【2024年 年頭所感】一般社団法人 ソフトウェア協会 会長 田中 邦裕 デジタルおよびAIで変革する社会の実現に向けて

 新年明けましておめでとうございます。

令和6年の年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。さて、皆様におかれましては、平素より当協会の事業・活動に対し格段のご理解・ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

昨年は新型コロナウィルス感染症が5月に2類感染症から5類へ移行し、ようやくパンデミックが終焉しましたが、ロシアによるウクライナ侵攻に加え、中東のハマスとイスラエルとの軍事衝突により、世界の政治・経済情勢は再び混迷の度を深めました。

わが国では、岸田政権がコロナ禍で大きく減少した出生率に対し異次元の少子化対策及び急激なインフレに対応した物価対策並びにインフレ率に勝る賃上げの実施を総理が率先して推進しています。また、緊迫する海外情勢を踏まえて、安全保障の強化のための防衛費の大幅増及びサプライチェーン及び供給力の維持・強化のため戦略的産業である半導体産業に大規模な補助金を措置しました。さらに、イノベーションの一層の促進のため、すでに海外で導入されている知財に由来する製品・サービスの売上からの利益などに対する法人税を減税するイノベーションボックス税制の創設も提案しています。

また、政府はデジタル分野では、「マイナンバーカードの早期普及」、「デジタル田園都市国家構想」に加え、AI戦略会議を5月に設置し、特に生成AI関連の計算基盤強化や研究開発のための予算を大幅に増額するとともに、G7をリードして広島サミットで合意した「広島AIプロセス」に則り、AIの国際的なルール作りにも大きく貢献しました。さらに、デジタルライフライン全国総合整備実現会議では、自動車の自動運転やドローン航路などの実証実験が高速道路や高圧電線上などで早晩実施される運びとなりました。そして、デジタル基盤である人材についても、今後5年間で230万人を育成すべく、デジタルスキル標準、デジタル人材育成プラットフォームなどの整備を進めています。

一方、当協会でも、以上の政府のデジタル政策に対応して各種委員会及び研究会等における活動を強化しています。例えば「デジタル田園都市国家構想」に呼応して、地域デジタル推進委員会を中心に地域での活動を強化してきました。全国を九つの地区に分けて地区担当理事、主査を置くとともに、各地域経済産業局と連携を密にして、各種セミナー・講習会及び交流会の開催や視察団の派遣などを実施し、地域企業のデジタル化を支援するとともに、当協会の会員の入会促進にも寄与しています。また、同委員会傘下の「スマートシティ研究会」の活動は、会員企業が包括連携協定を結んだ佐賀県武雄市の「デジタル田園都市国家構想」事業を支援し同市からも高く評価され、他の行政会員との連携・協力の試金石となりました。この他、DX/AI推進研究会(再編)、介護DX研究会、ネットワーククラウド研究会を立ち上げるなどの研究会活動も強化しました。さらに、広報委員会が主導して協会活動をより身近に知らしめるオウンドメディアを立ち上げるとともに、協会活動の拡大に伴いオフィススペースも拡張し、会員サービスの向上の観点から会員が自由に協会に立ち寄って仕事ができる空間・施設も整備いたしました。

会員からの実現期待が高い政策提言については、これまで日本IT団体連盟など他団体と連携しながら、優先順位の高かったジャパンクラウドへの支援やイノベーションボックス税制などの要望を次々と実現してまいりました。例えば、ジャパンクラウドに関しては、昨年6月には主要な会員企業が経済産業省からの補助金(1/2補助)により、AI時代を支えるGPUクラウドサービスの提供に向けて3年間で130億円規模の投資をし、合計2EFLOPS(エクサフロップス)の大規模クラウドインフラを整備することを決定しました。さらに、同社は、デジタル庁が募集する「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」(ガバメントクラウド)はこれまで外資系4社しか認定されていませんでしたが、令和5年11月に条件付きですが国内企業として初めてガバメントクラウドに認定されました。

