特集新市場を模索するFA・制御機器商社 円高逆手に海外部品扱いへ

2011年1月26日

関東地区のFA・制御機器流通市場も、昨年春以降の市場のV字回復で、久しぶりに明るい新年を迎えた商社が多い。売り上げ、利益とも2桁伸長を見せ、倍増のところも目立つ。逆に言えばそれだけ落ち込みが激しかったことを物語る証左とも言える。

国内は半導体・液晶、LED製造装置やソーラー、EV自動車関連などが牽引した。また、中国を中心とした外需の恩恵も大きい。エコポイントやエコカー減税の改訂や終了に伴う影響も出始めているが、スマートフォンやタブレットPCなどの需要増に伴う電子部品やチップマウンター、小型液晶・有機EL製造装置投資の拡大が見込まれており、少なくとも今年前半はこのままの状況で推移するものと見通している。

こうした中で、新たな取り組みも始まっている。そのひとつが海外製品、特に台湾や韓国製品の扱いを強めていることである。円高基調ということもあるが、台湾、韓国製品も昔のイメージからは大きく変化し、品質が向上している。これらのメーカーは品質の厳しい日本のユーザーに採用されることで、ブランド力と信用力の確立に繋がり、商社を介することで製品供給も国内だけでなく海外でのものづくりにも対応できる。商社にとっても扱い製品の選択幅が広がり、特にコスト面での競争力強化に期待している。

また、省エネ・環境関連市場の開拓を強める動きも目立つ。従来、環境対策というとコストアップにつながるマイナスのイメージで捉えられることが多かったが、今はむしろ経済効果に繋がるという、プラスの面が出はじめている。省エネへの取り組みは工場などものづくり現場でも進められて、電力使用実態の把握や制御が行われているが、工場以外での省エネビジネスも注目されている。ビル内のエネルギー使用実態を分析し、省エネにつながる機器の提案販売を行うことで、企業の省エネ姿勢と費用削減効果が生まれる。将来的には、家庭まで広がるという期待もある。

ものづくりの海外シフトが進むなかで、第1次産業の農林水産業や第3次産業のサービス業での市場開拓も重要性が高まっている。いま問題となっているTPP(環太平洋経済連携協定)の締結で日本の農業政策が課題になっているが、FA・制御機器技術をこうした産業に応用展開することで、新たな市場も生まれる。ビルの中での作物栽培、畜産のオートメーション管理、漁業の自動化、さらにはこれらの産業を合わせた「6次産業」としての市場も見込める。

こうした一方で、伸長が期待できる海外市場の開拓への取り組みも目立つ。大手商社を中心に海外でのFA・制御機器メーカーの現地での販売代理店権を取得するところも増えているが、日系企業以外のいわゆるローカルユーザーの開拓のために、現地の商社に販売権を与えており、アジアの有望市場では大手FA・制御機器メーカーのほとんどが構築を終えている。そこで、日本の中堅メーカーの販売代理業務を行うことを目指して、海外に進出する商社も出てきている。中堅の専門メーカーは、海外販売のノウハウが乏しく、資金的にも人材的にも対応できづらいのが現状で、こうした中堅専門メーカーを束ねて販売することで、大手メーカー、大手商社とは異なった展開を図ろうとする取り組みのひとつといえる。

商社にとって、迅速な商品提供は生命線ともいえるが、通信販売もこの一環として取り組んでいる。秋葉原という地の利を活かし、同業者間で在庫を共有しながら製品を供給して顧客の満足度向上と在庫負担の軽減に効果が見込める。

市場がどのように変化しようとも、それにフレキシブルに対応し、新たな展開に取り組む関東地区の流通商社は、試行錯誤しながら、日本のFA・制御機器を支える姿勢を貫いている。