- コラム・論説
- 2018年9月19日
オムロン制御機器事業の復活に思う 凡事徹底の大切さ
FA関連の電気機械メーカーの2025年度通期決算がほぼ出揃った。やはり注目はオムロンの制御機器事業(IAB)の動向で、ここ数年は市場の低迷と混乱が相まって苦戦が続いていたが、辻永社長直々の抜本的な改革が功を奏し、2025年度は全体の業績を牽引するほどの回復を果たした。FA業界の老舗であり、ユーザー、流通も含めて影響力は大きく、長年業界を引っ張ってきた大きな存在。個社のこととはいえ、業界全体としても、同社が調子を戻してきたことは吉報だ。
なぜIABは短期間のうちに不振から立ち直れたのか?再生計画として人員削減にまで踏み込んで大鉈を振るったこともあるが、一番大きいのは、自らの商売の基本に立ち戻り、凡事を徹底したことにあることだ。販売代理店制度を敷くメーカーとして、「売れる場所(買う人・企業)を探し、売れるものを作り、売りやすい方法を考え、売る人(代理店)と伴走し後押しする。そして次に売れるものを探す」。この2年の間に、汎用品以外にも、地域やアプリケーションに特化した新製品を数多くリリースし、販売代理店との連携も強化した。メーカーとしては当たり前の動きだが、実際できていない企業は意外と多い。オムロンほどの歴史も実績もある大手企業が、首を垂れて初心に戻り、もう一度真摯に商売へ取り組んだ。この姿勢が販売代理店にも伝わったからこそ両者の行動の量と質が高まり、成果につながったのだろう。
全員が同じ方向に向き、一丸になって事に当たる。そして、それぞれが個々の責任範囲をしっかりと果たす。当たり前のことだが、一番大事なのはこれだ。何かを始めた当初は濃い濃度で意識し実行されているが、時間が経って成長や拡大するに従ってそれが薄まり、しまいには無責任が蔓延り、機能不全に陥る。先行き不透明と言われる時代だが、人と人が物を売り買いするという商売の本質は変わらない。大切なのは、もう一度、初心に帰り、やるべき事/やらない事を整理し、やる事を徹底的にやり切ることなのだ。