【ドーワテクノス】簡単・安く高性能なオンライン監視を実現「工場まるっとIoT」提供スタート大規模イベントのコロナ対策でも採用

見える化ニーズで中小企業に広がり

「DXに取り組まないとこれからは生き残ってはいけない」。製造業界をはじめ、あらゆる産業でこれがある種の共通認識となっているが、その環境整備ができているかというと実際はそううまくことは運んでいない。特に地方の中堅中小の製造業は、第一段階である製造現場へのIoTと見える化システムの導入ですら苦戦しているのが実態だ。

そんななか、FA機器の商社でありエンジニアリング会社でもあるドーワテクノス(北九州市八幡西区)は、工場内のあらゆる機器を簡単につないでデータを集めて見える化でき、かつ低価格なIoTシステムを開発し、IoTの相談から最適なシステム設計、施工までワンストップでおまかせできる「工場まるっとIoT」の提供をスタート。北九州市の中小製造業を中心に採用され、さらにそこから派生したシステムが世界的なイベントのコロナ感染症対策に採用されるなど、広がりを見せている。

中堅・中小企業に最適なワンパッケージの見える化システム

「工場まるっとIoT」は、工場にあるフィールド機器ならなんでも簡単につながってデータを収集できるハードウエア群と、かつそのデータをためて出し入れできるクラウドと通信環境、さらに、分析してダッシュボードにまとめて見せたり、異常発生時にアラートを出したりできる各種のアプリケーションまで、丸ごとすべてがそろったIoTのパッケージシステム製品。IoTをはじめたい、システム構築はよく分からない、すぐに導入したい、安くスタートしたいという中堅中小企業にピッタリのものとして開発された。

執行役員 営業企画部部長・足立裕史氏は「もともとは、工場の保全部門の巡回点検業務を効率化しようというところが出発点。設備老朽化しているのに保全部門で人手不足が進んでいたことと、従来の手書きの点検書を使ったやり方ではエラーに気づかないこともある。それをデジタルの技術でカバーするために開発した」と話す。

シュナイダーのHMIとMachine Advisorを軸に構築

基本的なシステムは、シュナイダーエレクトリックが展開するPro-faceブランドのHMIを中心に据え、PLCやNC、インバータ、サーボとつながって製造装置の稼働状況を把握し、その他も現場の各所に取り付けたEnocean無線通信対応センサから温湿度や振動、電流などのデータを収集。それをシュナイダーエレクトリックの産業用モバイル通信のAir Connectを通じて、Microsoftのクラウド環境 Azure上に構築した、これまたシュナイダーエレクトリックのIoT遠隔監視システムのEco
Struxure Machine Advisorとつないで構成されている。使っている製品やサービスはいずれも世界の産業界で広く使われている高品質で信頼性の高いものであり、同社がそれをひとつのシステムとして統合して完成させた。

「Pro-faceのHMIを使ったオンプレの見える化システムというのは数年前から提供していたが、Machine Advisorとの出会いがシステムを大きく進化させた。HMIをIoTゲートウェイとして使ってクラウドと連携させ、その接続もとても簡単だ」(足立氏)

初年度年間30万円~で運用可能&すべておまかせ

見える化のパッケージシステム製品としても優れているが、特筆すべきは、その価格と提供体制。

見える化を実現する部分の価格は、Air Connectモバイルルーター本体とSIM、月額通信料、クラウド環境と遠隔監視のEcoStruxure Machine Advisorの使用料など必要なものをすべて含み、150点の監視ができて、初年度で年間28万円。実際、客先でデモを見せてから価格を推測させると500万円という回答をされることが多く、そこから本当の値段を明かすと、お客は驚いて固まってしまうほどの破格の安さとなっている。

「価格はシュナイダーエレクトリックの努力の部分が大きい。実際、浄水場のような案件で、ポンプ36台に対してレベルセンサや温度調節器などで構成したオンライン監視システムも、設計費込みで370万円程度だった。電流と振動センサだけなら250万円程度で作ることができる。通常なら1000万円でもできないレベルのオンライン監視システムを安く作れるのが、このシステムの特徴だ」としている。

