
矢野経済研究所は、超音波センサの世界市場に関する調査結果を発表し、2023年の市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年比108.6%の8127億円とし、2030年には1兆1560億円に拡大すると予測。2035年には1兆4179億円に達し、2023年から2035年までの年平均成長率(CAGR)は4.7%と予測している。
超音波センサは、空中や水中、固体中で距離を測定する技術として、水中ソナーや魚群探知機、医療用の超音波画像診断装置、FA用センサ、車載用センサなど幅広い分野で活用されている。
特に注目される車載分野では、1982年のバックソナーとしての初搭載以降、駐車アシストシステムや、近年ではADAS(先進運転支援システム)、自動運転システムでの採用が増加。超音波センサは短距離での高精度な検知ができ、逆光や対象物の汚れ・色彩の影響を受けにくい特性から、他のセンサの弱点を補完する役割が期待されており、測定距離の長距離化などの開発も進んでいる。
今後、空中超音波エネルギーを効率的に強化する技術やアレイ型センサの活用技術開発が進むことで、車載用以外の分野でも新規需要が拡大する可能性が高いと分析。
2030年の市場予測の内訳として、空中超音波センサが3803億円(構成比32.9%)、超音波診断関連製品が3695億円(同32.0%)、非破壊検査関連製品が2956億円(同25.6%)、水中超音波関連製品が1108億円(同9.6%)になると見込んでいる。自動運転車やドローン、配送ロボットなどの普及が市場拡大を後押しする見通しとなっている。