求められる新興国市場拡大 (2)電線ケーブル・光ファイバ産業

1現状

電線ケーブル・光ファイバは、様々な分野で幅広く使用される中間素材であり産業規模は、出荷額約2・4兆円、従業者数約3・4万人である。銅電線の国内生産量(2008年)は約74・1万トンで、世界第3位となっている。

電線ケーブル産業は、世界的に競争が激化して業界再編が進み、欧州で2強体制、米国で3強体制となっている。我が国企業は、売上高ではこれら企業と同水準の規模にあるが、電力用分野で大手3グループ体制(住友電気工業・日立電線、古河電気工業・フジクラ、三菱電線工業・昭和電線ホールディングス)になるなど各分野で企業グループを越えた事業統合や、子会社の整理などのグループ内再編が行われており、コスト削減を図って、より利益を出すことのできる収益構造への転換が進んでいる。

光ファイバ産業は、01年のITバブル崩壊以降、出荷量が減少していたが、05年度より増加に転じ、07年度には過去最高水準となった。

世界の主要メーカーは、業界再編の動きもあったが、コーニングを各社が追って激しい競争を続けている状況にある。

2我が国産業の強みと弱み

(1)強み

我が国企業は、超高圧電力ケーブル製造技術、超電導ケーブル製造技術などで高い技術力を有している。

また、近年では、ワイヤーハーネス等の自動車分野、電子部品等のエレクトロニクス分野など幅広く事業を展開しており、国際競争力の維持・強化に努めている。

(2)弱み

電線ケーブル、光ファイバともに、その需要は社会インフラの整備に依存していることから、国内での一時的な需要はあるものの、長期にわたる大幅な伸びは期待できないため、社会インフラの高度化を目指す海外の需要をいかに獲得するかが課題である。

しかし、我が国の製品は高品質、高機能、高信頼性であるがコスト競争力に弱く、コモディティ化した製品は海外企業に市場を奪われる傾向にある。このため、継続的な技術力の向上と、コスト競争力を強化し、新興国の市場を拡大することが重要となっている。

3世界市場の展望

欧米や日本の電線市場は成熟しており、電線の生産量は伸び悩んでいるが、中国の生産が伸びている。また、インドを含め他の新興国においても電線需要の更なる拡大が見込まれる。

4世界市場の展望

(1)今後の競争力強化に向けた対応

利益率の高い企業体質へ転換するため、電線ケーブル・光ファイバ部門における業界再編の進展が予想される。また、各社の得意技術を生かし、技術開発の強化や積極的な設備投資、戦略的事業提携などを通じて、光通信部品、新材料、電子部品など、世界市場を視野に入れた新規事業活動の展開が期待される。

(2)東アジアを中心としたグローバル戦略

我が国企業が競争力を有する超高圧電力ケーブルなどは、国内を中心に生産を行っているが、労働集約的で価格競争の激しい家電・自動車用電線などは、80年代から顧客産業の進出に伴う形で台湾、ASEANなどへ進出している。

また、各国企業は中国への進出を拡大し、現地の有力メーカーとの合弁による生産を行うなど、市場獲得に向けた競争が激化している。

今後新たな市場としては、顧客産業にとって有望市場であるインド、中近東などが考えられる。

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