特集新市場を模索するFA・制御機器商社 異分野シフトで脱自動車へ活発な動き

中部地区の景気の状況は、2011年1月中部経済産業局発表の最近の管内総合経済動向によると、経済対策の終了による影響などを受けて一部で減速していたが、企業による新たな需要喚起の動きや、新興国向け需要の伸長などで生産に下げ止まりの動きが見られており、全体としては横ばいということで、やや明るい兆しが見えてきた。

同地区の中心産業である自動車は、国内向けはエコカー補助金終了に伴う影響があるものの、新型車等の投入やアジアをはじめとする新興国向けが順調なことなどから、下げ止まりの動きが見られるという。

また、もうひとつの基幹産業である金属工作機械の受注状況を見ると、10年11月の中部経済産業局管内金属工作機械メーカー主要8社の総受注高は、前年同月比111・8%増の293億9400万円と12カ月連続して前年を上回り、前月比でも22・3%増と好調に推移している。

国内受注の内訳を見ると、一般機械工業向けが38億900万円と10カ月連続、自動車工業向けが39億1000万円と11カ月連続して前年を上回り、好環境が整いつつある。

実際、自動車産業では、設備投資が増えてきたようだが、研究開発部門への投資が多く、生産設備はまだ過剰状態ということで、あまり投資も回復していないようだ。こうした背景から、商社では既存分野の市場だけでは、発展が見込めないため、新規分野を開拓しようという動きが見られる。エンジニアリング力を高めて、顧客にシステムを提案するのは当然で、さらに一歩進んで、電気自動車、太陽電池、環境関連など将来性のある分野に関する商材を提案し、開発、システム構築まで行うところもある。

自社製品として、コンピュータ制御を活用、入出庫スピードが速く、都心などの狭い敷地でも利用可能な立体駐車場システムを開発したり、メーカー、大学などと共同で、生物発光を利用して遺伝子発現を生きたまま高感度に測定する自動測定装置を開発したりしている。最新のメカトロニクス製品情報を満載したインターネット用の新商品ニュース媒体を発行したり、定期的にモノづくりに関する情報誌を送ったりして、様々な提案を行い、顧客フォローに力を入れている。

海外に目を向けると、国内メーカーの海外進出に合わせて、商社の方でも海外に拠点を設け、営業サポート、アフターサービスなどの体制を整えていかないと、受注に結びつかないようだ。特に注目されているのは、やはり中国で、各社とも拠点を設ける動きが見られる。日系メーカーだけでなく、現地メーカーへの売り込みも検討しているが、まだ需要は少なく、信用などの面から大きな取引には発展していないケースが多い。

人材の育成にも各社とも力を入れており、基本は定期的な研修で学んでもらい、後は実践で力をつけてもらうといった形で、提案力のある社員を育てている。利益を上げるには、流通などのコスト削減も当然必要で、物流会社に出資したり、倉庫を一カ所に集中して物流システムを効率化したり、夜間の料金が安い運送便を活用したりしているところもある。この厳しい時代には、単にモノを左から右に流すだけの商社では生き残れず、顧客の立場に立って、SEのエンジニアリング力でシステムを提案し、人材・商材・資本力などの総合力を高めないと、発展が見込めないようだ。

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