また、当協会が事務局をしている社会保険システム連絡協議会、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)などとも連携し、マイナンバー利活用促進と適正な電子申請制度の確立や会員企業のデジタル化やクラウド化などへの業態転換を後押しできるような政策課題に積極的に取り組んでまいります。

さらに、政策の実現により効果的な時期に当局に提出すべく、今後政策提言の取りまとめ時期を半年前倒しするとともに、経済産業省、総務省、厚生労働省、デジタル庁、財務省、国税庁、公正取引委員会、消費者庁、個人情報保護委員会などから出される各種方針、報告書、法令改正などへのパブリックコメントの提出や当局との意見交換などにも積極的に対応することとし、政策当局との一層の関係強化も図ってまいります。

デジタル社会の進展とともに、サイバー攻撃への一層の備えが必要となっています。このため、当協会では会員向けにSoftware ISACを中心にサイバー攻撃に対する注意喚起やレポートなどを公表するとともに、セミナー等を通じて経営者等にサイバーセキュリティへの対応を積極的に促しております。また、令和5年度も厚生労働省事業に採択され、半田病院(徳島)、急性期・総合医療センター(大阪)へのランサムウェアによるサイバー攻撃を教訓にして、当協会として医療機関向けに初学者、システム管理者、経営者、それぞれの階層別にキメ細かいサイバーセキュリティに関する研修を実施するとともに、それら研修コンテンツを当協会が運営する「医療機関向けセキュリティ教育支援ポータルサイト」(MIST:Medical Information Security Training)に公開しております。

さらにIT業界内は恒常的な人材不足が深刻化している一方、近年コロナ禍や昨今の厳しい経済状況で飲食・宿泊業や卸小売業などは人材が流出しています。当協会では、厚生労働省の支援を受けて、他業界で非正規職に従事している方々に比較的短期間でデジタル分野の訓練を施し、IT業界に正規職で就業していただけるプログラムを実施しております。今後とも当協会は無料職業紹介業の許可を最大限活用しながら、人材委員会を中心に会員企業の人材不足問題に積極的に取り組んでまいります。

また、次世代のIT人材の発掘・育成を目指したU-22プログラミング・コンテストについては、協賛企業と協力しつつ一層の充実に努めるとともに、IPA未踏IT人材発掘・育成事業と連携し、我が国における高度なデジタル人材の育成に貢献していきます。

デジタル社会において、個人情報の意図しない漏洩を防ぐことはますます重要となっています。当協会は、プライバシーマーク指定審査機関として指定を受けて以来、昨年末までに更新及び新規を合わせた会員企業の審査実績は約240社(延べ約1500件)となりますが、会員企業からの案件が年々増加傾向にあり、今後とも引き続き審査員を充実し、会員ニーズに対応してまいります。

さらに、当協会では、PCやサーバー機器などの廃棄から生じる機密情報の漏洩を防ぐため、第三者によるデータ消去証明書の発行事業を引き続き推進するとともに、消去ソフトウェアの技術認証及び消去事業者の消去プロセスの認証を行うデータ適正消去実行証明協議会(ADEC)の活動を事務局として支援してまいります。

次に、ソフトウェア品質の確保のためのPSQ認証制度ですが、クラウド/SaaSを含むソフトウェア製品の第三者適合性評価であるPSQ-Standard認証及び自社で評価を行うPSQ-Lite認証を今後とも実施してまいります。さらに、当協会はPSQ制度で培った経験を生かして、昨年ソフトウェア品質に関するJIS(日本産業標準)認証制度の確立にも貢献しました。

最後になりましたが、当協会は、関係各府省及び他のIT・デジタル関係団体とも連携して、ソフトウェアに関わる全ての組織(チーム)をサポートして、Software Everywhere 「すべてはソフトウェアで動く、これからのデジタル社会へ」を目指して活動してまいりますので、引き続き皆様のご支援及びご協力をよろしくお願い申し上げて新年のご挨拶とさせて頂きます。

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