだ。
操作用スイッチと表示灯を一体化することで、一つのスイッチで操作と状態の表示を兼用できる照光式スイッチは、スペース性と視認性に優れ、使い勝手も良いことなどからスイッチ全体の中での割合を徐々に高めている。

日本電気制御機器工業会(NECA)の出荷統計によると、2010年度の照光式を含む操作用スイッチの出荷額は357億円と対前年度比136%の大幅な増加となった。09年度下期以降の回復基調が10年度に入っても継続し、大幅な伸長を見せた。特に輸出は、金額で86億円と少ないものの、伸びは40%を超えている。ただ、過去のピークであった07年度に比べると87%の水準でまだ回復が遅れている。

NECAでは、11年度出荷見通しを東日本大震災発生に伴い公表していないが、11年4~6月の第1四半期の出荷額は86億円と、前年同期比96%となっている。大震災により、一部のスイッチメーカーでは供給が停止したところもあったが、その影響よりはむしろ、ユーザー購買が一時的に止まった影響のほうが大きかったものと見られる。

NECAの出荷額のうち、照光式押しボタンスイッチが約28%を占め、最も高い割合となっている。これに照光機能の付いたトグルやロッカースイッチなども含めると照光式スイッチの比率はさらに高くなる。この傾向は、今後も強まるものと見られる。

照光式スイッチの主要市場は、開閉制御装置・機器、工作機械、食品機械、運搬機械、半導体製造装置などが挙げられる。中でも日本の工作機械受注は、リーマンショックによってピーク時の約4分の1まで落ち込んだが、10年からはV字回復を見せており、再び主力市場になってきた。

半導体・液晶製造装置は、国内外の投資に支えられ10年は大きく拡大、照光式スイッチ需要を支えた。今年も半導体製造装置は、継続して増加が見込まれており期待が高い。

さらに、照光式スイッチの大きな市場になっているアミューズメント市場は、依然低迷が続いている。レジャーの多様化や省エネ規制など政策的な背景も、上昇へのきっかけがなかなか見出せていないようだ。

大震災以降、さらに市場として期待が高まっているのが、スマートグリッドや新エネルギー関連である。

太陽光発電や風力などの新エネルギー関連は、電力変換用のパワーコンディショナーや受配電機器などで照光式スイッチが多く使用される。EV(電気自動車)などの普及で充電スタンドが家庭や事業所などに普及すると非常に大きな数量になる。原発事故に伴い再生可能エネルギーへの関心が急速に高まっており、これと照光式スイッチ需要をどのように絡ませていくかで、ますます需要増加が見込まれる。

鉄道車両や鉄道インフラ関連向けも、照光式スイッチをはじめとした操作用スイッチの需要の裾野は広い。ドアや運転席周り、車内情報表示系統、券売機、自動改札、プラットフォームなど多岐にわたる。最近の鉄道車両は、単に人を運ぶだけでなく、快適な乗り心地の追求、車内でも情報収集や仕事ができる場として目的が変わってきている。運転席では、運転に関する情報が集中して表示されるが、照光式スイッチやタッチパネル表示器が大きな役割を果たしている。ドアや座席にも照光式スイッチがついており、ドア開閉や座席管理などで視認性を高めている。
期待高まる社会イン
フラ関連市場の拡大

鉄道車両のスイッチは、信頼性に加えデザイン性、操作性などがポイントとなっている。車両にマッチしながら、誰が操作しても確実に機能を果たすスイッチが選択の基準として重視されている。鉄道は環境にやさしいという社会的な追い風もあって世界的に見直されているが、鉄道車両にはスイッチだけでなく、いろいろな制御機器が使用され需要裾野は広い。日本の鉄道技術は、車両も含めて国際的評価が高く、社会インフラ関連の需要として、国際市場を相手に拡大を図っている。

放送・映像・通信関連機器向けも魅力ある大きな市場だ。特に、放送・映像機器は、頻繁な操作が行われることから操作性が非常に重視される。機器に応じた操作性を実現するためにスイッチメーカー各社は、技術の見せどころとして注力している。照光式スイッチに求められる操作感触、視認性、耐久性などといった、あらゆるニーズが集約されていることで、スイッチメーカーにとって技術研鑽にもつながり、この分野向けを意識した開発を積極的に行っている。

NECAのスイッチ業務専門委員会は、操作用スイッチの主力需要分野を対象にした調査活動を毎年実施している。10年は工作機械に対する操作用スイッチの動向を調べた。この中で、照光式スイッチは操作確認上から重視している一方で、操作スペースやスイッチ個数を減らしたいというニーズからタッチパネルやプログラマブル表示器を採用する傾向も強くなっている。

堅牢性、耐環境性、操作感など総合的な要件も加わってくるが、現状はわかりやすい操作性と表示で、タッチパネルなどとの棲み分けが図られているようだ。

なお、同委員会では今年6月には、食品機械の動向を調査している。

工作機械に限らず最近は、タッチパネルやプログラマブル表示器などの使用が増え、操作スイッチ市場の減少が懸念されている。照光式スイッチも含めて、簡単で分かりやすく、コストも低く抑えられるという操作用スイッチのメリットはまだ大きく、特に機器の微少電流化、基板化などへの流れは、むしろスイッチ単体として実装するほうがスペース的にもメリットが大きいという評価に繋がっている。これに省エネ化の推進という流れも加わりつつある。

照光式スイッチの光源には、白熱球、LED、ネオン球のほか、最近はLCDや有機ELなども使われてきているが、いまのところLEDが主流となっている。

LEDは白熱球並みの高輝度実現で、本来の特徴である長寿命、低消費電力、低発熱、省メンテナンスといった特徴と合わせて急速に置き換えが進んでおり、特に昨今の省エネなど環境意識の向上が、この動きに拍車をかけている。

光源のLED化は、スイッチの薄型化にも大きな影響を与えている。白熱球光源に比べ小型であることで実装スペースを大幅に削減でき、照光式スイッチの薄型化を飛躍的に進めた。現在スイッチ各社は、こうした薄型の照光式スイッチをラインアップに加えている。

ベゼルの高さが2ミリ前後の薄型・フラット構造は、パネル全体がシャープで引き締まったデザインになり、凸凹の少ない操作パネル面は食品機械や半導体製造装置で求められるゴミや埃の付着を防ぎ、パネル面の突起に当たることで生じる誤動作などを防ぐ利点がある。

表面だけでなくパネル奥行きも短胴化されつつあり、現在φ16ミリタイプで27・9ミリの照光式押しボタンスイッチが販売されている。

デザインだけでなく、スイッチ装着の安全対策や配線作業の省力化と誤作業防止の工夫もなされており、一層使いやすさをアピールしている。

その他、LED素子の実装方法を工夫することで、小さなスペースでも照光式スイッチとして使えるようにトグルスイッチやパドルスイッチなどで、操作部分全体を光らすようにLEDを実装した製品も発売されている。

店舗などの商品陳列棚で見かけるフックとスイッチを組み合わせ、フック先端にLEDを実装することで、商品の品切れをLEDの点灯で知らせるアイデアスイッチも普及しつつある。小型で低消費電力のLEDは、照光式スイッチの新たな用途を開拓した代表的な例と言える。

もうひとつ変わった照光式スイッチとして注目されているのが、1つの表示面で2種類の表示に変換できる押しボタンスイッチである。従来は色の異なるLEDを搭載することで2色発光をしていたが、これは表示プレートに加工を施すことで、同じLEDを発光させながらも赤と緑を切り替えた表示が可能になる。

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