- コラム・論説
- 2012年6月6日
令和の販売員心得 黒川想介 (153)今後の営業をどう進めるか 状況照らし合わせ戦略作る
単年度や中期の営業計画を立てる時、前年度や前期の総括をする。前期の成果と反省を総括して次期の営業計画に反映させるのだから、総括は欠かせないものであり、オブラートに包むようなことがあってはならない。
昭和期、平成期を通して大きな市場となり、安定した市場で活動してきたFA営業も令和期に入って8年になる。大きな括りではあるが、令和期の営業をどのように進めていくかと考える際、一助になるのが前期の総括である。
平成期の営業の背景やそれによって実行した営業はどんなものであったのか。平成期は、ゆとり教育が物語るようにフラットな時代であり、昭和期と比べてガツガツしなくても、とりあえず暮らしていける幸せな時代であった。FA販売店営業が生業にしている業界は、フラットな売り上げでも帳尻は合わせられたが、それ故に競争は激しかった。
平成期は昭和期と比べてみると、いくつかの特色が見えてくる。1つ目は平成期は「売り上げ市場主義」であった。そのために昭和期の要になっていたサクションセールスは影を潜め、代わりにプレッシャーセールスが営業の戦法になった。その結果、販売員の情報収集力は低下したが、顕在化している顧客の案件情報を追いかけ、解決スキルを上げた。制御商品には勢いがあったため、この商品を戦略的に活用できた販売店営業は大型店に成長した。一方、一般の販売店営業はこの商品を戦術、戦法的にのみにしか使えなかったため、フラット気味の成長にとどまった。
2つ目は、「顧客満足を掲げた営業」が始まり、それが流行したこと。販売店営業はものを作っていない。したがって顧客満足を顧客サービスと混解して活動をする。制御商品の性質上、電気知識の習得や詳しい商品知識が求められる。それらの知識と体験を生かしてプレサービス、都度サービス、アフターサービスをすることである。顧客満足は営業にとって欠かせないものであるが、販売店営業は顧客満足を戦略的なものとして捉えずに、販売員各自の理解のまま顧客満足営業の旗を振った。そのため、先年の納期狂乱の時を別として、売り上げの割には顧客対応に目まぐるしいほど大忙しとなっている販売員は意外と多い。これは、段取りの悪さだけでなく、”デキる”と言われる販売に多い現象である。販売店営業の戦略的な真のサービスから離れて、顧客満足と言う名の過剰サービスを良しとしている。
3つ目は「販売戦術の単純化」である。平成期の販売店営業は、戦略めいたものをあえて作らなくても、制御商品の高度化や機能を追加したシリーズ商品が多くの顧客に受け入れられた。だから販売員が商品を理解することが戦略だった。その上で目の前の売り上げに全力を上げれば帳尻が合ったのだ。
目の前の売り上げを上げる戦術・戦法は「競合商品の切り替え活動」と「新商品や戦略商品のプレッシャーセールス」「受注ルート顧客の深掘り」の3本立てとなっている。これらの活動をいろいろな形で実行し、商談テーマの進捗を徹底する営業である。
4つ目は「課題解決ソリューション営業」が始まり、販売店営業の上策に定着したことである。昭和の後期に半導体の進化にともなって制御商品の高機能化が進んだ。そのため難しくなった商品の技術知識を習得する教育を盛んにして、顧客の需要の広がりに対応した。
5つ目は「受注ルートの固定化」である。平成期は昭和期のような新規開拓魂がなくても、顧客の制御需要は販売店営業の帳尻が合う程度に安定していたため、それほど新規の受注ルートを増やす策に熱を入れなくてもよかった。販売店営業には各々の事情があるだろうが、以上のような総括は令和期の状況と照らし合わせながら成長路線を作っていく参考になるだろう。