令和の販売員心得 黒川想介 (67)

営業の目的は端的に言えば売上を確保することである。国内GDPが伸びている時に売上額が前年並みであれば相対的には減少していることと同じだ。周囲の給料が伸びても自分の給料は横這いということになる。
売上目標額を前年比で高めに設定流するのは給料を上げたいと言う表れである。営業は給料を上げるための最前線にいるのだ。

売上額を伸ばしてきた機器部品営業の歴史は顧客の拡大時代から始まり客先を深く耕す顧客深耕時代へと移ってきた。だから今の販売員は売上額を伸ばすために、顧客をふやすか、顧客を深く掘り下げるかで売上は上がることが経験上わかっている。しかし令和時代では拡大や深耕は同じでも拡大や深耕の内容が違ってくる。つまり今まで頭に描いてきた拡大や深耕と令和時代の拡大や深耕には相違があるのだ。
現在の新規開拓は昭和の飛び込み訪問や平成の電話によるアポ取り訪問のようなやり方ではほとんどうまくいかない。

それでも成長している販売店は顧客が増えているか上位客の顔ぶれが新しくなっている。昨今の機器部品営業の顧客拡大の事情を見ると商品に興味を持ったり、商品を必要とする見込客の方からメーカーや販売店に近づいて新規顧客になっていくケースが圧倒的に多い。販売員が積極的に見込客を探して新規の顧客をふやしているわけではない。
だから新たな見込客を捕捉するのに知名度を上げる必要があるしネットや各種もメディアをうまく使える宣伝力を持つ必要がある。そうなると大手の販売店やメーカーの営業は断然有利になる。

見込み客の方から近づいてこない販売店の顧客拡大はどうすればいいのか。結論から言えば新しい口座の客を取れないと言って悩むのではなく、現在の顧客を見つめ直すことから始めればよい。何度か言ってきたが機器部品販売員の顧客は技術者である。顧客を増やす事とは親しい技術者を増やすことなのだ。顧客の中には見込み客らしき技術者が各所にいる。

販売員は色々な用事で顧客を訪問する。その用件が無事に済めばほっとしてすぐに帰ってくるが帰る前に知り合いを紹介してもらうための布右を打つのである。ともかく顧客の中を回遊して知り合いをふやし続ける事が肝要なのだ。
知り合いをふやして行けば点が面になって情報量は飛躍的に多くなる。多くなった情報はコミュニケーションツールにもなるし攻め入るポイントになって、売上はふえるはずだ。売上伸長のもう一ツの方法は顧客深耕である。これまでの深耕とはイモのつるを引き上げて収穫するのが如く販売可能の商品を見つけて次々に売っていく、上手く行けばシステムごと受注するというやり方であった。令和時代には口内GDPの伸びが期待されている。

これまでとは違った設備への投資も活発になる。その投資には新しい技術や高度な技術を使うのだろうが、それだけではない。活発な投資は現場に資金が回り、生産効率を上げる工夫が活発になる。それらの需要を取り込むための顧客深耕活動をすればいい。技術商社を目指す販売店は新しい技術に追随できる販売員を養成できるから、ロボットを始め、高機能製品を扱って新しい需要を追う事ができる。

しかしサポート体制を考えると一般の販売店にはハードルが高い。一般の販売店の顧客深耕は本来の商売に戻ればいいのだ。買い手と売り手とつなぐのが商売である。つまり販売員はいち早く顧客の情報や意向を嗅ぎ取って事案を解決できるベンダーや未知のメーカーや相当の商品を探して、売上につなげる事である。だから相当の情報を持つ人と人間関係を作るのが顧客深耕営業になるのだ。

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