【寄稿】混乱への影響を最小限に抑える: ボルチモア港の混乱とグローバル・サプライチェーンへの打撃(Infor Nexus)

3月26日未明、メリーランド州ボルチモアを災難が襲いました。停電で機能不全に陥った巨大な貨物船「ダリ」が、パタプスコ川河口に架かるフランシス・スコット・キー橋に衝突しました。

今回の事故の余波はボルティモア市内だけでなく、遠く海外にまで及び、グローバル・サプライチェーンの相互関係を改めて思い知らされることになりました。港への物資の出入りが突然、緊急停止したことで、特に物資へのタイムリーなアクセスに頼り切りだった産業や港の大口顧客における経済的な影響は相当なものになる恐れがあります。

直近の影響とサプライチェーンの混乱

橋の崩落直後の余波は、ボルティモアだけでなく、地域や世界のサプライ・チェーン全体に影響を及ぼしています。地元産業、特に自動車部品サプライヤーは、生産・流通網の寸断による潜在的な在庫不足に直面しています。港への物資の出入りができなくなったことは、輸送コストの上昇を促し、現在進行中の紅海危機によってすでに悪化している海上経済への課題をさらに深刻化させています。

貨物への影響は、その具体的な所在や、進展する状況に対するボルティモア港の対応によって決まります。すでに港に陸揚げされた貨物は、大きな遅れなしに回収できる可能性が高い一方で、船舶に積まれたままの貨物は、港湾が事態に対応するための作業調整により、待ち時間が長くなる可能性があります。北米内の別の場所に輸送される予定だった貨物については、トラックや鉄道を利用して貨物を転送する可能性がありますが、そのような計画を実行するには、船舶運航会社とボルティモア港が協調して取り組む必要があります。

さらに、この事故によって、市民や企業団体が代わりのルートの使用を余儀なくされるため、ボルチモアの交通の混雑を悪化させる可能性が高いことが予想されます。港湾地区を通過するトラックの流入は、必然的に交通渋滞を悪化させるでしょう。

ボルチモア以外への影響

ボルチモアの州境界線を越え、この混乱の影響は米国のサプライチェーン全体、そして世界全体に及ぶでしょう。ボルチモアの港や船上で立ち往生している商品を持つ事業者は、物流の障害に直面します。特に生鮮品や時間的制約のある商品を扱うこれらの事業者においては、損失を被る可能性があります。

近隣の港湾では交通量が急増し、全土の港湾の混雑と遅延を悪化させる可能性があります。経済的には、ボルチモアでの足止めは物資の流入と流出を妨げ、地元企業やより広範な経済に悪影響を及ぼします。

さらに、ボルチモア港は東海岸の大きな港のひとつではないものの、製造業のサプライチェーンにおける重要な拠点です。同港は、東海岸の他の港が有していない、大量商品を扱うための特別な設備が整っています。このことは、他の港湾が、通常は大量に扱わないような貨物をボルティモア港を通過させる手段を見つけようと奔走する際に、影響を及ぼす可能性があります。

Infor Nexusの3月31日時点のデータは、、貿易フローに大きな変化を示しています。ニューヨークが5%の輸出入量増で、最大の伸びを示しました。フィラデルフィアも2%増と、例年の2倍近い伸びを示しました。現在もボルティモアからの荷動きが継続しているため、当週においても更なる変動が予想されています。

地域的および世界的な影響

地域全体で見ると、自動車メーカーや建設機械メーカーなど、ボルティモア港の利用率が高い産業は、RORO貨物への依存度が高いため、混乱の矛先がボルティモア港に向けられることになっています。その結果、GMやフォードなど多くの企業は、影響を受ける貨物のルート変更に手間取っています。混乱は世界的な貿易ルートに連鎖することから、予想された時期に商品が目的地に到着しないことが予想され、世界中の製造業者や小売業者に影響を及ぼすでしょう。

