混沌時代の販売情報力黒川想介具体的情報求める質問を

販売員が売り上げを上げていくには、顧客との会話は欠かせない。顧客から話を持ちかけられて販売員が答えたり、問い返したりする会話の応酬ではなく、主導的会話が必要なのだ。主導的会話をするには、質問をしなければならない。質問も大きく分けると、幾つかの種類がある。

種類の一つ目は、顧客から具体的情報を求める質問である。これは販売員が好む質問であり、売り上げに直結する質問が多い。そこでの注意点は、直接的な質問が念頭にあるために本質的な質問ができなくなってしまう点である。より効果的な情報を聞きだすためには、顧客の持っているありのままの情報を聞きださなければならない。それにはテーマ発掘や商品売り上げを気負って質問するだけでなく、顧客に興味を持って学ぼうとする姿勢が大切だ。

電気部品や制御コンポーネントを扱う販売員に向かって、「最近の調子はどうか」などと声をかけると「新規の製造設備の仕事がなくて、設備改造をしている顧客が多く売り上げがぱっとしない」という返事が返ってくる。「それで、どこを改造しているのか」とか「何の改造が多いのか」と再質問すると、知らないという返事が多い。勝負はスピードが大事であるが、成果を求めるあまり情報収集を拙速にしてしまっている例である。

この場合、技術者は予算内に収める設備改造で生産効率を上げようとしているのであるから、メカトロ機器やアクチュエータ類を交換しているかもしれないし、センサを追加してソフトを変更しているかもしれない。顧客の持っている事実にもっと耳を傾けていれば、ニーズの発見ができるのである。次に挙げるのは、顧客が今まで注文のなかった基板用の部品を数10個単位で発注してきた例である。

この場合、基板用の部品は一体何に使うのかという不思議感覚をもたないと疑問を質問という形で顧客にぶつけることができない。何か新しいことを始めたのか、それとも今まで何かを見逃していたのかという新たな発見に繋がるかもしれないのだ。このような疑問点を聞くことも、具体的情報を求める質問になるのだ。

それに電気部品や制御コンポーネントの販売員は、技術者を顧客にしている。当然、たくさんの技術用語が飛び交うだろう。顧客の話す用語をよく知らないままに聞いていることが多いようだ。長いこと営業をしていても鋭い質問ができないのは、分かっているつもりで使っている用語をよく理解していない点にある。

金型、冶具、加速度センサ、インバータ、アクチュエータ、ゲート・プロセッサーなどよく使われている用語であり、分かっているつもりで使っているが実際には理解していないケースが多い。突っ込んで質問すれば別の展開ができる場面であっても、聞き放しで終わっている。だからよく分からない用語が出てきたら顧客に甘えて聞いておくことが、顧客の持っている具体的な情報を聞きだすのに役立つことになる。

これらの他に、具体的情報を求める質問に、顧客の意見を聞くという方法がある。例えば、「あえて非接触式センサーを使わずに接触式センサーを使うとすれば、どんな条件の場合でしょうか」とか「各種のデータの読み取りをRFIDでやることが最新のように見えますが、バーコードでやった方がいいという条件があれば聞かせて下さい」などのような意見を聞くことが具体的情報を求める質問になる。意見によっては、接触式センサーやバーコードリーダーが売れる市場が見つかることにもなるだろう。
(次回は11月10日掲載)

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