またサービスの提供体制も、ユーザーの要望と現場に合わせたシステムの構想設計から機器選定、詳細なシステム設計、施工、サポートまで、すべてドーワテクノス一社にすべておまかせできる。

通常、IoTや見える化システムを構築する場合、クラウドやネットワークなどのITも含めて、必要となるものを個々とやりとりしてまとめ上げて完成させるのは非常に難易度が高く、工数と労力がかかる。信頼できる企業や製品、サービスを探すところも手間だ。

その点、同社は1948年から工場の保守メンテナンスや生産設備の設計製造といった工場システムの構築を手がけてきた歴史と実績がある。加えて近年は、ITシステムやロボットシステムといった新しい技術にも積極的に取り組んでいる。FA商社であり、エンジニアリング会社でもある同社の強みを生かした「おまかせ」で依頼できる体制が多くのユーザーに受け入れられている。

「生産技術部門にとってIoTでもネットワークやクラウドはなじみが薄い分野であり、苦労する部分。しかし工場まるっとIoTは、必要な通信ネットワークやクラウド環境がすべてそろっていて、しかもシステム構築まですべて丸投げしてもらって大丈夫だ。また、新たに別のシステムを構築するので既存のITシステムにまったく影響はなく、情報システム部門の助けもいらない。その点も現場の方々からは好評だ」(営業企画部ソリューション開発グループ部長 的場直貴氏)

世界体操/世界新体操2022北九州大会のコロナ対策として採用

工場以外の分野でも設備や環境モニタリングのニーズは強く、「工場まるっとIoT」の利用も工場の外へと広がってきている。

2021年5月に北九州市で行われた「世界体操/世界新体操2021」では、「工場まるっとIoT」をベースにした「CO2監視システム」が、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策に有効なシステムとして採用された。

屋内での感染拡大防止は3密の回避と換気が重要であるとされ、それまでの大規模イベントでは入場時の体調チェックや人数制限、定期的な換気で対策されていた。しかしこれだと現場の環境や状態に関わらず、杓子(しゃくし)定規に実施するため、時には過剰な対策や無駄が発生していた。

それに対し工場まるっとIoTでは、会場と控室にCO2センサを取り付け、本部で各所のCO2濃度をモニタリングし、基準値を超えたら「密である」と判断してアラートが発報。大会本部や関係者のスマートフォンに換気実施の通知がいくような仕組みを提供した。いわゆるCBM(コンディションベースドメンテナンス)の考え方を取り入れ、効率的で過剰にならない対策を行い、コロナ禍の難しい状況下での世界的なイベントの成功に一役買った。

執行役員 FAシステム部部長・田中弘行氏は「北九州市が取り組んでいるIoT推進事業に本システムがマッチし、IoTの専門技術がいらず、従来の監視システムより比較的安価にシステム構築できることなどが評価された。容易に設置・撤去ができるため大会期間中のみの期間限定の対応が実現できた」としている。

用途別パッケージ開発などでさらに拡大へ

「工場まるっとIoT」は、工場での採用はもちろん、イベントなど工場外での実績も増えてきている。現在は標準システムを提供しているが、次の展開として、水処理やモータ、CO2モニタリングなど用途やアプリケーションごとにパッケージ化したシステムでの提供を検討している。

的場氏は「工場まるっとIoT」は、何にでもつながり、簡単で、安く構築でき、何でもできるシステムだが、そのなかでもできる部分を尖(とが)らせていく。システムの設計から施工まですべて当社だけで完結でき、お客さまの情シス部門に頼らず、FAの現場の技術者でも簡単に構築して運用できる。また現場から出るアラートはお客さまと共有し、何かあったらすぐに駆けつける『工場の見守り役』を目指していく」と話している。

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