復興への道筋

最良のシナリオでは、世界的なサプライチェーンの混乱を最小限に抑えながら、港湾のオペレーションを迅速に復旧させることが不可欠です。しかし、現在進行中の紅海危機の中で、復旧期間が長期化し、悪化する可能性があると予測されています。


この混乱を緩和するための施策として、代替港のキャパシティや効率性、貨物や船舶の位置をリアルタイムで把握できるテクノロジーの活用などが挙げられています。積極的な迂回策は混乱を最小化するのに役立ちますが、成功するかどうかはインフラ、キャパシティ、地理的な考慮に依存します。

例えば、ある大手製造業では、Infor Nexusのプラットフォームを活用することで、災害発生からわずか数時間で、予定していたボルチモア港への輸出の半分近くをノーフォーク港に迂回させることができました。予期せぬ事態が発生した際に、想定される遅延やボトルネックを軽減するためには、このような迅速な対応が必要です。

残念ながら、ボルチモアの橋の崩落事故は、グローバル・サプライチェーンの世界で発生し続けている混乱の中のひとつです。混乱が起こる前に、それに対処し緩和するための適切なソリューションを装備しておく必要性が改めて浮き彫りになりました。

結論

結論として、事故の影響が拡大するにつれ、関係者は迅速かつ的確に対応し、グローバル・サプライチェーンの複雑なネットワークの中で、混乱を緩和し、復旧に向けて行動しなければなりません。 


こうしたことはすべて、意思決定を行うための重要なデータを1か所に集約することによって、予期せぬ事態が発生したときに組織が素早く対応し、決断力を高めることによって実現できます。

先を見越した意思決定、連携、そしてダイナミックな予測能力を採用することで、事業関係者は復旧に向けた道筋を描くことが可能とると共に、逆境に直面しても回復力と俊敏性を確保することができます。

Infor Nexusについて

Infor Nexusは、エンドツーエンドのグローバルサプライチェー ンプラットフォームとして業界をリードし、20年以上にわたって、 企業が比類のない可視性を実現できるよう支援しています。Infor Nexusは、85,000を超えるブランド、小売業、製造業、サプライヤー、ロジスティクスプロバイダー、銀行のネットワークをシングルインスタンスネットワークプラットフォームで結び、供給元から配送、支払いまで、グローバルサプライチェーンプロセスをシームレスに構築します。企業は業務を合理化し、無駄を省くと同時に、データ主導のインサイトを活用し、資金の流れを最適化することで、アジリティ、レジリエンスならびに持続可能性を向上させることができます。


サプライチェーンの混乱を察知し対応する方法についての詳細は、コントロールセンターのウェブページをご覧ください。

著者:JAMES ILLIDGE

PRODUCT MANAGEMENT AND STRATEGY, INFOR NEXUS

https://www.infor.com/ja-jp

オートメーション新聞は、1976年の発行開始以来、45年超にわたって製造業界で働く人々を応援してきたものづくり業界専門メディアです。工場や製造現場、生産設備におけるFAや自動化、ロボットや制御技術・製品のトピックスを中心に、IoTやスマートファクトリー、製造業DX等に関する情報を発信しています。新聞とPDF電子版は月3回の発行、WEBとTwitterは随時更新しています。

購読料は、法人企業向けは年間3万円(税抜)、個人向けは年間6000円(税抜)。個人プランの場合、月額500円で定期的に業界の情報を手に入れることができます。ぜひご検討ください。

オートメーション新聞/ものづくり.jp Twitterでは、最新ニュースのほか、展示会レポートや日々の取材こぼれ話などをお届けしています
>FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

オートメーション新聞は、45年以上の歴史を持つ製造業・ものづくり業界の専門メディアです。製造業DXやデジタル化、FA・自動化、スマートファクトリーに向けた動きなど、製造業各社と市場の動きをお伝えします。年間購読は、個人向けプラン6600円、法人向けプラン3万3000円

CTR IMG