工業会年頭所感2010年 競争と協調でもの作り推進

新年明けましておめでとうございます。

2010年の年頭に当たり一言ご挨拶を申し上げます。さて、昨年のわが国の経済環境はかつて経験したことのない厳しい中での1年でした。一昨年9月のリーマン・ショックに端を発した「100年に一度」といわれるほどの世界的な景気の落ち込みを受け、多くの製造業界が年初より在庫の削減を進めるための生産調整を強化したため、生産は大きく落ち込み、生産ラインの停止に伴う雇用の縮減等が大きな社会問題になったことは記憶に新しいところです。このため一昨年来先進7カ国(G7)は、BRICsに代表される新興諸国を加えた新たな「G20サミット」を組織し、参加各国に緊急経済対策の実施を促してきました。ここにきて世界の経済をリードする米国の経済環境は、緩やかながら改善傾向を示しておりますが、個人消費支出は依然として低調であり、加えて最近は失業率も10%を超える等先行きの不透明感は払拭されておりません。また、欧州においてもイギリスやドイツをはじめとするEU諸国も底打ちはしたものの大きな期待は望めません。

一方、アジアを見ますと、中国は4兆元に達する政府支出と金融の緩和による景気浮揚策が功を奏し、昨年4~6月期の実質GDP7・9%増が7~9月期には8・9%まで伸びる等経済の回復基調は鮮明になっております。さらにインドやインドネシアでも景気の回復が鮮明になりつつあります。こうした傾向を受け、わが国の経済環境も中国を初めとする外需に加えエコポイントやエコカー減税等の経済対策に支えられ低水準ながら回復の兆しを見せてはおります。しかしながら、民間設備投資の低迷や円高基調の為替動向等幾多の課題も抱えており、今後の景気の推移には慎重に対応する必要があると考えております。

ところで、私どもの業界動向ですが、需要業界の大幅な生産調整から昨年年初来、大幅な減産に見舞われその対策に追われました。幸い昨年6月頃より前月比で増加傾向に転じ、一応底打ちしたと見ておりますが、本格的な回復基調にはほど遠く、また、年初の景気の二番底説も言われるなかで発足した鳩山民主党政権の更なる適切な経済政策の実施が望まれるところです。

本年は、不透明感の中での始動となりますが、私どもフルードパワー業界は、「グローバル化への対応」に加え「省エネ化」や事業の「選択と集中」等を推進する必要があります。急速に拡大する海外市場に対応するためにも「グローバル化」は避けて通れません。また、新政権誕生に伴う高い地球温暖化対策目標の設定等から「省エネ技術」の提供は喫緊の課題です。さらに古くて新しい「水圧技術」の開発や変化するユーザーニーズに対応した新技術や新製品を積極的に提供して行く必要があると考えております。フルードパワー産業は、各種産業機械の制御や駆動を担う重要な機能製品であり、今後とも大きな成長が期待されております。こうした時期こそ競争と協調の中で共に発展していくことが望まれます。新政権の誕生と共に、行き過ぎと思える程の政策批判と新しい経済発展のビジネスモデルへの期待論がメディアを騒がせていますが、日本は金融とサービス産業のみでは生き残れません。やはり「物作り」を捨てる訳にはいきません。各需要業界の皆様方には更なるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げ新年のご挨拶とさせていただきます。

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