【制御盤製造のDXの壁とその解決策15】配線作業の壁 制作指示書を作り、電線加工を自動化し、スプリング端子採用機器を積極採用する

制御盤の配線作業は、配線経路の検討や電線の加工、機器への配線という3つの工程に分かれ、それぞれに時間がかかりがちだ。特に配線作業を非効率にしているのが、制作指示書の未整備。本来であればあるはずの制作指示が最低限の記載しかないケースがいまも往々にしてある。制御盤の品質を担保するためにも正しいケーブル径や電圧値、電流値で使用する電線や端子の種類,ねじ締めのトルク管理等があるものだが、そこを熟練技術者の判断にまかせていたりする。
そうした現場では設計図面には機器配置の情報のみしかなく、機器間の接続に必要な電線の長さの情報が無いので現物合わせで対応し、ケーブル長や配線経路の決定は熟練者の判断に任されている。そうなると若手作業者は 熟練者の技を見て覚えるしかなくなり、現在はぎりぎりのところで技術がつながっている状況だ。特に電線の引き回しや繋ぎ込みは人の技能に頼る部分が多く、配線品質や作業時間にばらつきが出てしまっている。

これを解消するには、まず制作指示書を改善しなければならない。制作指示書は重要であり、設計と製造とが連携して設計段階で決められる項目はきちんと決める。電気設計CADには自動的に制作指示書や加工機械のデータに変換できる機能がついており、それを活用して制作指示書を作ることで現場でのばらつきを減らせるようになる。
また電気CADには設計データから配置・配線図を自動生成する機能もあり、それを使うことで配線作業手順書、マニュアルが簡単に作ることができる。現場でそれをモニタやタブレットで見ながら作業することでミスがなくなり、作業高速化にもつながる。
配線に必要な部材である電線加工も、電気CADを活用すれば設計データから生産に必要な配線情報(布線表)のデジタルデータが簡単に取り出すことができ、それを電線加工機械に送ることで前段取りの電線加工を自動化し、配線作業の準備が効率化できるようになる。
また盤用機器も、ねじ式から配線作業がしやすいスプリング端子を採用した機器を積極的に活用することが配線作業効率化の鍵となる。スプリング端子を使うことで配線作業時間と配線品質を均一化できる。特に近年はPLCやリレーなど制御回路用の機器だけでなく、電源回路向けの機器も各メーカーから発売されて調達しやすくなっている。

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