追いつき追い越せ 自給自足 追いかけてこそ日本の強さは生きるのだ
三菱電機が、技術広報誌「三菱電機技報」の100年周年を記念し、創刊号から最新号まで無料公開した。これは大英断であり、個人的にとても興奮した。日本のFAのみならず、電機業界の歩みが分かる貴重な資料であり、無料で読めるので是非試してほしい。
公開と聞いて真っ先に手に取ってみたのが創刊号だ。当時の三菱電機の取締役会長の武田秀雄氏の挨拶文にはじまり、それを読むと当時の日本の電機業界の状況がよくわかった。曰く、産業革命から100年あまりで世界の動力源の主役は蒸気からガス、ガスから電気へと移り変わり、1920年代頃から「電気万能の時代に突入した」としている。また電気は他の動力源に比べて扱いやすく、制御もきき、原価計算もしやすく、工場や産業に取り入れることで多くの課題解決につながると高く評価。これは100年経った今も変わりない。そして、多くの産業で電力を使うようになり、それに伴って技術開発も進んだが、日本は欧米とは差をつけられてしまっていた。そのため、日本も電機機器を自給自足できるようにならなければならないという危機感のもと、海外企業との提携や名古屋製作所の建設などを通じて技術習得に励むのだといったようなことが書かれていた。海外と対等レベルまで製品を作って提供できるようになり、独立して海外依存から脱却するのだという気概に溢れた文章だった。その時の業界人の矜持を見ることができた。
翻って、現代の私たちは、海外と戦う、自分たちの足でやっていくのだという気概はあるだろうか。時代や状況が違うとはいえ、「自分たちの手で日本の電機業界を作っていくのだ」「世界に負けているところを何とか取り戻すのだ」という当時の人々のプライドや反骨心、熱い思いは見習うべきところがある。彼らにならい、志を高く、視座を高くもち、新しい日本の電機業界を作っていくのだ。




