協働ロボットの普及本格化はじまる 自動車・エレクトロニクス中心に、物流や中食業界に拡大 各種アプリケーション開発が活発化

人と並んで作業ができるロボットとして今も注目を集める協働ロボット。発売開始から10年以上が経ち、ロボットハンドをはじめツールも充実し、使い方も慣れてきたこともあり、活用範囲が広がって本格的な普及段階に入った。

矢野経済研究所によると、2020年の協働ロボット世界市場規模は、出荷台数ベースで2万5485台、金額ベースで899億7500万円としている。以降も右肩上がりで伸びていく見通しで、21年には1540億1400万円、22年に1777億3100万円となり、2031年には8247億1000万円に達すると見通している。
20年時点で導入が最も多いのは自動車業界。構成比では22.7%とトップとなり、エレクトロニクス業界が18.8%で続いている。両業界はもともと産業用ロボットでも普及拡大を牽引してきた業界であり、中小型ロボットの活用に慣れていて、人材も豊富。協働ロボットでも他の業界に先駆けて試用をはじめ、現在ではPOCを終えて、部品供給の補助や組み立て、ねじ締めといった単純作業を中心に生産ラインでの使用が広がっている。

これらに続いて導入が進むのが、倉庫・物流業界と製造業における構内物流、特に荷物の受け入れ・出荷工程だ。いずれも取り扱う対象は重量30kg以内の定型の箱が多く、さらにパレタイジング・デパレタイジングなど共通した作業が多い。協働ロボットメーカー各社はここに照準を合わせて可搬重量を高めた新製品を投入してきている。例えばファナックのCRX-25iAの最大可搬重量は25kg、安川電機のMOTOMAN-HC30PLは30kg、ユニバーサルロボットのUR20は20kgとなっており、これまでは人または人とマテハン専用ロボットの併用だったところが協働ロボットによって自動化してきている。

また現在はPOCが中心だが、活発に動いているのが中食業界。コンビニやスーパー等の弁当や惣菜の製造工程は食品を容器に詰める単純作業だが、ハンドリング対象は不定形なため自動化は難しく、大量の人手作業に頼っていた。しかし人手不足とコロナ禍による密防止が自動化を加速し、国の後押しも受けて研究開発が進んでいる。すでに一部ではPOCを終えて一部の生産ラインで導入もはじまっている。
さらには、工場の外を出て、レストランや店舗等の外食産業でも協働ロボットの導入検討が進む。協働ロボットを組み込んだそば茹で専用システムや食器やトレイの自動洗浄システムといった特定アプリケーションのパッケージ製品が開発され、JR山手線の一部の店舗でテスト導入も始まっている。
このほか溶接や研磨、精密組み立てといった熟練の技の再現や、研究所・ラボ向けの作業自動化システムなど、これまで以上にさまざまなシーンでのアプリケーション開発が進み、裾野は広がっている。

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