工業会年頭所感2011年 環境・省エネで国際貢献推進

新年、あけましておめでとうございます。皆様方には、お健やかに新年を迎えられたことと、お慶び申し上げます。

会員並びに関係省庁・関係団体の皆様方には、平素より、日本電機工業会に格別のご支援とご厚情を賜り、厚くお礼申し上げます。

2011年の年頭にあたり所感の一端を申し上げ、新年のご挨拶に代えさせて頂きたいと存じます。

昨年のわが国経済は、政府の緊急経済対策や産業界の懸命な努力により、企業業績は順調な回復をみせ、生産、輸出、設備投資や個人消費の状況も持ち直すまでに至りました。しかしながら、昨年後半から年末にかけては、生産、輸出の伸びに鈍化傾向が見えはじめ、高い失業率や円高基調の継続が更なる景気回復の足かせとなり、総じて景気は踊り場局面に入ったといわざるを得ません。

一方、今年の景気でありますが、様々な懸念材料を抱える状況から、色々な見方があると思いますが、米国経済の低調な推移と欧州の財政不安等により、少なくとも本年の前半は、こうした景気の低迷が続くものと思われます。本年後半にわが国経済が、どれだけ自律回復ができるか注目されるところであります。今後、新興国の成長活力を取り込みながら、これを自らの経済の活性化に繋げ、早期に回復に向かっていくことを期待しております。

こうした状況の中、上期の私ども重電分野の生産状況は、世界同時不況の影響により落ち込みの大きかった汎用品の輸出の大幅増加により、また、白物家電分野の国内出荷額は、夏の記録的な猛暑に加え、家電エコポイント制度の後押しにより、共に2桁を上回り好調に推移しました。

今年は、電力用機器が堅調に推移する見込みですが、昨年後半からの汎用品の輸出停滞、白物家電のエコポイント制度終了後の反動などから、重電、白物家電とも、伸び悩みが懸念されます。今後の動向をしっかり見極め対応して行かなくてはならないと認識しております。

電機業界は、様々な課題を抱えております。本年もJEMAは、これらの課題解決に向けしっかりと取り組んで参ります。

まず、地球温暖化対策であります。本年は、京都議定書の第一約束期間の4年目を迎えます。JEMAを含む電機・電子4団体は、自主行動計画によりCO2排出量削減を着実に推進しております。09年度は、実質生産高CO2原単位が90年度比で43%の改善となり、08年度に引き続き、2年連続で目標の35%改善を達成しました。

ご承知のとおり、昨年暮れのCOP16では、先進国と途上国の思惑の違いが鮮明となり、ポスト京都、13年以降の温室効果ガスの削減をめぐる具体的な協議は、再び先送りとなりました。本年のCOP17は、日本にとってはまさに正念場となります。政府におかれては、すべての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築に向け、軸ぶれのない粘り強い国際交渉を進めて頂くよう強く要望致します。

電機・電子4団体は、次期行動計画についても、13年からのポスト京都を睨んだ日本経団連の「低炭素社会実行計画」に参画し、ライフサイクル的視点による温室効果ガスの排出削減、途上国の排出削減に対する国際貢献、更には革新的技術の開発を推進して参ります。地球温暖化対策に大きな期待が寄せられている私ども電機業界は、原子力発電の推進や火力発電の高効率化、再生可能エネルギーの普及拡大、また、白物家電や変圧器のトップランナー機器をはじめとする省エネ機器の開発と普及促進といった、エネルギーの需要と供給の両面からCO2削減に貢献して参りたいと存じます。

また、電機業界は、政府の新成長戦略に掲げられていますインフラやシステム輸出にも大きく関わっております。昨年、官民挙げての協力が実り、長年培ってきた安全で信頼性の高い日本の原子力発電技術が高く評価され、わが国がベトナムの原子力発電プロジェクトの建設パートナーに選ばれました。これは、原子力事業の国際展開を切り拓く、極めて意義深い画期的な出来事であります。電機業界としましても、原子力事業に携わる電力会社、メーカーの方々、そして政府関係者の皆様の長年にわたるご尽力に心より敬意を表するものであります。

さらに原子力事業のみならず、海外の送電網、高速鉄道などの社会インフラ整備についても、今や国家的ビジネスの様相を呈しており、官民一体となって資金面や制度面などで基盤整備を進め、途上国、新興国をはじめとする旺盛なインフラ需要を取り込むことができるよう、期待するところであります。

わが国のみならず世界各国は、低炭素社会づくりに邁進していくことになります。世界各国でニーズの高まっているグローバルレベルでの原子力発電の推進と共に、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの普及拡大をはじめ、火力発電の高効率化、UHV送電やスマートグリッドによる高効率送配電の推進にも、各国のニーズに的確に対応しながら、わが国電機産業の持つ優れた技術力と高品質のものづくりで、グローバルレベルでビジネスの拡大を図りつつ、CO2削減にも貢献して参りたいと考えております。

わが国は世界に誇れる優れた技術や製品を有しております。グローバル市場において、わが国が優位性を保つためには、日本が持つ最先端技術の戦略的な国際標準化が極めて重要であります。JEMAは、こうした国際標準化につきましても、より一層積極的に取り組んで参りたいと思います。

さて、米韓FTAが合意に至ったのをはじめ、世界的に2国間の経済連携が進む中、わが国でもTPPや主要貿易国とのEPA・FTA締結など、経済連携を強化する動きが活発化しております。様々な意見があることは承知しておりますが、私ども電機業界は、グローバル市場で他国に後れをとることなく、更なる国際競争力を高めるために、TPPやEPAの締結を拡げ、世界の経済的な枠組みの中に強固な基盤を築き、省エネ、環境、製品安全といったわが国の持つ優れた技術や高品質な製品を地球規模で浸透させて参りたいと考えております。

その他、製品安全はじめ取り組むべき多くの課題に対してもしっかり対応して参りたいと存じます。

JEMAは、昨年の通常総会で「一般社団法人」への移行を決議致しました。その後、原課の経済産業省産業機械課をはじめ各方面のご助言も頂きながら、内閣府への認可申請を済ませております。本年はいよいよ「一般社団法人」に移行する予定であります。新生JEMAに求められる使命と役割を皆様と共に果たして参りたいと存じます。

現下の電機産業を取り巻く環境は依然として厳しく、先行きの不透明感は残っておりますが、会員の皆様と一丸となって、しっかりと電機産業の発展に邁進して参ります。

最後になりましたが、この1年の皆様方のご発展と一層のご活躍を祈念致しまして、私の新年のご挨拶とさせて頂きます。

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