メカトロニクスパーツ市場2024年に2兆8400億円形成(20年比43・4%増)エレクトロニクス、自動車、産業機械中心に拡大基調

コロナ禍を機にテレワークの急速な浸透、無人化や遠隔監視などのニーズが高まっている。人手不足や資材の不足と価格高騰も加わり、企業の設備投資は増加傾向にあり、FA市場にとっては大きな追い風が吹いている。

日本政策金融公庫の「2022年度中小製造業設備投資動向調査」によると、国内中小製造業の設備投資額は全年度比19・7%増の2兆7237億円となっている。当初の計画は同8・1%増の2兆4587億円であったことから、2650億円と大きく上積みされた。上半期が同24・5%増と当初計画から1・8ポイント減少したが、下半期は当初のマイナス5・9%から22ポイントも増加して同16・1%増となっている。

また、設備投資の目的を21年度実績と比べると「新製品の生産、新規事業への進出、研究開発」や「省エネルギー」の割合が上昇する一方、「更新、維持・補修」や「省力化・合理化」などの割合が低下している。それでも、更新、維持・補修」や「能力拡充」の割合は目的の30%を超えており、依然1位と2位をキープしている。 

こうした中で、FA・PA設備の構成部品であるメカトロパーツの市場は堅調な拡大基調を維持している。

富士経済がまとめた「2021度版注目メカトロニクスパーツ市場実態調査」(日本市場+日系メーカーの海外実績)によると、21年の市場は20年比14・0%増の2兆2545億円となっている。また、24年には同43・4%増の2兆8363億円まで拡大するとしている。

この調査対象製品領域は、コントローラ(PLC、プログラマブル表示器、産業コンピュータなど7品目)、ドライブ(ACサーボモータ・ドライバ、リニアサーボモータ、ダイレクトドライブモータなど8品目)、センサ(光電・近接、コードリーダ、エンコーダ、変位センサ、産業用圧力センサ、産業用振動センサなど9品目)、受配電・接続機器(配線用遮断器、コンタクタ、リレー、スイッチング電源、端子台、タイマなど10品目)PA機器(DCS、流量計、記録計、差圧・圧力伝送器など4品目)。

21年の市場は、半導体・電子デバイスや樹脂、金属類などの部材の供給不足により納期の長期化や製品価格への影響がみられるが、経済活動の再開やテレワークの普及、5G通信サービスの開始に伴うICT端末や通信機器などの需要増加で、半導体・液晶製造装置などエレクトロニクス向けが好調となっている。

今後もエレクトロニクス向けの好況が続くほか、自動車や産業機械、ビル・建屋、インフラ関連などの設備投資が再開されることで市場拡大が継続。特に、生産設備の稼働に欠かせないドライブ領域や工場のデジタル化・IoT対応に必要なコントローラ領域への投資増加などが続くと予測している。

注目製品の動向として、「ACサーボモータ/ドライバ」は、21年が同28・3%増の4340億円、24年が同96・9%増の6662億円と予測。このうち、日系メーカーの海外実績が大きく、21年が2806億円、24年は2・4倍の4878億円とみている。

データセンター・基地局関連装置向けや、スマートフォン・車載電装品などの半導体・液晶関連装置向けが好調に推移。また、日系メーカーは海外を中心に伸長している。特に、タブレット端末やスマートフォン、PCに加え、5G通信関連設備などの需要増加を受けた半導体・液晶関連製造装置向けの伸びが予想される。さらに、EVなどの環境対応車や車載電装品が増加していくことから自動車製造業での需要は海外に加え、国内でも高まるとみられる。

「PLC(プログラマブルコントローラ)」は、21年が同15・1%増の1992億円、24年が同33・7%増の2315億円を予測。

日本市場は、製造業の投資増加によって伸長するとみられる。また、日系メーカーの海外実績は、日系エンドユーザーが生産拠点として進出し、経済成長が予想される東南アジアでの販売を強化することなどから大幅増加が見込まれるとしている。

「DCS(分散制御システム)」は、21年が同0・8%増の2177億円、24年は同5・0増の2266億円と予測。

21年は、新型コロナの影響による設備投資の不振で、前年に引き続き化学やオイル&ガス関連のプラント向けは伸び悩んだ一方、製薬や食品・飲料関連設備向けが増加。今後は、日本市場は、参入企業がファインケミカルや製薬、食品・飲料関連などでの新規需要が期待できる分野の開拓に注力すると共に、化学やオイル&ガス関連の既設プラントのリプレース需要を取り込むことで伸長するとみられる。また、海外では、既設プラントのリプレース需要に加えて、新設需要も予想される。

「流量計」は、21年が同11・4%増の1344億円、24年が42・6%増の1720億円を予測。

21年は、FA用途では前年から続く半導体・液晶製造装置向けを中心に伸長。PA用途ではオイル&ガスや火力発電所、化学分野などで国内産業が成熟して大規模な新規案件が少なく、スポット需要やリプレース案件が中心となっている。今後も半導体や液晶製造装置向けでの好調は続くとみられ、FA用途がけん引し市場は拡大していくと予想。

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