気のせいか、はたまた必然か。最近、メーカーを回っていると、今年は特約店や代理店、パートナー企業との関係強化に努めるという話をよく聞く。まあ、直販ではなく、販売代理店制度を採っている企業がほとんどなので、販売を強化するためには当たり前の話なのだが、それにしても多い。こちらがその話題を振っていないにも関わらず、メーカーから言及してくる。これはいったいどういう訳だろう。
ひとつ考えられるとしたら、ここ数年で市況が上下して需給バランスが大きく崩れたことで、メーカーは大ダメージを受けた。同時に代理店も影響を被り、メーカーと代理店の間の信頼関係が揺らいだ。そうなった結果、総合的な販売力は低下し、見通しに不透明さが増した。足元を強化しつつ、継続的に成長していくには代理店の力は欠かせない。メーカーはここ数年の苦境と販売店との関係の重要性を再認識し、長年にわたる取引から生まれたマンネリや慣れ、慢心を再び引き締め、見直し、新たな時代に向けて製販の関係性を築こうとしているのではないか。そんな風に予想する。
ここ10年ほど直販やEC、またはソリューションやサービスが注目を集め、時代のトレンドとして持ち上げられてきた。しかし一皮剥けば、それらの成長率は高いが、企業の業績の柱を支えられるほどの太さや力強さまでは至っていない。結局、既存商材の地道な営業での稼ぎが柱で、それ以外はこれから成長していく芽でしかなかいのだ。とは言え、これから先はそれらを第2、第3の柱に育てていくことも重要。それも今度は代理店も巻き込む形で取り組みたい。既存ビジネスの柱を製販が協力して拡大し、一方で新たな成長の芽を一緒に育てていく。足並みが揃わなければ、企業と業界の成長も発展もあり得ない。そこが変わりつつある今は過渡期だが、良い風が吹き込み始めたようだ。